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その舞踏会、ちょっと待ったぁ〜!編
第1話 花がうまれる?
しおりを挟む冗談じゃないーー!!
その舞踏会、ちょっとまったーーーッ!!ーー、だ。
俺は目の前の光景が信じられずに、ただ佇んでいた。いや、わかっている、頭の中は理解してるんだよーー。それをなぜ自分が拒絶してしまうのか、そんな自分がだめなこともよくわかっているんだけどーー。
けどなーー、けど…、ムカつくものはムカつくんですよッ~~~!!くそったれ!こんちきしょうだよぉ~~~!!
なあ、キサラッ!
どういうことなんだよーーーーーッ!!
話のはじまりは、3週間前に遡るーー。
俺はキサラに飛竜の背に乗せてもらい、お空のデートを楽しんでいた。飛行機と違って風がもろに身体にぶつかるから、台風の日に外にいる気分だよ。
俺はキサラの前に座ってるんだけど、彼が俺の身体をぎゅっと抱きながら手綱を引いてる。俺はそのキサラの腕を握っちゃってたりして、操縦の邪魔をしてるんだ。
けど、ヤバイぐらいの密着感だ。上空でイッちゃってるなんて、文字通りご昇天だよな。
笹に似た植物が好物のキサラの青い竜は、完全に草食動物だ。最近はイリスの領地のレペトラの森で群生している月笹が好きらしく、デートの途中、よく連れて行ってあげてるんだぜ。
イリスにことわりをいれておかないと、って思ったんで、あいつを見つけて話しかけた。お願いしたら、「自分も飛竜に乗りたい」、っていい出したんだけど、飛竜の背は定員2名。キサラとイリスがくっつきながら、ふたりきりになるなんて精神的に耐えられない、断固拒否だ。
ルーカス、おまえの次のミッションは飛竜の捕獲だぜ。
飛竜ブルーテイルは水浴びが好きで、そのときも湖に飛び込んで、ぷかぷかスイミングを楽しんでいた。人里離れた山中の湖だから、飛竜が暴れていても気にするひとは誰もいない。
俺達も湖畔に腰を下ろして、話をしながらいちゃいちゃいちゃいちゃしていた。まー、察してくれ、成人した恋人同士ならわりと問題がないことだ。
「……」
「ーーキサラ?」
キサラが急に衣服を手早く整えて、なんだかつらそうな目で俺の顔を見る。おまえがそんな顔をすると、俺の胸がキュンキュンしてくるぜ。
少しして、背後からひとの気配を感じた。こんなところに、誰だろうーー。
「ーーどうした?」
低い声でキサラが言葉を発する。ん?ーーまさか…?
「ーー申し訳ありません、局長。ハロンだけでは無理かとーー」
「ーーそうか……」
ふぅー、とキサラが息を吐いた。
「ーーすぐに行く」
「了解ですーー」
言葉が終わり、ひとの気配が消える。
あー、これは……。
俺はがっかりした表情を表にださないように注意するんだけど、いつもうまくいかない。
「悪いな……」
「仕事じゃ、しょうがないよーー」
後3日はいる予定だったのにーー。
「何かして欲しいことはあるか?」
「んーー、キスマークいっぱいつけて欲しいな」
「わかった」
その場でさっきの続きをしながら、俺は身体中にキスマークをつけてもらった。俺からは見えないところ限定なんで、太ももの際とかにつけちゃうもんね~。
「おいーー」
ふふっ、照れちゃうよなーー、こんなとこ。
後は、忘れちゃいけない、左脇の下。なんでかって言うと、キサラはここにドラゴンクラスを倒した証である、ドラゴン痕があるんだよ。
背中と胸に両腕をまわして、そこの皮膚を思いっきり吸うと、彼の身体がピクリと反応した。それを見た俺はうれしくて、にんまりしてしまう。
ーーうん。これでまたがんばろう。
ものわかりがいいフリも大変だよな………。
「舞踏会ですか?」
リディアンに言われ、俺は声をあげた。
「ああ。エウローペーの右下に位置するガルナバ大公領で、大公の代替わりがあるそうなんだ」
右下、っていうと、海側だなーー。
「兄上とテレゼが行かれるのですか?」
「代替わり式の後に開かれる、舞踏会へ招かれてね」
兄貴ったら、テレゼと踊れるからって楽しそうだなーー。うきうきしちゃってーー。
「おまえ達も行くか?」
リディアンが俺と、俺の横で俯きながらケーキを食べているセディランに声をかけた。最近は、お茶に誘うとでてくるようになったんだよ。あんまり、元気はないけどさ……。
「現在パートナーがいませんけど」
「………パス」
末の弟を優しい眼差しで見てから、リディアンが俺に視線を向ける。
「よし、ナオルでいいか」
「嫌です」
「ロウェルで我慢するか?」
「死んでも嫌です。壁の花でいますよ」
「無理にでなくてもいいんだぞ」
「ーー暇なんで」
しょんぼりしている俺をリディアンが笑う。
「よっぽど惚れているな」
「そうですね。もう、骨の髄まで」
はははっ、と大声で笑う兄が、しっかりと頷いた。
「いいことだ。これで、帰ってくるな、とか言い出したらおしまいだからね」
「………」
そんなわけないじゃん、という眼差しの俺に、リディアンが眉をあげる。
「いや、第1騎士団でもよく聞く話だよ。1カ月かかる演習のときなんか、皆伴侶に言われたりするそうだ」
ーーそうなんだ。……贅沢だな…。それってさ、絶対に帰ってくるって思ってるから言える事だよな……。
眉間にシワが寄る俺に、兄貴がお茶をすすめる。いま~、お茶の気分じゃないしぃ~。
「これは、ガルナバ大公領から贈られたお茶なんだけど、工芸茶、というカップのなかで花が咲くお茶なんだ」
その言葉に興味をかられ、俺は兄貴の手元を見た。兄貴は透明なカップの底に、黄色いものをいれた。しおれた花だーー。
そこにお湯を注げば、ゆらゆらとまるで生き返ったように、カップのなかで花弁が広がる。
「花はデイジーだそうだ。他にもキンセンカや千日紅が入ったのもある」
だんだんと色が黄色になっていく。部屋に安らぐような匂いがしてきた。
「リラックスの効果があるそうだ」
「はーー、リラックスですかーー」
わざとだ……。
いまの俺には黄色はつらいんだよ。キサラの金髪を思い出すからな!リラックスじゃなくて、超ストレスだよ。
「ガルナバ新大公陛下は、大公子の頃から、こういう美しい工芸品に力をいれていたな」
「よくご存知ですね」
「まあ、近所ぐらいはね。ーーものに限らず美しいもの好きの方だね……」
遠い近所まで把握済みとはーー、王太子って大変だよな。
「さて、テレゼの授業が終わる頃だ。迎えに行こう」
「毎日、マメですね」
「いまは義父上様達があちらにいるからねーー、さみしくないようにしてあげなければ」
ーー兄貴、あんたイイ男だな…。俺はほんとにキサラがいなければあんたの伴侶になりたいぐらいだぜ(同父、同腹の完全なる兄弟だけどな)。
ん?ってことはアディオンもこのレベルまでいけるはずなんだけどな……。なんでちょっと暗いやつになったんだろーー?幼なじみがあれだったからかーー?
「そうだ。舞踏会にはイリスも招待されているよ」
「なぜです?」
「エウペウス公爵の祖父の弟君があちらに行かれている」
ふうん、婚姻かーー。
「ーーそれをいえば、もとはすべてアンガーティ王家ですが」
「そんな大昔のこと、皆忘れているよ」
リディアンが楽しそうに笑った。たしかに、遠い親戚なんか、聞いても、ふ~ん、だもんな。
昔さ、ヤマグチ県から来たサトウくんが、「ぼくの遠い親戚に総理がいた」、って言ってて、「だからあの俳優とつながるんだー」、とも言ってたけど、会ったこともないし、会うこともないだろう、って感じらしい。
そういう親戚って、わりと多いんだろうなーー。クラスメイト達も、「こいつと従兄弟」とか、「兄貴の嫁さんの弟」、とか結構いたもんなーー。
婚姻によって、親族が増えるって変な話だ。血がつながるところと、つながらないところができるんだからーー。
るんるんの兄貴が去った後、妙に静かになる部屋にむずむずとなる。
「ーーーーーえっと、最近は書簡を受け取ってるみたい、だなーー……」
いたたまれずに口を開いた俺に、セディランがいやいや返事をした。
「ーーーーーー、向こうの父親がうるさいんだよ……」
「そうか……」
父親がでてくると、また話がこじれてきそうだ。
「書簡には、何が書いてあるんだ?」
「ーー別に、普通の話だよ。季節の花とか、王宮の行事とかーー」
ポツリ、ポツリ、とセディランが言葉をだす。
「そうなんだ」
「ーーああ。ひとつ変なことが書いてたよ……」
「ん?」
「花を産んだアザ花種がいるんだってーー」
「へ?」
ーーー何それ??花を産むーーー!?
「ーーあ~あ。花のような美しい赤ちゃんが生まれたんだな」
俺が手を叩いて納得したように見せると、セディランがばかにするような目を向けてきた。
「………さあ…、そうかもね」
「親バカな親御さんだなーー」
と、言いながらも話の内容がイミフすぎて、理解できない。
ーー花が、産まれて、ーーどうなるんだ?
???
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
いつも最後まで読んでいただき、ほんとうにありがとうございます😌
めっちゃうれしいで~~~~!
今回のお話しは、だいたい15話ぐらいの予定です。よろしくお願いします😊
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