5 / 5
第5話
しおりを挟むわたし「お疲れ様っす」
姑「あーー、きたきた。そのちゃん大丈夫か~?」
小姑➁「ーーー」
なんで機嫌悪いんかね?
小姑①「もうちょっと早く来られへんかったん?」
わたし「言うの遅いわ。そんなもんお義母さんにまかしてたら忘れるに決まってんやん」
姑「濃ちゃんが、予想して迎えにこなあかん」
小姑➁「やでな」
はい、こっちもそう言われるって予想してましたがな。
わたし「お義母さん、ハイヤー代、ガソリン代と合わせて後で水増しで請求しますよ。普段買ってきてるアー◯ワンも、自分用の和菓子も、これから自分で買いに行ってくれますか?」
姑「………」
小姑①「ひっど……。あたしらのお母さんに、何言ってん」
小姑➁「嫁の分際でーー」
ーーーぷっちんやな。
わたし「ーーおい、調子にのんなや、このクソ小姑がーー」
姑「………」
小姑①「………」
小姑➁「………」
わたし「りっちゃんの妹やからもてなしてるだけで、おまえらなんかに価値はないで。まっ、付き合いもお義母さんが生きてるうちだけやわな」
小姑①「ひっど……」
小姑➁「最悪……」
わたし「おまえらもな、お義父さんに何もお供えせえへん自体、非常識すぎやで?」
姑「ーーもう、濃ちゃん、そのちゃん達が泣いてるで」
わたし「寝てるから言うてんですよ」
姑「………」
顔を伏せたおふたりさん、どうせ怒りで腸煮えくり返ってるのはわかってますで。あんたらが反省なんかするわけがない。
そのきつい気性、マジでババ様似やわ。
家に帰って1時間後、小姑達が放置した浮き輪やらサンダルを空也と信空が片付ける。おまえら、優しすぎるだろ~~~!
空也「いや、やらなお母さんの顔がヤバい」
信空「般若みたいになってるで」
ネネ「お母さん、きゅうり切っといたで」
わたし「サンキューで~す!空也、薄焼き玉子作っといて」
空也「卵何個?」
わたし「~ん~~、6個はいるな」
空也「了解」
家族はチームだ。お互いを支え合う、良いチームになったなーー……。ホロリ……。
ーー父親は何してんねんな?
しかし、まあ、あいつら、洗濯しながら本当にあきれる。ここまでしても礼の一つも言えんとは、普段は大丈夫なのかーー?
大量のバスタオルに、塩素くさい水着。廊下に放置したまま、みんなでさっさとお風呂にはいってクーラーかけた部屋で寝てるけど、神経がおかしいとしか思えんな……。
わたしがやると思ってんのはなんでや?信頼じゃない、やっぱりただの家政婦やからなーー…………。
りっちゃん「ーーおう、どうや」
わたし「どうもこうもあらへんよ。ほんま今日はキレたで、しばらくはババ様も許したらへんからな」
りっちゃん「おう、やったれ」
わたし「どうせ、変わらんやろうな」
りっちゃん「ーーそやな。ーー年とると、心から反省するってな、自分の子供がなんかならんと、無理やろな……」
わたし「………」
♧♣♧
それは、5年前。かこちゃんの3歳半検診後ーー。
りっちゃん『発達ゆっくりさん、って!なんやそれ!かこは何が違うんやッ!!』
わたし『普通の子と比べて、1年以上は遅れてるって……、これから療育や支援の相談をするんやけど、一緒に行ってくれへんかな………?』
りっちゃん『ーー行ってきて、教えてくれーー』
わたし『ーーーーー』
♧♣♧
最初はそんなんやったりっちゃんも、かこちゃんのこと勉強して、ちょっとだけ仕事人間じゃなくなった。たしかに、わたしらにとっては、夫婦の絆を強めてくれたかこちゃんは、天使ちゃんなんやけど……。
わたし「普通はいいな………」
りっちゃん「そうか?できる奴はできる奴で苦労しとるで」
わたし「りっちゃんのことか?」
りっちゃん「仕事してくれ言われすぎて、セーブがでけん。14日15日しか休みない」
ーーあらまあ、商売繁盛とブラック要素は切り離されへんね。
すやすや寝てるババ様達を叩き起こして晩御飯を食べさせる。ちびっ子は寝たまま、1食抜いてもどうってことはないね。
さあ、とうとう最終日やーー。
なんか、もう超長く感じるわ。なんでや?苦行やからか?好きなことしてるときの時間はあっという間、苦行の時間は長く感じる……。アインシュタインはうまいこというなぁ……。
朝から乾いた洗濯物を取り込んで、できた洗濯物を干す。干し場も足らん、けど、忘れ物ないようにしとかなな(忘れても絶体に持っていかん)。
小姑➁「パジャマ洗って」
小姑①「うちのも」
わたし「………」
いうなれば他人、他人にたいしてここまで言えるってすごいな、感心するで。
りっちゃん「のこ、炭いけたでーー」
わたし「何から焼くん?」
りっちゃん「肉やろ~~~!おっ、いい肉や!空也、信空、焼くで!」
空也「やっほ~~~」
信空「はよ、来い!」
肉に男のテンションはあがる。
わたし「かこちゃん、エビ好きやから焼いたって、後はちびっ子のフランクフルト」
りっちゃん「ほ~い」
今日はりっちゃんがいるからか、小姑達もおとなしくババ様とだべっている。まあ、手伝いはしないし、ちびっ子らは放置やけど。
ちびっ子にはかこちゃんがシャボン玉してくれてるやん。あの子なりに小さい子のお世話をしようと思ってんやで、すごいよな。弥生があんまり良い顔してないけど、自分は関係ない世界やから仕方ないわ。
りっちゃん「おまえらの旦那ももうじきくるんやろ」
小姑①「うん……」
小姑➁「もうちょっといたいわ~。なんでこんなにすぐに終わるんやろ」
りっちゃん「うちはいらん。はよ、帰れ」
姑「陸、そんなん言わんといて、この子らが可哀想や」
りっちゃん「次はババアが、そっちに行け」
小姑①「ーーーやっ、うちは旦那君気にしいやから……」
小姑➁「うちかて、無理やから」
りっちゃん「良い大人が恥ずかしい真似せんと、さっさと家に帰れ。もう、ここはおまえらの家じゃない。ただの客やからもてなしてるだけやで」
小姑①「うるさーー」
小姑➁「はあーー、帰るわ」
キリ「ママ、おもちゃない?」
小姑①「買ってもらったのあるやん」
姑「そやで、ばあちゃん買ったったやろ?」
キリ「もう、いらん」
姑「………え!せっかく買ったのに……」
小姑①「空也、信空、なんかない?」
空也「あるわけないやん」
信空「サッカーボールぐらいやな」
姑「空也、あんたボケメンカード持ってるやん!」
小姑①「えーー!キリ、カードとか好きなんよ!」
空也「無理。俺の最強デッキは、万超えや。ちびになんか貸されへんわ。闘技王のザコカやったらやってもいいけど」
キリ「キラキラしたやつがいい」
空也「それはあかんわ。俺のはマジで売れるからな」
小姑①「ちょっとぐらい、いいやん」
空也「おばちゃんもキリひとりのおもちゃぐらい、ちゃんと持ってこいよ。母さん、俺らが小さいときに実家帰るのに、大量のおもちゃとお菓子持っていってたで」
信空「マジそれな。来る度にうちのおもちゃ持って帰って、ちょっと厚かましいで」
小姑①「………」
むすっとした弥生を、りっちゃんが笑い飛ばした。
りっちゃん「おまえらも、子供が小さいうちしかここに来れへんからなーー」
信空「お母さんの実家になんか、長い事行ってへんな」
空也「予定があわんよ。それに、お母さんいないとばあちゃんすぐに部屋汚すし」
姑「そんなことない!濃ちゃんなんか雑すぎて、あちこち掃除できてない!」
信空「ばあちゃん、したらええやん」
空也「テレビ見てるだけやろ?」
孫の攻撃にババ様はみるみる落ち込んでいく。はあ、おまえたち、立派になったね……、母はうれしいぞーーーッ!!
迎えにきた旦那達が荷物を車につむ。ツンとした小姑達は、最後まで礼のひとつも言わなかった。いや……、ええ根性してますね~~~。
小姑①「ーーじゃあ、次は正月な」
小姑➁「お母さん、元気で~~~」
ぶれないよな………。ほっんともう、来るな~~~!まあ、来たらな、……来たらしゃあないわなーー…………。
終わり(正月編に続くかも?)
10
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
人質5歳の生存戦略! ―悪役王子はなんとか死ぬ気で生き延びたい!冤罪処刑はほんとムリぃ!―
ほしみ
ファンタジー
「え! ぼく、死ぬの!?」
前世、15歳で人生を終えたぼく。
目が覚めたら異世界の、5歳の王子様!
けど、人質として大国に送られた危ない身分。
そして、夢で思い出してしまった最悪な事実。
「ぼく、このお話知ってる!!」
生まれ変わった先は、小説の中の悪役王子様!?
このままだと、10年後に無実の罪であっさり処刑されちゃう!!
「むりむりむりむり、ぜったいにムリ!!」
生き延びるには、なんとか好感度を稼ぐしかない。
とにかく周りに気を使いまくって!
王子様たちは全力尊重!
侍女さんたちには迷惑かけない!
ひたすら頑張れ、ぼく!
――猶予は後10年。
原作のお話は知ってる――でも、5歳の頭と体じゃうまくいかない!
お菓子に惑わされて、勘違いで空回りして、毎回ドタバタのアタフタのアワアワ。
それでも、ぼくは諦めない。
だって、絶対の絶対に死にたくないからっ!
原作とはちょっと違う王子様たち、なんかびっくりな王様。
健気に奮闘する(ポンコツ)王子と、見守る人たち。
どうにか生き延びたい5才の、ほのぼのコミカル可愛いふわふわ物語。
(全年齢/ほのぼの/男性キャラ中心/嫌なキャラなし/1エピソード完結型/ほぼ毎日更新中)
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる