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第2話 なんとわかりやすい嫌がらせ。
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「おはようございます。サキナ様」
レインが起こしにきて、サキナの身支度をはじめる。
「そういえば、昨日旦那様が深夜まで愛人とガタンゴトンしてたみたいですよ。最低ですよね!」
「そうだね」
あの後仲直りしてがんばったのか、なかなかの根性だな。
「おや、サキナ様。バナナを食べたんですか?珍しいー」
飾り机に置いていたフルーツの籠から、バナナが消えていることにレインは気づいた。
「たまには、食べるよ……」
尻の穴に使ったから捨てた、とは言えない。サキナはエドアルドのものをすぐに挿入できるように準備していったのだ。
こちらは子種が欲しいし、向こうとしても祖父に尋ねられたときに答えられるしで、良いことづくめのサキナの行動だろう。
もうすぐエドアルドは国境の砦の勤務に出るようだから、できていなければ砦に襲いに行けばいい。
「さあ、これから何をしようかな」
そう言ったサキナをレインは悲しそうに見た。
「おかわいそうですーー。旦那様はひどい……」
涙をこぼすレインを見てサキナは慌てた。
「全然大丈夫だから。さて、図面でも描こうかな」
朝食ですとエドアルドの屋敷の侍従が声をかけてきた。
「こちらでいただきますが」
サキナが言うと侍従は首を振った。
「必ずお越し下さい」
気になる嫌な目つきだった。
案の定、食堂のサキナの席は末席で、エドアルドの伴侶の席には当然という顔でノエルが座っていた。
ーー意外に絆があるのかしら?
愛し合ってるからといって、それが自分に対する仕打ちにあらわれるのなら話は別だが。
並んだ朝食はお世辞にも美味しそうとは言えない見た目だ。固そうなパンに、焦げたスクランブルエッグ(わざと焦がしたのだろう)、一部分が腐ったサラダに異臭を放つミルク。
視線をあげるとノエルはにやにやと笑っている。せっかくかわいい容姿なのにやっていることで台なしだ。しかも、エドアルドの屋敷の侍従達は彼の言いなりのようだし。
エドアルドを見れば何とも思わないのか、こちらを見ようともしない。
「いただきます。ありがとうございます」
サキナは侍従に頭を下げた。侍従の目が驚愕に開かれる。
異臭を放つミルクからサキナは飲み、固いパンをボリボリとかじる。焦げたものも腐ったものも顔色を変えずに食べていく姿に、ノエルは唖然としている。
「ごちそうさまでした」
声をかけてサキナは席を立った。
「まて」
エドアルドがサキナを呼びとめた。
「はい」
「明日から数ヶ月留守にする。おとなしくしていろ」
明日から砦の勤務か。
「愛人もご一緒に?」
「当然だ」
「それはよかった。無職の方とは一緒の屋敷にいたくはありませんので」
「何?」
「無職でしょ?それとも愛人稼業とでもいうのですか?」
冷たく言い放つとエドアルドは眉をひそめたが、言葉は出さなかった。
「あ、あなただって何もしてないじゃない!」
ノエルが真っ赤になって吠えた。
「してますよ。愛人の見栄に付き合ってあげてるじゃないですか?これ以上しょうもないことをするなら、侍従はすべて実家の者と変えますから。よろしいですね」
低く言うとノエルは黙った。
「おまえにその権限は……」
「ありますよ。馬鹿なんですか、旦那様は。あなた何にサインをしたか覚えていないのですか?私はあなたの伴侶なんですよ。権限があるに決まってるじゃないですかーー。それがわからないとは、鷹じゃなくて馬鹿なんですね」
エドアルドは怒りに形のいい口を引きつらせたが、それ以上は何も言わずに席を立った。
サキナは頭を下げる。
「どうぞご無事でお戻りくださいね」
舌打ちが聞こえた。
「やったー!うざいのがいなくなる!」
その間に住みやすい環境にしよう。胃薬を飲みながらサキナは考える。
離れに廃れた小屋があるからあそこを改造して炊事場を作ってしまおう。風呂も造ってここから移動しよう。
自分とレインが住めればいいのだから。
サキナのために食材を買いにレインは出ている。部屋に帰り真っ青な顔で吐き戻したサキナを見て、レインは怒りに震えた。サキナが小さい頃から毒や傷んだ食事に慣らしていなければ、倒れていたかもしれない。
特にあの腐ったミルクはー。
レインが起こしにきて、サキナの身支度をはじめる。
「そういえば、昨日旦那様が深夜まで愛人とガタンゴトンしてたみたいですよ。最低ですよね!」
「そうだね」
あの後仲直りしてがんばったのか、なかなかの根性だな。
「おや、サキナ様。バナナを食べたんですか?珍しいー」
飾り机に置いていたフルーツの籠から、バナナが消えていることにレインは気づいた。
「たまには、食べるよ……」
尻の穴に使ったから捨てた、とは言えない。サキナはエドアルドのものをすぐに挿入できるように準備していったのだ。
こちらは子種が欲しいし、向こうとしても祖父に尋ねられたときに答えられるしで、良いことづくめのサキナの行動だろう。
もうすぐエドアルドは国境の砦の勤務に出るようだから、できていなければ砦に襲いに行けばいい。
「さあ、これから何をしようかな」
そう言ったサキナをレインは悲しそうに見た。
「おかわいそうですーー。旦那様はひどい……」
涙をこぼすレインを見てサキナは慌てた。
「全然大丈夫だから。さて、図面でも描こうかな」
朝食ですとエドアルドの屋敷の侍従が声をかけてきた。
「こちらでいただきますが」
サキナが言うと侍従は首を振った。
「必ずお越し下さい」
気になる嫌な目つきだった。
案の定、食堂のサキナの席は末席で、エドアルドの伴侶の席には当然という顔でノエルが座っていた。
ーー意外に絆があるのかしら?
愛し合ってるからといって、それが自分に対する仕打ちにあらわれるのなら話は別だが。
並んだ朝食はお世辞にも美味しそうとは言えない見た目だ。固そうなパンに、焦げたスクランブルエッグ(わざと焦がしたのだろう)、一部分が腐ったサラダに異臭を放つミルク。
視線をあげるとノエルはにやにやと笑っている。せっかくかわいい容姿なのにやっていることで台なしだ。しかも、エドアルドの屋敷の侍従達は彼の言いなりのようだし。
エドアルドを見れば何とも思わないのか、こちらを見ようともしない。
「いただきます。ありがとうございます」
サキナは侍従に頭を下げた。侍従の目が驚愕に開かれる。
異臭を放つミルクからサキナは飲み、固いパンをボリボリとかじる。焦げたものも腐ったものも顔色を変えずに食べていく姿に、ノエルは唖然としている。
「ごちそうさまでした」
声をかけてサキナは席を立った。
「まて」
エドアルドがサキナを呼びとめた。
「はい」
「明日から数ヶ月留守にする。おとなしくしていろ」
明日から砦の勤務か。
「愛人もご一緒に?」
「当然だ」
「それはよかった。無職の方とは一緒の屋敷にいたくはありませんので」
「何?」
「無職でしょ?それとも愛人稼業とでもいうのですか?」
冷たく言い放つとエドアルドは眉をひそめたが、言葉は出さなかった。
「あ、あなただって何もしてないじゃない!」
ノエルが真っ赤になって吠えた。
「してますよ。愛人の見栄に付き合ってあげてるじゃないですか?これ以上しょうもないことをするなら、侍従はすべて実家の者と変えますから。よろしいですね」
低く言うとノエルは黙った。
「おまえにその権限は……」
「ありますよ。馬鹿なんですか、旦那様は。あなた何にサインをしたか覚えていないのですか?私はあなたの伴侶なんですよ。権限があるに決まってるじゃないですかーー。それがわからないとは、鷹じゃなくて馬鹿なんですね」
エドアルドは怒りに形のいい口を引きつらせたが、それ以上は何も言わずに席を立った。
サキナは頭を下げる。
「どうぞご無事でお戻りくださいね」
舌打ちが聞こえた。
「やったー!うざいのがいなくなる!」
その間に住みやすい環境にしよう。胃薬を飲みながらサキナは考える。
離れに廃れた小屋があるからあそこを改造して炊事場を作ってしまおう。風呂も造ってここから移動しよう。
自分とレインが住めればいいのだから。
サキナのために食材を買いにレインは出ている。部屋に帰り真っ青な顔で吐き戻したサキナを見て、レインは怒りに震えた。サキナが小さい頃から毒や傷んだ食事に慣らしていなければ、倒れていたかもしれない。
特にあの腐ったミルクはー。
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