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第12話 私には手切れ金はないのか。
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サキナは腹が立ちすぎて貧血を起こした。その場にうずくまる。
「さ、サキナ様!」
後ろに控えていたレインが介抱する。
「どうした!」
外から帰ってきたエドアルドがサキナに気づいて顔色を変えた。
「何があったのだ!おまえ達まさか!」
エドアルドは屋敷の使用人達を疑った。
「………だ…」
「何だ?サキナ」
「あんただよ!何無職の愛人にのんきに金やってんだよ!あんた、その金は誰が出してるかわかってんのか!」
必死の形相のサキナにエドアルドはたじろいだ。
「領民はそんなことのために税を払ってんの?ふざけんな、自分の娯楽代ぐらい自分で稼がせろ!」
キース達も皆下を向いている。
「ーー仕方ないだろ。手切れ金だ……」
エドアルドの台詞にサキナはキレた。
「なら、私もいただきます!大公領に帰りますから!」
サキナはレインにもたれて立ち上がる。
「サキナ!許さないぞ!」
「欲しくもなかったくせに、そんなことが言える立場なの!?」
「いまはおまえだけだ!」
「どうぞこれからは違う方で!」
言い争う2人を遠巻きに見ながら、キースは何かに気づいた。
「…の、ノエル様…」
その呟きをサキナはひろった。彼の視線の先に扉から少し顔をのぞかせたノエルがいる。
「あ、エドアルド様。いまいい?」
ノエルが近づいてくる。
「お金なくなっちゃった。またちょうだい」
ノエルの言葉にサキナは卒倒しかけた。
あほ!限りのないあほじゃん!
「金は十分渡したはずだ。あれ以上は渡さない」
エドアルドが首を振る。
「え?なんでそんなひどいこと言うの?ボクがずっと好きだって、約束をやぶったのはエドアルド様じゃない。正室がきたらボクがいらなくなったんでしょ?ひどいよ」
いや、愛人てそういうもんでしょーー。
サキナは呆れたが、ノエルもそれが永遠じゃないことぐらい知っていたのだろう、とも思う。ためらいもなくエドアルドからお金を引き出しているのだから。
計算高いなー、こいつ。絶対友達になりたくないタイプよ。
サキナは無言で屋敷を後にした。
「旦那様、遊興で財をつぶす貴族の話もよく聞きますよ。それをお忘れなく」
振り返らずにサキナは言った。
逃げるように大公領に帰ったサキナに、祖父ナディアは笑顔を見せた。
「ほう、見事だな」
サキナの額を見て満足そうだ。
「わたしが思った通り相性がいいのだろう」
サキナは黙って話を聞きながら、もうこれで終わりだと考えていた。
「ほら、テレゼだ」
きゃあ!待ってました!
・
・
・
はぁ?
愛くるしいテレゼを抱っこしているのはにやにや顔のマキラだ。
「お兄様さすがですね。ご自分をよくわかっておられる」
マキラの腕の中でテレゼは笑顔だ。
「ほら、渡してやりなさい」
「テレゼはぼくじゃないと泣きますよ」
しぶしぶマキラはテレゼをサキナに渡した。半年をすぎて、表情が豊かだ。テレゼの可愛らしさにサキナの目が潤む。エドアルドの顔なのが腹が立つが。
マキラはテレゼが泣くと言ったが、少しもそんなことはなかった。サキナは産まれた後によくやった、自分の額のアザとテレゼの額のアザをくっつけた。
「ふふっ、本能だな」
「え?」
「自分の子にはそうしたくなる。アザ花種の本能だ」
そうなのか。
サキナは悔しそうな顔をしているマキラを尻目に、ナディアの話に頷いた。
「マキラ。テレゼはサキナの子だ。おまえはもういい」
マキラの可憐な顔が歪んだ。殺意をこめてサキナを見た。
「早く寄宿舎に戻りなさい。遊んでいられるほどおまえは賢くないだろう」
マキラは足音を立てて部屋から出て行った。
「寄宿舎ですか?」
「ああ、屋敷から出した。アザ花種に傷をつけたんだ。絶縁でもよかったがな」
サキナは少し安心した。悪意をもたれた人物が側にいると胎教にも悪い。
「エドアルドは?」
ナディアが楽しそうに尋ねた。
「愛人とこじれ中です」
「そうか!そうだろうな!大公の華が欲しくない男がこの世にいるはずがない」
いやいやあたしがいなかったら初夜で終了でしたよーー。サキナは呆れた。
「テレゼの世話係はエアロとムシュカだ。何でも聞きなさい」
「わかりました」
「さ、サキナ様!」
後ろに控えていたレインが介抱する。
「どうした!」
外から帰ってきたエドアルドがサキナに気づいて顔色を変えた。
「何があったのだ!おまえ達まさか!」
エドアルドは屋敷の使用人達を疑った。
「………だ…」
「何だ?サキナ」
「あんただよ!何無職の愛人にのんきに金やってんだよ!あんた、その金は誰が出してるかわかってんのか!」
必死の形相のサキナにエドアルドはたじろいだ。
「領民はそんなことのために税を払ってんの?ふざけんな、自分の娯楽代ぐらい自分で稼がせろ!」
キース達も皆下を向いている。
「ーー仕方ないだろ。手切れ金だ……」
エドアルドの台詞にサキナはキレた。
「なら、私もいただきます!大公領に帰りますから!」
サキナはレインにもたれて立ち上がる。
「サキナ!許さないぞ!」
「欲しくもなかったくせに、そんなことが言える立場なの!?」
「いまはおまえだけだ!」
「どうぞこれからは違う方で!」
言い争う2人を遠巻きに見ながら、キースは何かに気づいた。
「…の、ノエル様…」
その呟きをサキナはひろった。彼の視線の先に扉から少し顔をのぞかせたノエルがいる。
「あ、エドアルド様。いまいい?」
ノエルが近づいてくる。
「お金なくなっちゃった。またちょうだい」
ノエルの言葉にサキナは卒倒しかけた。
あほ!限りのないあほじゃん!
「金は十分渡したはずだ。あれ以上は渡さない」
エドアルドが首を振る。
「え?なんでそんなひどいこと言うの?ボクがずっと好きだって、約束をやぶったのはエドアルド様じゃない。正室がきたらボクがいらなくなったんでしょ?ひどいよ」
いや、愛人てそういうもんでしょーー。
サキナは呆れたが、ノエルもそれが永遠じゃないことぐらい知っていたのだろう、とも思う。ためらいもなくエドアルドからお金を引き出しているのだから。
計算高いなー、こいつ。絶対友達になりたくないタイプよ。
サキナは無言で屋敷を後にした。
「旦那様、遊興で財をつぶす貴族の話もよく聞きますよ。それをお忘れなく」
振り返らずにサキナは言った。
逃げるように大公領に帰ったサキナに、祖父ナディアは笑顔を見せた。
「ほう、見事だな」
サキナの額を見て満足そうだ。
「わたしが思った通り相性がいいのだろう」
サキナは黙って話を聞きながら、もうこれで終わりだと考えていた。
「ほら、テレゼだ」
きゃあ!待ってました!
・
・
・
はぁ?
愛くるしいテレゼを抱っこしているのはにやにや顔のマキラだ。
「お兄様さすがですね。ご自分をよくわかっておられる」
マキラの腕の中でテレゼは笑顔だ。
「ほら、渡してやりなさい」
「テレゼはぼくじゃないと泣きますよ」
しぶしぶマキラはテレゼをサキナに渡した。半年をすぎて、表情が豊かだ。テレゼの可愛らしさにサキナの目が潤む。エドアルドの顔なのが腹が立つが。
マキラはテレゼが泣くと言ったが、少しもそんなことはなかった。サキナは産まれた後によくやった、自分の額のアザとテレゼの額のアザをくっつけた。
「ふふっ、本能だな」
「え?」
「自分の子にはそうしたくなる。アザ花種の本能だ」
そうなのか。
サキナは悔しそうな顔をしているマキラを尻目に、ナディアの話に頷いた。
「マキラ。テレゼはサキナの子だ。おまえはもういい」
マキラの可憐な顔が歪んだ。殺意をこめてサキナを見た。
「早く寄宿舎に戻りなさい。遊んでいられるほどおまえは賢くないだろう」
マキラは足音を立てて部屋から出て行った。
「寄宿舎ですか?」
「ああ、屋敷から出した。アザ花種に傷をつけたんだ。絶縁でもよかったがな」
サキナは少し安心した。悪意をもたれた人物が側にいると胎教にも悪い。
「エドアルドは?」
ナディアが楽しそうに尋ねた。
「愛人とこじれ中です」
「そうか!そうだろうな!大公の華が欲しくない男がこの世にいるはずがない」
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「テレゼの世話係はエアロとムシュカだ。何でも聞きなさい」
「わかりました」
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