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2.アトランティス
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今夏最高気温を更新したという気温とこれでもかと肌を焼く太陽光線はまだ見えている私の右目を刺してくる。バタ足で水の中を進む彼らには関係なさそうだ。50m泳ぎきった加奈子がこちらに近づいてくる。
「暑くないの?」「めちゃ暑い」「ほい、水」「うわ、めちゃ気持ちいい」
加奈子が手で飛ばしてくれた水が砂漠のような腕に吸収されていく。このまま走ってプールに飛び込んだらコンタクトレンズをつけたときのような快感を得られるだろうか。そう考えるとなぜだか涼しく感じた。だがその涼しさがコンタクトレンズの快感に勝ることはない。第一、コンタクトレンズは目という人体で一番脆く内部に近い場所に刺激を加える。それほど鳥肌が立つことはないだろう。それにあの快感を得るのは「つけるとき」と「外すとき」の2回。もう少し言うのなら、コンタクトレンズの内側に快感が眠り、コンタクトレンズを外すときに快感が浮き上がってくるのだ。快感は言わば「アトランティス」(およそ11500年前に海の底に沈んだと言われている伝説上の大陸)
教室は冷房で冷やされていた。昼休みになるといつも加奈子と恵の3人で私の机に集まる。
「恵昨日体調だいじょぶだった?」「あー、あれ嘘だよ」
加奈子の眉が上がる。
「え、じゃあなんで?」「推しが捕まって病んでた」「大麻の人?」「そ」
恵の視線が加奈子から弁当へと戻る。
「なんで大麻なんかで捕まるのかねー」
それはそうだ。いっそ人類皆コンタクトレンズをつけたら検挙率もグッと下がるのでは無いか。疑問になれなかった「ナニカ」は後ろで大きくなる。
午後の授業、数学の教師の言葉に耳を傾ける人は少ない。そういう私も目を瞑っている。授業の終わりを告げる鐘に起こされると、左目の違和感に気づく。
「あれ」
教科書の上に外れたであろうコンタクトレンズが落ちていた。私は保存液を持ち歩かないため外れたらそこで終わりだ。
「最悪」
家までの道は大抵一人だ。加奈子も恵も放課後は部活に行く。コンタクトレンズがのことを考える度に涼しい風が吹く。左目に当たるとくすぐったく、肩の力が抜けた。空は午後になっても晴れている。何も無いアトランティスの大地に夏を知らせる風が吹く。
「暑くないの?」「めちゃ暑い」「ほい、水」「うわ、めちゃ気持ちいい」
加奈子が手で飛ばしてくれた水が砂漠のような腕に吸収されていく。このまま走ってプールに飛び込んだらコンタクトレンズをつけたときのような快感を得られるだろうか。そう考えるとなぜだか涼しく感じた。だがその涼しさがコンタクトレンズの快感に勝ることはない。第一、コンタクトレンズは目という人体で一番脆く内部に近い場所に刺激を加える。それほど鳥肌が立つことはないだろう。それにあの快感を得るのは「つけるとき」と「外すとき」の2回。もう少し言うのなら、コンタクトレンズの内側に快感が眠り、コンタクトレンズを外すときに快感が浮き上がってくるのだ。快感は言わば「アトランティス」(およそ11500年前に海の底に沈んだと言われている伝説上の大陸)
教室は冷房で冷やされていた。昼休みになるといつも加奈子と恵の3人で私の机に集まる。
「恵昨日体調だいじょぶだった?」「あー、あれ嘘だよ」
加奈子の眉が上がる。
「え、じゃあなんで?」「推しが捕まって病んでた」「大麻の人?」「そ」
恵の視線が加奈子から弁当へと戻る。
「なんで大麻なんかで捕まるのかねー」
それはそうだ。いっそ人類皆コンタクトレンズをつけたら検挙率もグッと下がるのでは無いか。疑問になれなかった「ナニカ」は後ろで大きくなる。
午後の授業、数学の教師の言葉に耳を傾ける人は少ない。そういう私も目を瞑っている。授業の終わりを告げる鐘に起こされると、左目の違和感に気づく。
「あれ」
教科書の上に外れたであろうコンタクトレンズが落ちていた。私は保存液を持ち歩かないため外れたらそこで終わりだ。
「最悪」
家までの道は大抵一人だ。加奈子も恵も放課後は部活に行く。コンタクトレンズがのことを考える度に涼しい風が吹く。左目に当たるとくすぐったく、肩の力が抜けた。空は午後になっても晴れている。何も無いアトランティスの大地に夏を知らせる風が吹く。
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