だから彼女は自殺した

わかば

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彼女の日記

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 噂がどうしても信じられなくて。麗子のお母さんに聞いた。失礼だとは、分かっていた。 
「あの、おばさん。麗子が自殺だったって噂が流れてるんですけど、心当たりありませんか?」
恐る恐る聞いたその言葉に、おばさんが反応することはなかった。あの日から、おじさんもおばさんもおかしくなっていた。
バタン、と、閉まったドア。けれど、鍵が閉まることはなかった。入っていいのよと、言われた気がした。
ガチャリと小さな音を立てて、中に入る。おばさんしかいないようだ。おばさんと目があった気がしたが、おばさんが僕に声をかけることはなく、小さく麗子の部屋を指差した気がした。階段を、今度は遠慮なく音を立てて進んだ。


日記だ。机の真ん中に広げてある。おばさんはこれを僕に読ませたいのか?とにかく、読んでみよう。

その日記は飛び飛びに付けられていて、何か大きな出来事があったときのみつけられているようだ。 

七月六日
あと一ヶ月で誕生。楽しみ。今日はピアノの発表会もうまくいったし、なかなかいい一日だった。
七月十六日
おとうさんの会社が倒産した


僕の知らないことばかり、書かれていた。麗子と一番仲がいいと自負していた僕でさえ、知らなかった。登下校もいつもは一緒なくらい、なかがよかった。


離れたページに一言だけ。

生命保険のお金があれば
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