愛した人は(書き直し)

わかば

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僕の最後

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「駿、駿ってば…。ね、ねえ。一体どこに行っちゃったんだよお。一人にしないでよお。」
下を見たくない。ホコリだらけだから、わかるはずだ。
「あ、ああ…。」
恐ろしい。怖い。見たくない。でも、見ずにはいられなかった。足元を、見た。
そこには、駿が先ほど立っていた足跡。僕が立っていた足跡。そして、入ってきた足跡。…出て行った足跡は、ない。駿は消えたのだ。僕の真後ろで。僕の、真後ろで。
「う、うわああああああああああああああああああああああああああああ!!」
悲鳴とも呼べないほどの大きな声を僕は発して、その部屋を飛び出した。駿が消えた。あの部屋で。そんな部屋に、僕はいられなかったのだ。
「た、助けて、助けてくれえ…!」
そうだ、ドアを押し破って、僕だけでも出よう!あのドアはもう腐っていたから、いくら非力とは言え男の僕なら…。そんな考えが頭をよぎる。二人を探そうなんて、1ミリも思わなかった。逃げたい。助かりたい。僕だけでも。けれど、僕は知っていた。冷静だった時に、気付いてしまっていたから。僕らは帰れないだろうって。だって、そうだろう?父さんの言う通り、変な声がしているなら誰かしら調査に来ているはずだ。誰か変な人が住み着いている可能性も出てくるから…。それなのに、外から見た情報しかないのは…中に入ったものが、一人として帰ってきていないってことだろう?
「…え?」
後ろからぎしっと物音がした。振り返ってはいけない。そう本能が告げる。けれど、振り返ってしまったのだ、僕は。
そこには、にっこり微笑む血塗れの女がいた。手には包丁を持っている。
「おきゃーりー!おきゃーりー!」
おきゃーりー。おかえりか?そんなことを考える暇もなく、僕は一目散に逃げ出した。けれど、廊下は長く、間に合いそうにない。
ぐちゃっと、音がした。その音とともに、僕はその場に崩れ落ちる。
「な、なんだあ…!?」
なくなっていたのだ。僕の足が。右足は、僕の大切な右足は、その女が大事そうに抱えていた。
「うふふ。あ、あははははははは!」
それでも僕は逃げようとした。這いずって、言葉とは言えない何かを吐き出しながら。けれど、そんな僕に、女はなんの遠慮もなく。
ざくっ。
そが僕が最後に聞いた音。僕の首が、切り落とされる音だった。
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