Please summarize the emotion

森山葵

文字の大きさ
1 / 1

一目惚れ

しおりを挟む
  馬鹿げた話のように聞こえるかもしれないが、これは嘘偽りのない、僕の青春の思い出話しに他ならない。
  キミは、一目惚れを信じるか?心理学的に言えばいくつか一目惚れが起こるシチュエーションがあるらしいな。ま、そんな心理学なんて難しいものはいい。どうか聞いてほしい。まだ僕が大人とも子供とも言えないあの時に味わった、甘酸っぱい恋の話を。
  ちょうど高校二年生の秋だった。僕は応援団に所属していた。応援団は厳しいところだった。週七とも言える活動頻度で、よく体がもったなぁと今でも思う。
  それでも秋には応援練習がひと段落して、他のことにも打ち込める。その時にちょうど僕に奇妙な依頼が入った。それは、英語部の助っ人だった。
「お願い、来てくれない?」
「はぁ、僕が、ですか?」
内容は、英語でディベートをすること。これがとてつもなく難しい。英語のディベートなるものは、四人でやるのだが、一人足りないので助っ人してほしいとのことだった。僕は決して英語の成績は良くなかったが、高校生にしては落語をやっていて、人前で話す自信はあった。
  なんだかんだで依頼を引き受けて、大会にも参加することになった。その大会当日、僕は忘れらない恋の想いを手に入れた。
  僕の役割はサマリーというものだった。サマリー、要するに要約係だ。みんなの英文を最後にまとめて言う。簡単に言ってしまえばその程度のものだったが、これが相当に難しい。
  事前に何回か練習はさせてもらったが、これがなかなかうまくいかない。最初にやった時は、わけもわからず、適当な英文を三文ほど言って終わってしまった。つまり、これは負けを意味する。本来なら約五十文くらいの味方の文を、二十文くらいにまとめては言わないといけない。当日まで練習出来たのは六回。まあ、そんなもんだろう。
  そして試合当日、僕らは不幸なことに、強豪校とディベートをすることになった。緊張していた。が、僕は持ち前の明るさでなんとか乗り切った。そして気がついたのだが、僕は相手校のサマリーの人間の存在を深く意識した。最初にディベートでは自己紹介をするのだが、その時に僕が明るく自己紹介したのを見て、負けじと自己紹介を明るく返してきた。女子だった。特別綺麗とかそんな訳じゃなかったが、僕はなぜか明るく朗らかな印象の彼女に惹かれた。
試合が終わった後、僕は彼女に近寄り、握手を求めた。
「今日はありがとう。楽しかった」
彼女も微笑みながら、僕に握手を返してくれた。この時、LINEの交換でもしておけばよかったのかもしれない。でも僕にその勇気はなかった。
  試合が終わり、結果発表。奇跡的に僕らが勝利した。仲間は喜んでくれたが、僕はそれ以上に大きなものを得た気がした。
  それ以降、今日に至るまで彼女には合ってない。でも、あの彼女の面影が、いつまでも忘れられない。
  
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

あんなにわかりやすく魅了にかかってる人初めて見た

しがついつか
恋愛
ミクシー・ラヴィ―が学園に入学してからたった一か月で、彼女の周囲には常に男子生徒が侍るようになっていた。 学年問わず、多くの男子生徒が彼女の虜となっていた。 彼女の周りを男子生徒が侍ることも、女子生徒達が冷ややかな目で遠巻きに見ていることも、最近では日常の風景となっていた。 そんな中、ナンシーの恋人であるレオナルドが、2か月の短期留学を終えて帰ってきた。

彼のいない夏

月樹《つき》
恋愛
幼い頃からの婚約者に婚約破棄を告げられたのは、沈丁花の花の咲く頃。 卒業パーティーの席で同じ年の義妹と婚約を結びなおすことを告げられた。 沈丁花の花の香りが好きだった彼。 沈丁花の花言葉のようにずっと一緒にいられると思っていた。 母が生まれた隣国に帰るように言われたけれど、例え一緒にいられなくても、私はあなたの国にいたかった。 だから王都から遠く離れた、海の見える教会に入ることに決めた。 あなたがいなくても、いつも一緒に海辺を散歩した夏はやって来る。

不倫の味

麻実
恋愛
夫に裏切られた妻。彼女は家族を大事にしていて見失っていたものに気付く・・・。

マリアの幸せな結婚

月樹《つき》
恋愛
花屋の一人娘マリアとパン屋の次男のサルバトーレは子供の頃から仲良しの幼馴染で、将来はマリアの家にサルバトーレが婿に入ると思われていた。 週末は花屋『マルゲリータ』でマリアの父の手伝いをしていたサルバトーレは、お見舞いの花を届けに行った先で、男爵家の娘アンジェラに出会う。 病気がちであまり外出のできないアンジェラは、頻繁に花の注文をし、サルバトーレを呼び寄せた。 そのうちアンジェラはサルバトーレとの結婚を夢見るようになって…。 この作品は他サイトにも投稿しております。

2回目の逃亡

158
恋愛
エラは王子の婚約者になりたくなくて1度目の人生で思い切りよく逃亡し、その後幸福な生活を送った。だが目覚めるとまた同じ人生が始まっていて・・・

奪った代償は大きい

みりぐらむ
恋愛
サーシャは、生まれつき魔力を吸収する能力が低かった。 そんなサーシャに王宮魔法使いの婚約者ができて……? 小説家になろうに投稿していたものです

そんなに相談女の方が良ければお好きにどうぞ。邪魔な私たちはいなくなりますので

日々埋没。
恋愛
 貴族令嬢のカナデアは学園で初めてできた友人ミーナからある日突然裏切られる。 「うぇーん、お友達があたしのことを生意気だってイジメるのぉ。あーあ、優しく男の子に慰めてほしいなぁー」  と相談女を装いつつ男漁りを始めたミーナの流す嘘に騙され、カナデアもまた仲の良かった令息たちからも白い目で見られることとなる。  そんなある日、一つの婚約破棄事件をきっかけにカナデアは他にもミーナの被害にあった令嬢たちと一緒に休学を決意する。  傷心旅行と称してしばしバカンスを楽しんでいたカナデアたちは、やがて都合の良い引き立て役を用意できなくなったミーナの愚行とその末路を耳にすることになり……。

幼馴染の許嫁

山見月あいまゆ
恋愛
私にとって世界一かっこいい男の子は、同い年で幼馴染の高校1年、朝霧 連(あさぎり れん)だ。 彼は、私の許嫁だ。 ___あの日までは その日、私は連に私の手作りのお弁当を届けに行く時だった 連を見つけたとき、連は私が知らない女の子と一緒だった 連はモテるからいつも、周りに女の子がいるのは慣れいてたがもやもやした気持ちになった 女の子は、薄い緑色の髪、ピンク色の瞳、ピンクのフリルのついたワンピース 誰が見ても、愛らしいと思う子だった。 それに比べて、自分は濃い藍色の髪に、水色の瞳、目には大きな黒色の眼鏡 どうみても、女の子よりも女子力が低そうな黄土色の入ったお洋服 どちらが可愛いかなんて100人中100人が女の子のほうが、かわいいというだろう 「こっちを見ている人がいるよ、知り合い?」 可愛い声で連に私のことを聞いているのが聞こえる 「ああ、あれが例の許嫁、氷瀬 美鈴(こおりせ みすず)だ。」 例のってことは、前から私のことを話していたのか。 それだけでも、ショックだった。 その時、連はよしっと覚悟を決めた顔をした 「美鈴、許嫁をやめてくれないか。」 頭を殴られた感覚だった。 いや、それ以上だったかもしれない。 「結婚や恋愛は、好きな子としたいんだ。」 受け入れたくない。 けど、これが連の本心なんだ。 受け入れるしかない 一つだけ、わかったことがある 私は、連に 「許嫁、やめますっ」 選ばれなかったんだ… 八つ当たりの感覚で連に向かって、そして女の子に向かって言った。

処理中です...