君と、僕と、キミたちと…

みやび

文字の大きさ
12 / 15

鳴らない着信、震えたバイブ…

しおりを挟む
そんなこんなで晴れて雅と仁は連絡先の交換を済ませたものの、雅はメールを入れる事も出来なかった。そんなある日の昼食の時間。いつも通りに雅と一花は一緒に食べていた。

「…どう?入れれた?」
「入れれない…」
「なんでよ。教えてくれたって事は、入れていいよって事じゃないの?」
「そうかもしれないけど…返事返ってこなかったときのあの不安感…」
「そんなこと言ったことないじゃない」
「……うん…」
「部活でもあってるんでしょ?」
「会うよ?会いますけど…」
「その時に何か言われたりとかは?」
「全く…何も…」
「……んー、そうかぁ…聞いてみる?」
「誰によ…」
「隼君に」
「なんて…?」
「まぁまぁ、聞いていいなら私それとなく聞いちゃうけど?」

そう切り出せば、箸を一旦おいて一花はぽちぽとメッセージを入れていた。

「これでなんとなく分かるかもしれないよ?」
「知りませんって言われるかも…」
「それならいっその事思い切って入れちゃうんだよ」
「……そう…かな」

はぁっと大きなため息を吐いている雅によしよしと笑いかける一花だった。

***

その頃の二年二組の教室…

「…あなたが珍しいですね」
「ぁあ?何がよ」
「いえ?そんな風に女性からのアプローチをただひたすらに待つだなんて…」
「うるせぇよ…」
「そうは言っても、もしかして初めてじゃないですか?」
「それ…意外とだせぇからいうなよ?」
「誰、にですか?」
「……ッッ」

そんな話をしている時だ。ブブ…っと隼のスマホが震えた。

「…なるほど…そういう事ですか…」
「あんだよ」
「いえ、聞きたくないかもしれないので話しませんけど…」
「すげぇ気になる言い方するんじゃねぇよ」
「いえいえ、そうは言いましても、聞きたくないでしょ?夏目先輩の事…」
「……ッ…言って」
「…クス…一花からです。」

そう言って送られてきたばかりのラインの画面を見せた隼。突っ伏したまま、ちらりとその画面を見る仁の目元は見ている間に細く、すぐにスマホを取り出した。

「…おやまぁ…」

勢いに任せて仁はタタタ…っとメッセージを打っていく。ひとしきり打ったかと思えばそのままポケットにしまい込んだ。

「…進めました?」
「これで返事来なかったら俺、マジで泣いていい?」
「やめてください、面倒くさい…」

そう話していた。



そんな時だ…ブブっと雅の携帯が震えた。

「ま、って…ねぇ、一花…どうしよう…」
「何、どうかした?」
「…青木君、から…」
「なんでそんなに慌ててるのよ、私慌てるような内容隼君に入れてないよ?」
「でも…ッッ」
「メッセージ来たなら、ちょうどいいじゃん、雅も何か入れてみたら?」
「入れなかったら勘違いされちゃう…」
「え?」

ゆっくりとこちらも雅が一花に見せた。

『ライン交換して一週間になるけど、遊ばれてる?それか、俺嫌われてたりする?』

「ちょ、早く返事入れないと…!」
「そうなんだけど…うまく入れられない…」
「ゆっくりでもいいからちゃんと今日中に返事入れなよ?」

そう言われた雅。入れたくなかったわけではない。ただ、好きになりすぎていた。それだけでうまく言葉に出来ず、入れたことによって嫌われたくない、変な事を入れなかったか…とか必要以上に考えてしまう…そう言っていた。

「…その気持ちも分かるけど…でも雅が不安に思ってる以上に青木君も不安なのかもね」
「そうなのかな…」

そう言われてもなかなかと打っては消してを繰り返している雅だった。この日は部活も休みの日。しかし雅はいつも通りにと道場に向かっていく。

「…まだ入れられてない…やばい…」

しかしどんなことを入れたらいいのか、分からないままにリアクションだけを入れるのみで終わってしまった。紫音も合流して気の済むまで打てばそのまま学校を後にする。

「…おい」
「え?何?」
「今日はまだ俺らだけの自主練だからいいけど、明日にはその感情、持ち込むんじゃねぇよ?」
「…へ?」
「気付いてねぇとでも思ったか」
「だって…」
「何考えてんのか、何迷ってんのか分かんねぇけどな?いいな」

そう言ってふいっと背中を向ければ紫音は先に帰っていく。バスに乗り、雅も家に帰っていった。夕飯、入浴も終えて部屋に戻ってスマホを開いた時だ。

「…ッ…なんで…」

着信が一件、の表示と共に現れたのは仁の名前だった。

「…これって…」

いてもたってもいられなくなり、雅はゆっくりと通話ボタンを押した。

『もしもし?』
「あ、えっと…夏目です…青木、君?」
『そうっすよ、どうかしましたか?』
「どうかしたって…いうか…その、着信あったから…」
『それでかけてくれたって事?』
「はい…ごめんなさい…お風呂入ってて…」
『クス…大丈夫っすよ、それよりも今、少し大丈夫っすか?』
「ん、どうしたの?」
『……』
「青木君?」
『どうしたは先輩の方ですよ』

そういう声、そして電話越しの声はいつもよりも少しだけ変わって聞こえた。ただそれだけで雅の心拍数はどんどんと上がっていく。

「…あの…」
『この着信で何もなかったらマジでどうしようかと思ってた』
「え?」
『だぁって…交換してから一週間、何の音沙汰もねぇんだからそうも思うだろ…』
「…あの…」
『…でも良かったっすよ』

一瞬口調が変わったものの、すぐにいつもの仁の口調に戻っていく。

「あの、」
『嫌われてなくて安心しました』
「…そんな事はなくて…その、本当はずっと、ライン入れたかったの…でも、なんか変なこと言って嫌われたらどうしようかなとか…今以上に口聞けなくなったら嫌だなとか…すごく考えちゃって…だから青木君の事嫌いとかそういうんじゃなくて…」
『ちょ、先輩?ストップ』
「…ッッ」

話し出したら止まらなくなった雅の言葉を仁は一旦ストップをかけて止めていた。

『わかったって、大丈夫っすよ、そんな事で嫌いにならねぇから』
「…でも不安だったから…」
『不安って…クスクス…それって俺の事好きみたいに聞こえますよ?』
「ちが、そうじゃなくて…あの、部活とかでもよく話してくれるし…その…」

いろんな気持ちを一気に間違って伝えた雅。それでも電話口の仁の声は明るかった。

『でも、まぁ、俺の方こそ良かったって話。それじゃ、お休み』
「え…あ、うん。おやすみなさい」

少しだけあっけなくも感じた切れ口だった。それでも新しく知った仁の電話口での声に雅の心は跳ねていた。



その頃の仁は…折り返し誰かに電話をかけていた。

『もしもし?なんですか?バイト終わってすぐの時間でしょう?』
「……」
『仁?』
「……待てって…破壊力半端ねぇ…どうしよう、隼」
『切りましょうか?』
「待て待て…切るな…」
『何なんですか、一体』

そう、電話の相手は他の誰でもなく、隼だった。

「電話口の声がよ、めっちゃ可愛いの、どうしたらいい?俺…」
『知りませんよ、それで?電話がかかってきたんですか?』
「俺がかけちゃってた折り返しなんだけど…」
『あなたがかけたんですか…』
「だってよ…あのラインの返事もずっとなくて、リアクションだけポンってあったから…かけちゃった」
『はぁ…かけちゃったって…なんで夏目先輩に対してはそんなに余裕がないんですか』
「俺が聞きてぇよ」
『それで?理由は聞けたんですか?』
「……」
『仁?』
「……俺に嫌われたくないからって…」
『はい?あなたの良い様に解釈してません?』
「違う…そう確かに言ったんだよ」
『それであなたなんて言ったんですか?』
「俺の事好きって聞こえるって…」
『あー、バカですね。なんでそこで茶化すんですか…』
「そしたら必死に違うって…」
『そりゃもし仮にあなたの事が好きだとしてもそんな聞かれ方されたら違うとしか言えなくなりますよ。』

そう言われながらもバイトの帰り道にため息を吐きながらも仁は帰宅に至っていくのだった。誰も居ないその家の中…シャワーを浴びて自身の部屋に入っていく。ベッドにドサっと寝転べばスマホを見つめていた。

「…っと、」

その時、ブブっと震えると雅からメッセージが入ってくる。何も入ってこないその画面を見つめていたタイミングだったため慌てていた。

「…ッ反則、だろ、こんなの…」

入ってきた内容を見て仁はボスっとその手をベッドに沈めた。

『この間言ってたお祝いの事なんですか、まだ有効ですか?有効なら明日お話したい事あります』

不意打ち過ぎる雅からの誘いだった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

一条さん結婚したんですか⁉︎

あさとよる
恋愛
みんなの憧れハイスペックエリートサラリーマン『一条 美郷(※超イケメン)』が、結婚してしまった⁉︎ 嫁ラブの旦那様と毒舌地味嫁(花ちゃん)....とっ!その他大勢でお送りしますっ♡ ((残念なイケメンの一途過ぎる溺愛♡))のはじまりはじまり〜 ⭐︎本編は完結しております⭐︎ ⭐︎番外編更新中⭐︎

思い出さなければ良かったのに

田沢みん
恋愛
「お前の29歳の誕生日には絶対に帰って来るから」そう言い残して3年後、彼は私の誕生日に帰って来た。 大事なことを忘れたまま。 *本編完結済。不定期で番外編を更新中です。

マチ恋 ―君に捧げるLove song― 一夜の相手はスーパースター。誰にも言えない秘密の恋。【完結】

remo
恋愛
あなたにとっては遊びでも、私にとっては、…奇跡の夜だった。 地味で平凡で取り柄のない私に起きた一夜のキセキ。 水村ゆい、23歳、シングルマザー。 誰にも言えないけど、愛息子の父親は、 今人気絶頂バンドのボーカルなんです。 初めての恋。奇跡の恋。離れ離れの恋。不倫の恋。一途な恋。最後の恋。 待っている… 人生で、一度だけの恋。 【完結】ありがとうございました‼︎

お前が欲しくて堪らない〜年下御曹司との政略結婚

ラヴ KAZU
恋愛
忌まわしい過去から抜けられず、恋愛に臆病になっているアラフォー葉村美鈴。 五歳の時の初恋相手との結婚を願っている若き御曹司戸倉慶。 ある日美鈴の父親の会社の借金を支払う代わりに美鈴との政略結婚を申し出た慶。 年下御曹司との政略結婚に幸せを感じることが出来ず、諦めていたが、信じられない慶の愛情に困惑する美鈴。 慶に惹かれる気持ちと過去のトラウマから男性を拒否してしまう身体。 二人の恋の行方は……

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

半年間、俺の妻になれ〜幼馴染CEOのありえない求婚から始まる仮初の溺愛新婚生活〜 崖っぷち元社畜、会社が倒産したら玉の輿に乗りました!?

とろみ
恋愛
出勤したら会社が無くなっていた。 高瀬由衣(たかせゆい)二十七歳。金ナシ、職ナシ、彼氏ナシ。ついでに結婚願望も丸でナシ。 明日までに家賃を用意できなければ更に家も無くなってしまう。でも絶対田舎の実家には帰りたくない!! そんな崖っぷちの由衣に救いの手を差し伸べたのは、幼なじみで大企業CEOの宮坂直人(みやさかなおと)。 「なぁ、俺と結婚しないか?」 直人は縁談よけのため、由衣に仮初の花嫁役を打診する。その代わりその間の生活費は全て直人が持つという。 便利な仮初の妻が欲しい直人と、金は無いけど東京に居続けたい由衣。 利害の一致から始まった愛のない結婚生活のはずが、気付けばいつの間にか世話焼きで独占欲強めな幼なじみCEOに囲い込まれていて――。

あなたの秘密を知ってしまったから私は消えます

おぜいくと
恋愛
「あなたの秘密を知ってしまったから私は消えます。さようなら」 そう書き残してエアリーはいなくなった…… 緑豊かな高原地帯にあるデニスミール王国の王子ロイスは、来月にエアリーと結婚式を挙げる予定だった。エアリーは隣国アーランドの王女で、元々は政略結婚が目的で引き合わされたのだが、誰にでも平等に接するエアリーの姿勢や穢れを知らない澄んだ目に俺は惹かれた。俺はエアリーに素直な気持ちを伝え、王家に代々伝わる指輪を渡した。エアリーはとても喜んでくれた。俺は早めにエアリーを呼び寄せた。デニスミールでの暮らしに慣れてほしかったからだ。初めは人見知りを発揮していたエアリーだったが、次第に打ち解けていった。 そう思っていたのに。 エアリーは突然姿を消した。俺が渡した指輪を置いて…… ※ストーリーは、ロイスとエアリーそれぞれの視点で交互に進みます。

地味な私を捨てた元婚約者にざまぁ返し!私の才能に惚れたハイスペ社長にスカウトされ溺愛されてます

久遠翠
恋愛
「君は、可愛げがない。いつも数字しか見ていないじゃないか」 大手商社に勤める地味なOL・相沢美月は、エリートの婚約者・高遠彰から突然婚約破棄を告げられる。 彼の心変わりと社内での孤立に傷つき、退職を選んだ美月。 しかし、彼らは知らなかった。彼女には、IT業界で“K”という名で知られる伝説的なデータアナリストという、もう一つの顔があったことを。 失意の中、足を運んだ交流会で美月が出会ったのは、急成長中のIT企業「ホライゾン・テクノロジーズ」の若き社長・一条蓮。 彼女が何気なく口にした市場分析の鋭さに衝撃を受けた蓮は、すぐさま彼女を破格の条件でスカウトする。 「君のその目で、俺と未来を見てほしい」──。 蓮の情熱に心を動かされ、新たな一歩を踏み出した美月は、その才能を遺憾なく発揮していく。 地味なOLから、誰もが注目するキャリアウーマンへ。 そして、仕事のパートナーである蓮の、真っ直ぐで誠実な愛情に、凍てついていた心は次第に溶かされていく。 これは、才能というガラスの靴を見出された、一人の女性のシンデレラストーリー。 数字の奥に隠された真実を見抜く彼女が、本当の愛と幸せを掴むまでの、最高にドラマチックな逆転ラブストーリー。

処理中です...