君と、僕と、キミたちと…

みやび

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花火大会

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そして合宿も終わり、それぞれが戻っていく。その中で八月の第二週目の日曜日…

「…お祭りあるんだ…」

それも毎年の事。そして去年までは紫音と一花と三人で行っていた。

「…今年も声、かけてみようかな…」

雅は一花にメールを入れてみる。

『一花、今年の花火、桐生君と行く?』
『え、みんなで行かないの?』

そう直ぐに返事が返ってくる。

「…皆って…」

ぽつりとつぶやく雅。そんな時に追いラインが入ってきた。

『みんなで五人になるでしょ、どうする?』
『どうする、とは…』
『だって、私は隼君と一緒だし、雅は紫音?青木君?』
『そういう事か…』
『そうそう、去年まで一緒に紫音と私と三人で行ってて今年いきなり誘わないも違くない?』
『それなら紫音かな?』
『え?!待って、どういう事?』
『多分、仁君、バイト』

そのメッセージが既読になった後、少しの間返事が来なかった。

「…そうだよなぁ…」

しかし、一旦伏せてすぐにスマホがなってくる。

「…もしもし?一花?」
『待って、雅!青木君の事、名前呼びした?!』
「いきなりだな……。でも、うん」
『えー、何その進展!!』
「ほら、毎年恒例の弓道部の合宿。あの時に…ちょっと…」
『聞きたいなぁ、その話。』
「今度会ったらと思って…メール入れようとも思ったけど長くなりそうで…」
『そっかそっか、でもそれ紫音知ったらどうなるかね』
「紫音にって…クス…なんとも言われなかったよ。それにそうなる的なのは紫音も知ってたし…」
『…詳しく、きかせろーー!!!』

そう言われて翌日、カフェで会う事にするのだった。そんな電話終わり、雅は紫音にラインを入れていた。

『ねぇ紫音、いまいい?』
『なんだ』

相変わらずのひと言の返事に雅は少し笑いながらもぽちぽち入れ始める。

『今年の8月の10日のご予定はありますか』
『明らかに花火だろ』
『そう!!行こ?!』
『青木はどうした。』
『仁君多分バイトだよ?』
『聞いたのか?』
『聞いてはないけど…夏休みほとんどバイトだって言ってた』
『聞いてからにしても遅くねぇだろ。考えろ』

そう言われて雅は、少し膨れながらも仁にラインを入れる。

『あの仁君、8月10日ってバイトかな』

しかし既読は付かずにしばらく待つことになった。二時間くらいした時だった。

『遅くなってごめん。バイトだな。』

「そうだよなぁ…」

返事を入れる前に追いラインの様に仁から再度入ってくる。

『何かあった?』
『ううん?一日だよね』
『まぁね。というか、昼から夜まで?』
『そか、無理しないでね?』

そう入れるしかなかった。

『紫音花火いこ』

しかし今度は紫音からの連絡もなかった。少しして着信が入る。

「もしもし?」
『俺』
「ん、どうかした?」
『お前が誘ってんだろうが』
「あ、花火?紫音も予定があったら悪いよなぁって…」
『毎年三人で行ってんだろうが。それでも今年は一花と桐生が付き合ってんだからどうなるかなとは思ったけどな?』
「空けてくれてるって事?」
『うぬぼれんな、ただ俺も相手がいないだけだ』
「クスクス…ありがと。じゃぁ、空けといてね?」
『お前のが心配だけどな』
「え?」
『なんでもねぇよ。じゃぁな。』
「あ、紫音!」
『何だよ』
「……」
『何だって、』
「…紫音も浴衣着てきてね?」
『は?…めんどくせぇ』
「去年服だったでしょ?その前は浴衣だったのに…」
『…考えとく』

そうして電話は切れた。

「…一方的なんだから…」

そう言いながらもどことなく嬉しそうだった。

***

部活に、勉強…そんな毎日が続く中で花火大会の日…夕方に近くの駅に待ち合わせをする四人。

「…あ、来た来た…!」
「お待たせ!雅!」
「ううん、大丈夫!てか一花かわいい!桐生君もこんにちわ!」
「こんにちわ。夏目先輩も浴衣だったんですね」
「ん、でも一花にはかなわないけどね!」
「それはそうですね」
「え、失礼」

クスクスと笑い合う中で雅はキョロキョロと見渡す。そんな時だ。

「…あ、きたきた、仏頂面」
「あっれ、紫音も浴衣?」
「こいつがうるせぇだけだ」
「去年と同じ服かと思った」
「つっても俺以外三人とも浴衣で俺だけ服ってのもおかしいだろうが」
「クス…」
「桐生、何が言いたい」
「いえ?なんでもありません」

そうして四人で歩いていく。雅と一花が下駄と言う事もあり、男二人もあれこれと見ながらも合わせて歩く。

「あ、雅!あっち!」
「あー!かわいい!」

そう言いながらも屋台に向かっていく二人を見ながらも隼は紫音に声をかけた。

「でも、びっくりしました。」
「何がだ」
「いえ、いくら一年の時からのといえど、夏目先輩のお願い通りにあなたが動くとは…」
「別に?たかが浴衣着るだけだろうが。」
「あなたと一緒に花火を見たいっていう女性はたくさんいたはずですが?」
「あぁ、誘われたな」
「それを全て断って、仁に思いを寄せている夏目先輩に付き合ってる、というわけですか」
「うるせぇよ」
「僕が言う事ではないと思いますが、仁も相当彼女に惚れこんでますよ?」
「だからなんだ」
「……紫音?」
「…ぁあ?」

不意に名前を呼ばれる。少し離れた所から手を振る二人に振り返して答える隼はそのまま続けた。

「僕と同じクラスの小坂さん、知ってるでしょう?」
「小坂…?……あぁ、うちのマネージャーか」
「えぇ、そうです。あの子、あなたの事を好きなのは知ってますか?」
「あぁ。はっきりと言われてないけどな?」
「彼女、どうですか?」
「どうっていうのは、付き合うとかって事か?」
「はい。悪い子ではないと思いますが?」
「…今は彼女とかいらねぇよ」
「今まで付き合ったことは?」
「失礼すぎるだろ、お前」
「あります?」
「あぁ。一年の時にな?」
「……それはそれは…」

そう話している時に雅と一花がパタパタと二人の元にやってきた。

「なぁに話してるの?」
「いや、別に?」
「別にって顔してないじゃん」
「うるせぇよ。それよりもお目当ては取れたわけ?」
「え、取れない…」
「どれ?」
「取ってくれるの?」
「聞いただけだ」

そう言いながらも雅と紫音はさっきまで一花といた露店に向かっていく。

「ねぇ一花?」
「何?」
「あの二人って付き合ってたとかって事は…?」
「あー、一年の時に付き合ってたみたいだけど…」
「なんであれで別れたんでしょうかね…」
「クス…」
「なんですか?」
「気になる?」
「まぁ、少しは?相手があの紫音ですし」
「…付き合ってても付き合ってなくても同じ距離感だからって」
「はい?」
「だよね。私も別れたって聞いた時に隼君と同じ反応したもん」
「あの二人が付き合ってる時に一花と一緒にっていうのは?」
「よくあったよー?私が都合悪いーって時には二人だったみたいだけど」
「そうなんですね」
「だから周りで付き合ってるとかって噂があるのはそのせいかもね」
「なるほど…・・それで一花?」
「何?」
「少し離れませんか?あの二人から」
「……ん」

きゅっと握られた隼の手を握り返す一花。そのまま二人に声をかける事も無いままに離れていく。離れて時期に隼は紫音にラインを入れていた。

「隼君…」
「一花?さっきも言いましたけど…?」
「……ッ…呼び慣れてない…」
「慣れてくれませんか?」
「…ッ…隼…」
「ん、何?」

ふと言葉が崩れる瞬間だった。
一方その頃、欲しいと思っていたぬいぐるみ、ではなくその横にあったキーホルダーが取れて笑っている雅と紫音。

「ねぇ見てぇ?一、花……ってあれ…」

きょろきょろと見渡すものの、その姿はなかった。

「…ねぇ、紫音、一花たちいない…」
「…心配ねぇよ」
「心配ないって…」
「二人で別れていった」

そう言えば雅にスマホの画面を見せた紫音だった。

「あーそっか…そう、だよね…」
「ほら、行くぞ」
「え?」
「見るんだろ、花火。そろそろ移動しねぇとまた混むぞ?」
「ん…」

そう小さく返事をする雅の手を黙って掬い取る紫音。

「…紫音?」
「迷子になられても困る」
「…ありがと…」

やんわりと絡める指に答える様に雅は握り返していた。よく見える少し離れた所に移動すれば空を見上げる。

「…相変わらずだな…」
「何が?」
「…いや?」

フッと笑みを浮かべながらも紫音は雅の横顔を見つめ、花火が揚がるタイミングでぽつりとつぶやく…ーーーー

「え、何?何か言った?紫音」
「いや、間抜け面って言っただけだ」
「は?失礼すぎる…」
「ぽかーんと口開けながらにやにやして見上げてたら間抜け面だろうが。」

ふいっと顔を背けながらもカシャっと何枚も花火の写真を撮っていく雅だった。そのスマホを奪うかの様に取ればインカメラにして縦写真で写真を撮る紫音。

「…な、準備も何もない!」
「気にするところじゃねぇだろ」
「気にする!」
「大丈夫だ、白目じゃねぇ」
「それだと最悪なんですけど」
「毎年のことだろうが」
「…・・ッ…いつまでこうして撮れるかな」
「ぁあ?」
「なんてね」

そう話しながらも混む前にと雅は帰ろっか?と促した。ただでさえ人混みが苦手な紫音なのだ。それを加味しての言葉だった。ゆっくりと歩いていく。その時、気にも留めていなかったものの、仁のバイト先の店の前を通った二人。その姿を仁に見られていたとも思ってもみない雅だったものの、繋いでいる指はそのままに取ってもらったキーホルダーを眺めて歩いていくのだった。
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