社畜から卒業したんだから異世界を自由に謳歌します

湯崎noa

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第2章・モフモフで可愛いケモノっ子

030:世界の動き

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 時間は遡って俺たちがエルバーグ王国を出発してから、2日後の王都《ザッツリング》である。
 国王である〈ソルズベリー3世〉は、いつもの様に自室で国王とのしての仕事をしていると兵士が走ってやってくる。


「ソルズベリー陛下っ!! 失礼致します………急ぎで報告したい事があり、馳せ参じました!!」

「急ぎで報告だと? そんなに急ぎの事か………ならば話してみよ。そんなに何を急いでいるのだ?」

「そ それが!! クロスロード連盟軍の本部大佐が、御目通りしたいと言ってきております!!」

「何だと? まさか宰相の拿捕に、連盟軍の本部大佐が出向くというのか………仕方あるまいか。ならば、余も直ぐに王座に向かうとしようか」


 何やら兵士は焦っている様子で、何やら世界連盟のクロスロード連盟軍という組織の本部大佐が来たらしい。
 それに対してソルズベリー3世は、小陸のたかだか宰相を捕まえる為に、クロスロード連盟軍の本部が動くなんてあり得ないと驚いている。
 しかし来てしまったものは仕方ないと思い、本部大佐を無下に扱えば国として世界連盟に目をつけれられかねない。
 ソルズベリー3世は重たい腰を上げて、自室から出ると王座まで行って大佐が来るのを待つ。


「おぉ良くぞ来てくれた。わざわざ宰相1人を捕まえる為に、本部大佐が来るなんて、ご苦労な事だ」

「何ですかい? その言い方は……この俺が来ちゃいけない理由でもあるんですかい………ねぇソルズベリー陛下」

【クロスロード連盟軍:大佐・ルーカス=エマーソン】

「ちっ。食えない男だ……」


 エルバーグ王国にやってきたのは、クロスロード連盟軍の本部大佐〈ルーカス=エマーソン〉だった。
 クロスロード連盟軍とは、世界連盟が運営している全世界の治安維持を行う為に組織された軍隊で、加盟国から腕の立つ軍人たちが階級を持って活動している。
 ルーカスは角張った顔、右頬に大きな切り傷の跡、細い目に葉巻を咥えているという厳つい風貌をしている。


「こんな小物の宰相を捕まえる為に、23歳にして少尉になり6年後に大佐まで成り上がり………あの《海上戦争・アトランティスの戦い》でも生き残った。そんな君が、小物を捕まえに来るなんて上の人間にこき使われているのかい」

「そんな心配は要りませんよ。エルフの奴隷売買なんてのは、世界平和条約に大いに反する行為………本部が動いたっておかしくは無いでしょお?」

「余としては、クロスロード連盟軍じゃなく………世界の秩序を裏で管理している《ISO》が来るかと思ったわい」

「そんなの決まってるじゃ無いですかい。その《ISO》に先を越されたく無いから、この俺が来たんですよ」


 ソルズベリー3世はクロスロード連盟軍が来るのではなく、連盟軍とは異なり裏での活動が多い《ISO》という組織が来ると思っていた事を明かす、するとルーカスは嫌な顔をして煙を吐く。


「とにかく、その宰相を引き渡していただきましょうか。我々の仕事は、まだまだ残ってるんですからね」

「良かろう。こちらとしても持て余す犯罪者ゆえな、さっさと身柄を引き渡したいと思っていたところじゃ」


 ルーカスは忙しいのだから早く宰相を引き渡せと、オブラートに包んで催促するのである。
 ソルズベリー3世としては早く引き渡したいくらいに、この国には持て余す程の罪人だ。
 宰相は兵士によって連れてこられて、ルーカスによって手に手錠をつけられる。


「お前がエルフを売買したって宰相か………中々に国際犯罪者とは思えない人間だな」

「うるせぇ。さっさと監獄にでも連れてい……ぶはっ!?」

「口の利き方には気をつけろよ? テメェは腐っても国際犯罪者だ………つまりは俺の最大の敵ってわけだ」


 ルーカスは国際犯罪者を多く捕まえている為に、今回の様に高そうな服を着て学のある人間を捕まえるのは珍しい。
 しかし手錠をかけられた宰相が、ルーカスに向かって文句を垂れた途端に腹を殴って気を失わせたのである。


「ソルズベリー陛下。この国際犯罪者を捕まえるのに尽力してもらい感謝する………しかし2度と、こんな事をする人間を国の上層部から出さない様にしてくれ」

「あ あぁ善処しよう………」


 ルーカスはソルズベリー3世に、こんな事を2度と国の上層部から出すなと言って立ち去っていく。



* * *



 場所は戻りアカシア島のジャック大船団の根城に戻る。
 俺はジャックのパンチによって吹き飛んでいき、けっこうなダメージを感じながらも立ち上がる。


「シュナちゃん。俺は前衛をやるから、俺と相手の隙を突いて援護してくれるかい?」

「そ それは分かったにゃ。しかしダメージの方は大丈夫なのかにゃ?」

「ダメージなんてあってない様なものだ………気にしなくて良いさ」


 俺としては真っ向からやりたい為に、近くに人がいれば巻き込みかねないので、シュナちゃんには俺たちの様子を見ながら援護をして欲しいと頼む。
 それには快く引き受けてくれたが、それよりも俺の身体中から血が流れている事を心配してくれている。
 アドレナリンが出ているからか、不思議と俺は血が流れていようと痛みは感じていない。


「おぉ意外にタフじゃねぇか。今のを喰らって立ってられたのは多くねぇぞ………久しぶりに燃えてくるじゃねぇか」

「テメェが燃えるなんて知ったこっちゃねぇよ。力負けした事が悔しい………もう1度だっ!!」

・筋力増強魔法Level2

「面白い!! 真っ向勝負というわけだな!!」


 俺は筋力増強魔法を使って筋力を上げて、ジャックと真っ向から殴り合う為に飛び出した。
 ジャックも面白いと拳に力を込めて、俺に向かって飛び出し2人は互いに拳を合わせるのである。
 その際に爆風が起きてシュナちゃんは動けなくなり、援護をしようにも手も足も出ない状態だ。


「まだまだ軽いんだよ!!」

「なっ!? うわぁああああ!!!!!」


 俺は2度目の力負けをして吹き飛ばされていった。
 俺は筋力増強魔法を使っていたが、ジャックは魔法を使っている感じはしなかったから素のパワーだったのだろう。
 こんなにも力負けをしたのは、初めてだった為に思わず頬が緩んで笑みが溢れてしまう。


「ほぉ? この窮地の場面に笑みを溢すとは………何の為に、この根城に潜入した? 俺にやられる為か?」

「そんなわけがねぇだろうよ………」


 俺が笑みを溢している事に、ジャックは頭がおかしいと笑いながら近寄ってくる。
 俺はフラフラになりながらも立ち上がり、ジャックが何の為に来たのかと聞かれたので答えた。


「俺たちは、兎人族をテメェらの様なカスから守る為に来たんだよ………返してもらおうじゃねぇか」

「兎人族だと? あぁそんなのも居たなぁ………もうアイツらにはの価値も無いからな。既に用済みって奴だよ」

「儀式だと? 何の儀式だ………何の為に、獣人を攫ってきたんだよ!!」

「そんなの教える筋合いはねぇ………テメェは、ここで獣人と共にしに耐えるんだよ!!」


 何やらジャックは兎人族を儀式に利用したらしく、もう儀式は終わっているので兎人族はもう済みだと話した。
 なんの儀式の為に獣人たちを使っているのかと聞くが、ジャックは俺には教える筋合いは無いと拳を振り上げて俺に振るう。
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