日本大戦〜日本が大変な事になりました〜

湯崎noa

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第1章・王弟の反乱 編

018:ことの成り行き

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 俺は井出咲と激しい火花が出る戦いを繰り広げる。
 井出咲に剣を弾かれても直ぐに距離を潰し、追撃の攻撃をさせないようにするのである。
 しかし井出咲も俺の背中を蹴る勢いで後ろに下がってから、俺に斬りかかってくる。
 防がなきゃいけないと弾かれた剣を力ずくで戻して、鍔迫り合いの状態に戻す。


「俺の攻撃に対応するか………ここまでの実力があるのならば、あと数年の経験を積む事でトップになれるはずだったのにな。そんな未来の芽を摘むのは、何とも心が痛むものがあるなぁ」

「そんな事は気にしなくて良いぞ。この世界は弱肉強食なんだろ? それなら俺が死のうが、テメェが死のうが誰のせいでも無いだろ? まぁ俺も思うところがあるんだけどよ………最後に悪は滅びるって事を、その身を持って解らせてやるからよ」

「どこまでも減らず口を叩くガキだな。それなら思う存分に、ストレスを発散させてもらおうじゃねぇか!」


 俺と井出咲は互いに頭突きをして、頭が後方に弾けて俺も井出咲も蹌踉めく。
 しかし俺はグッと歯を食いしばって剣を振り上げる。
 そのまま井出咲に向かって振り下ろす。
 確かに隙のある大きな攻撃ではあるが、それでも振り下ろす速度でプラスマイナスを無くしている。
 その証拠として井出咲は防ぐのでやっとだった。

 だが逆に言えば、俺の本気でも防がれたわけだ。
 この事実に関しては認めなければいけないところで、その上で井出咲の戦い中に進化しなければいけない。
 虐殺当たり前のクソ野郎だが、剣の腕前に関しては俺よりも遥かに頂点に近い人間だ。
 この男からも何かしらを吸収できる。
 いや、しなければいけないのだ。

 井出咲は横にスライドして俺の剣が地面に刺さして、隙が出来た俺に向かって剣を振るう。
 さすがに俺も剣を振り上げて防ぐ事はできない。
 その為、俺は状態を後ろに反らして攻撃を避ける。
 その態勢から俺は、体を捻って勢いを付けて、井出咲に向かって回し蹴りを放つのである。
 完全に多少のダメージを与えられると井出咲は、ほんの少しの過信をしていたのだろう。
 蹴りが飛んでくるなんて思っていなかった。
 その為、井出咲の首にクリーンヒットさせた。


「痛いなっ! こんな理不尽な蹴りを喰らったのは初めてだわ………どこで、そんな蹴りを習得した? 目上に対しての礼儀がなってないんじゃないのか?」

「テメェに礼儀なんて言われたくねぇんだよ! そもそも痛いなんて、本当は思ってないんだろ? テメェが、それくらいで痛がらないのは知ってんだぞ」

「おいおい、ふざけるんじゃねぇよ。俺を化け物みたいな言い方をするんじゃねぇ」

「化け物みたいな言い方っていうか。テメェは正真正銘の化け物じゃねぇか。虐殺を楽しんでやるし、認めたくは無いが実力もある………どこを切り取っても化け物の要素しかねぇだろうがよ!」


 井出咲は俺の蹴りを、嫌味を込めた賞賛をしてくる。
 そもそも今の蹴りで倒せるとは思ってはいない。


「この際だ、ガキに良い事を教えてやるよ。どうして俺が、この戦いに手を貸そうと思った分かるか?」

「いきなり何だよっ! 知ったこっちゃ無い………」

「まぁ良いから聞けよ」


 井出咲は俺に「なんで反乱軍に手を貸したと思う?」なんて、ふざけた事を質問して来た。
 俺は興味も無いので答えないようにした。
 しかし井出咲は拒否した俺を気にせずに話し始める。


「アレは俺が、日中合衆国の牢獄に収監されている時だったな………」


 そんな言葉から井出咲の長話がスタートする。



~~~~~~~~~~



 約7年前の話だ。
 戦地での虐殺行為や人道に反する行為多々として、井出咲は日中合衆国の首都にある〈極悪戦犯収容所(旧府中刑務所)〉に収監された。
 元々は大佐から准将に昇格するところだった為、それなりに知名度がある兵士だった。
 しかしそんな人間が収監されたのは話題となる。
 まぁ戦地での行き過ぎた虐殺行為をしてしまったのだから、戦犯として収監されるのは仕方ないだろう。


「井出咲大佐、貴殿に北星王国からの客人が来てるぞ」

「ん? 俺には北星王国の知り合いなんていないぞ」

「とにかく一緒に来てもらう」


 静かに余生を過ごそうと思っている井出咲大佐は、目を瞑って暗い房の中に佇んでいる。
 すると井出咲大佐に客人が来たと看守がやってくる。
 しかし本人は北星王国に知り合いなんて居ないからと拒否しようとしたが、無理矢理にでも連れ出された。
 そのまま収容所の応接室に連れて行かれる。

 応接室には高そうな服を着た男が座っていた。
 こんなところに、どうして北星王国の中でも位が高い人間が居るのかと疑問を持った。
 疑問を持ちながら、とりあえず椅子に座る。
 そもそも北星王国の人間が、何故こんなところに居るのかと強い疑問を持つのである。


「やぁ君が井出咲大佐だね? 本当に全身から鬼神というべきか、何というべきか………とにかく予想よりも遥かにオーラがあるね!」

「そりゃあどうも……それで俺に何の用件だ? 北星王国なんかに知り合いなんて居ないんだが?」

「そうだね、自己紹介をしなきゃだね。私は王太弟殿下の側近であり、人材配置に関して任されている」

「人材配置だと? 尚更、そんな人間が俺に何の用があんだよ? こんな他国の戦争犯罪者をよぉ」


 この男が王太子の弟の側近であり、さらに人材配置をしている人間だと分かった上で、どうしてそんな人間が俺のところに来たのかと聞く。


「我々は君の国のお偉いさんに掛け合ってみたんだ」

「国の上層部に掛け合った? 一体何を………ってまさか!? 俺を迎えようなんて思ってるのか?」

「その通りだっ! 悪行が轟いているのと同じくらい名声も届いている。だからこそ君を迎え入れたい………まぁその条件として、君には王太子暗殺のクーデターに加味してもらう事になるけどね」


 向こう側が提示して来たのは解放する代わりに、王太子に対するクーデターに加味して欲しいという事だ。
 それを聞いた井出咲は額から汗を流しながら驚く。
 まさか自分なんかにオファーが来るなんて、というよりも犯罪では無いのか。
 いや犯罪じゃないわけが無いだろう。


「もちろんタダでとは言わないよ。もしも王太弟殿下が王位を継いだ場合には、貴殿の戦場で行った事を不問とし、現場に復帰させて差し上げましょう」


 井出咲にとっては願ってもいない事だろう。
 瞬時に条件を飲んで北星王国に与する事を決めた。
 これが井出咲がクーデターに参加した一部始終だ。
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