日本大戦〜日本が大変な事になりました〜

湯崎noa

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第1章・王弟の反乱 編

019:飛ぶ鳥跡を濁さず

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019:飛ぶ鳥跡を濁さず
 井出咲の話を最後まで聞いてみたのだが………。
 あんまりピンッと来ない話でアングリした。
 確かに井出咲が、どうして反乱軍に与してクーデターに参加したのかという理由は分かった。
 しかし全くもって理解はできなかった。
 それがどうしてかというと、最終的に井出咲が参加を了承した理由は、また人を虐殺できるからだろう。
 そこの点が全くもって理解する事ができなかったところであり、コイツと俺の大きな違いだ。


「話したい事は話せたのか? それならさっさと決着をつけようじゃねぇか。ここはテメェのようなクソ野郎の話を聞くところじゃねぇんだよ」

「言ってくれるじゃねぇか、クソガキがよぉ! クソガキに言われなくても戦場が、どんなところなのかは理解してるっての。ていうか、クソガキは戦場に夢を見てるんじゃねぇか? ここは殺し合いの場所で、夢だの目標だのをかなえる場所じゃねぇんだよ!」


 そういうなり井出咲は斬りかかってきた。
 それを俺は真っ正面から受け止めて、鍔迫り合いになってグルグルッと、その場で回るのである。
 鍔迫り合いの状態から互いに後ろに飛び距離を取る。
 距離を取ったところで、俺は右足を後ろに引いて切先を井出咲の方に向けて突きをした。
 かなりの最大速度で突進して突きをした為、井出咲はギリギリで避けるのだが頬の肉を少し削いだ。

 井出咲は後ろに蹌踉めいて地面に手を着く。
 そして頬からダラダラと血が流れているのを、地面に垂れている血と、手で触って確認するのである。
 手に付いた血をペロッと舐めて不敵に笑う。
 するとスッと立ち上がって首を、ゴキゴキッと首の骨を鳴らしてギアを入れ替える。


「どこまで気に入らないガキだなぁ。このまま野放しにさせておくわけにはいかねぇな………ここら辺で、決着をつけさせて貰おうじゃねぇか」

「やれるもんならやってみろや! テメェなんかに倒されるようなたまじゃねぇんだぞ!」


 俺は井出咲に向かって走り出す。
 そして剣を振るフェイントをして、井出咲の腰にタックルをかますのである。
 腰から胸の方に体を移動させる。
 これによって井出咲は剣を振り下ろせなくした。
 身動きを取れなくさせられたので、どうにか振り解こうと体を左右に揺らすのである。

 しかし俺は必死になって緩めない。
 それにイラッとしたのか、井出咲は体を上手く動かして膝を俺の胸に撃ち込んできた。
 俺はダメージからグハッとしてしまった。
 それでも意地になって話さずに、どうにか井出咲を地面に倒してやろうと奮闘する。
 だが井出咲は腰を落として全身に力を入れる。
 その為、嘘みたいなバランス能力をしている。

 それでも俺は諦めずにしがみつく。
 もう鬱陶しくなったんだろうか。
 井出咲は立て続けに胸に膝を3回も入れてきた。
 根性には自信のある俺だったが、思わず「うぉ!?」と言って話してしまったのである。
 そして緩くなったのを確認してから井出咲は、自分の肘を俺の背中に叩き込んできた。
 そのまま俺は地面にバタンッと倒れ込む。


「ガキにしては良い根性をしてるじゃねぇか。まぁだけど、お前の悪運もここまでみたいだな」

「ふざけんじゃねぇよ。こんなところで死ぬわけにはいかねぇんだ………」

「そんなの関係ねぇよ。お前のようなガキが、ここで死んだところで誰も悲しまないんだよ! しかしお前のようなガキでも、俺が殺してやる事で俺の快楽は満たされるようになるんだ。それはありがたいと思えよ」

「どうでも良いけどよ、そんなに無防備で良いの?……勝ちが確定してるわけじゃねぇんだからさ!」


 俺の事を見下して語り始めた。
 すると俺はある事に気がつく。
 そこでニヤッと笑ってから、井出咲に油断しても良いのかと忠告するのである。
 それから井出咲の脛を剣で斬った。
 明らかな油断を俺は見逃さなかったのである。

 スパッと井出咲の脛を斬る事に成功した。
 それによって井出咲は、びっこを引きながら後ろに下がって険しい顔をする。
 あまりの痛みから苛立って「ふざけんじゃねぇよ!」と声を荒げて怒っている。
 しかしこれは油断をした井出咲が悪いだろう。
 俺は井出咲が距離を取ったのを確認してから、ゆっくりと立ち上がって土を払う。


「先輩よぉ、どれだけ格の差があってもよぉ。窮鼠猫を噛むって言うだろ? 相手の息の根を止めるまでは、油断しちゃあダメなんじゃ無いのか? それを分かっていないのにテメェは、よくも先輩面できたもんだ」

「ここまで恥をかかされたのは生まれて初めてだ………絶対にテメェは許さねぇぞっ! 命乞いをしても苦しんで死ねるようにしてやるからな!」

「やれるもんならやってみろ! 志を失って虐殺という快楽に負けたクソ野郎が、お前に負ける程に俺は弱くねぇんだよ! ここら辺で白黒ハッキリと付けようぜ!」


 俺の攻撃をモロに喰らった事と、俺に言い負かされそうになっている事に苛立っている。
 しかし俺は右脛を斬った事で、重心を後ろにせざるを得ない状況を作るのである。
 あまりの痛みと出血から強い一撃を出せない。
 その為、攻撃のリズムが単調で分かりやすくなる。
 面白いくらい、さっきまでとは違って俺に擦りもする事ができなくなったのである。

 それでも油断をすればやられるので、俺は井出咲の動きを集中して観察する。
 やはり経験なのだろうか。
 足を庇った戦い方でも十二分に強い。
 しかし俺からしたら難易度が、ハードからイージーになり、俺の方が先手を取るようになった。


「ちょこまかと逃げやがって………絶対にブチ殺してやるから覚悟しろよ!」

「口じゃなくて手を動かせよ! 動きが単調になってきてるぞ!」


 井出咲は口の割に動きが悪くなる。
 顔色も悪くなってきていて、俺が思ってるよりも出血量と疲労からダメージが大きいらしい。
 俺の攻撃が当たり始めて、さらに出血量を高める。
 だが失血死では俺の勝ちとは言い切れない。
 完璧に斬り伏せて討ち取らなければ納得できない。

 そこで俺は近くにいた敵兵の軍服の襟を掴むと、全力で井出咲の方に投げ飛ばした。
 井出咲は「邪魔だっ!」と言って仲間を斬った。
 そして俺の事を目視しようとしたが、さっきまで居た正面に俺の姿は無かったのである。
 どこに居るのだと井出咲は周りをキョロキョロする。
 しかし俺の姿は、どこにも居ない。

 タイミングを見計らったところで、俺は井出咲に向かって「こっちだぁ!」と叫ぶのである。
 その声をする方に顔を向けた井出咲。
 俺の姿は空中にあった。
 視界を塞いでいるうちに、俺は後ろに数歩下がってから敵兵の背中を使って井出咲に飛びかかっていた。


「そんなところに居たのかぁ!」

「井出咲、これで終わりだぁ!」


 井出咲は剣を横にして俺の剣を受け止めようとする。
 俺は全力で剣を振り上げて、空中から落下する力も利用して思い切り剣を振るう。
 すると井出咲の剣を粉々にして、そのまま井出咲の体を縦に一刀両断したのである。
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