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第1章・王弟の反乱 編
020:殿下の思惑
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020:殿下の思惑
俺に斬られた井出咲は、口からブハッと血を吐いた。
どうにか俺に最後の抵抗をしようとしたが、その前にバタンッと前に倒れて戦死した。
中々の激しい戦いで疲労困憊になった。
しかし戦争は続いているので、ここで気を抜けば側近の人間たちに殺されかねない。
なので根性を出して目の前の敵を斬っていく。
とりあえず伝達兵は、井出咲が戦死した事を伝えに本陣に向かって走っていった。
今回の内乱において井出咲の存在は大きかった。
その為、ここにきての戦死は何とも素晴らしい事だ。
伝達兵は本陣の天幕に到着したところで、直ぐに馬から降りて中に入るのである。
そして立ち膝をついて報告する。
「報告させていただきますっ! 只今、井出咲と少年の一騎討ちが決着いたしましたっ!」
「決着がついたのか! それでどうなったんだ!」
「見事に少年が井出咲を討ち取りましたっ!」
王子は俺の勝利を、つまり井出咲の戦死を聞いた。
全身の力が抜けて少し蹌踉めく。
しかしこんなところで満足するわけにはいかないと、伝達兵に井出咲死亡を知らしめるように言うのである。
それを聞かされた兵士は天幕を後にする。
その兵士と入れ違いに新たな伝達兵がやってくる。
「報告いたしますっ! 大馬大佐を筆頭に、多くの敵将を討ち取る事に成功しました!」
「そうか! これで局面が大きく動きそうだな」
井出咲の戦死を筆頭に、戦場に散らばっている敵将たちがバッタバッタと討ち取っていくのである。
これによって局面は、一気に最終局面に向かう。
指揮官を失った兵士たちは、連携を取りたくても取れなくなってゴチャゴチャになっていく。
明らかに戦況は王太子派に傾いた。
しかし敵兵たちは指揮官を失っても、負けたら一族皆殺しだと聞かされているので死ぬ気で戦う。
このままでは徹底抗戦をせざるを得ない。
どうにか降伏して貰えないかと思っていたら、新たな伝達兵がやってきて王子に報告する。
「函館県より牛丸大将が率いる軍が、こちらに向かって進軍してきています!」
「なんだと!? それは反乱軍に与すると言う事か?」
「そこまでは分かりませんが、牛丸大将が先頭で本陣に向かってきています!」
「まずいな。さすがに大将が率いる軍と、真っ向からやるだけの兵力は無い………」
報告というのが中立を宣言していた牛丸大将が、この本陣に向かって進軍してきているという。
ここから牛丸大将の軍を相手するのは難しい。
もしもクーデター派に与するというのならば、ここで内乱が終わってしまうだろう。
「俺が直接話すっ! お前たちも、もしもの時の為に戦闘準備をしておいてくれ!」
「えっ!? 王太子殿下が直接ですか? それは止めた方が良いと思います! さすがに危険すぎます!」
「そういうわけにもいかないだろう。お前たちを盾に、ここに隠れているなんて絶対にあり得ない………俺が牛丸大将に話を聞くっ!」
牛丸大将が何を企んでいるのかを、王子が直接聞いてみると言い出したのである。
側近の人間たちは危険すぎると反対する。
しかし総大将であり、国民の代表である王太子が隠れているわけにはいかないと言った。
そのまま装備を整えて天幕の外に出る。
するとドドドッという音が聞こえてくる。
俺も戦いながら聞こえていて、これはどっちに対する援軍なんだろうと疑問に思っていた。
しかし軍の先頭に牛丸大将の姿が見えた。
どうなっているのかと思っていたら、そのまま牛丸大将は王子の前で止まる。
そしてスッと馬から降りて王子に膝を着く。
王子が「表を上げろ」と言うと顔をスッと上げる。
「これはこれは殿下に会うのは、殿下が玉座に着いた時だと思っていました」
「そうはならなかったな。それで貴殿は、どうしてこんなところにいるんだ? 貴殿は今回の内乱に関しては、中立の立場を保つと言っていなかったか?」
「それに関してなんですが、あまりにも醜い戦いが続いていると聞きましたので、私の手で終わらせにきたんです。しかしどちらに与するかは決めかねていて………王太子殿下の王座についてからやる事を聞いてもよろしいでしょうか?」
中立の立場を守っていた牛丸大将だったが、あまりにも醜い兄弟喧嘩を目の当たりにして我慢できなくなったのだと明かしてくれた。
しかしどちらに与して戦争を終結させるかは、まだ決めておらず、王子に王になったら何をするかを聞いた。
どうやらこれを聞いて王太子に着くのか、それとも王太弟に着くのかを決めるらしい。
「まぁもっと簡単な言い方にしましょう。どのような王になりたいと、お考えなのですか?」
「俺は……天下人だっ! この200年続いている戦国時代に俺が終止符を打ち、唯一の王となる!」
牛丸大将の問いに対して、王子は即答で答えた。
天下人という事は、つまり日本を統一する人間を指す言葉で、それを聞いた人間たちは唖然とした。
それは牛丸大将も同じで眉毛がピクッと動いた。
「天下人ですか……この200年の戦国時で、そんな夢物語を宣言したのは、たったの1人しかいませんよ。その人は王といえども先頭に立って戦って〈武神〉とまで称された………」
「そこまでだっ! もう2度と俺の前で〈麗紅王(二ノ宮 忠晴)〉の名前を出すな」
この麗紅王とは第2代北星王国々王であり、王子との関係は祖父と孫という関係性だ。
そして王位についてから子供に3代目を継がせた後も戦争の先頭に立って戦っていた。
その姿から武神とまで呼ばれていたのである。
麗紅王を慕っていたのは、この牛丸大将だけじゃなくて、兵士なら誰でも尊敬の眼差しを向けるレベルだ。
その為、牛丸大将の前で麗紅王の話をするのはリスキーだと王子の側近の人間たちは冷や汗をかく。
しかし王子は引き下がるつもりは無い。
だからこそ続けて牛丸大将と、麗紅王の話を続ける。
「麗紅王が死んで、もう8年が経つのだぞ! 最も尊敬している主人を失って苦しんでいるのは理解してやる事はできる………しかしだっ! 貴殿が亡き麗紅王の影を追っているというのならば、それはもう2度と大将軍である牛丸は復活しないぞ!」
王子は牛丸大将に感じている事を全力でぶちまける。
それを牛丸大将は真剣な眼差しで聞くのである。
もう堪忍袋の尾が切れて、この場で王子が斬られても仕方ないと思える程の状況だ。
「ただし! 俺の下で再起したいというのならば、まずは麗紅王の影を追うのを止めて自分を見つめ直せ。そうしたら俺と共に戦おう」
色々と言った後に、王子は自分と一緒に戦って欲しいという趣旨の言い方をした。
すると牛丸大将は顔を下げて下を見つめる。
俺に斬られた井出咲は、口からブハッと血を吐いた。
どうにか俺に最後の抵抗をしようとしたが、その前にバタンッと前に倒れて戦死した。
中々の激しい戦いで疲労困憊になった。
しかし戦争は続いているので、ここで気を抜けば側近の人間たちに殺されかねない。
なので根性を出して目の前の敵を斬っていく。
とりあえず伝達兵は、井出咲が戦死した事を伝えに本陣に向かって走っていった。
今回の内乱において井出咲の存在は大きかった。
その為、ここにきての戦死は何とも素晴らしい事だ。
伝達兵は本陣の天幕に到着したところで、直ぐに馬から降りて中に入るのである。
そして立ち膝をついて報告する。
「報告させていただきますっ! 只今、井出咲と少年の一騎討ちが決着いたしましたっ!」
「決着がついたのか! それでどうなったんだ!」
「見事に少年が井出咲を討ち取りましたっ!」
王子は俺の勝利を、つまり井出咲の戦死を聞いた。
全身の力が抜けて少し蹌踉めく。
しかしこんなところで満足するわけにはいかないと、伝達兵に井出咲死亡を知らしめるように言うのである。
それを聞かされた兵士は天幕を後にする。
その兵士と入れ違いに新たな伝達兵がやってくる。
「報告いたしますっ! 大馬大佐を筆頭に、多くの敵将を討ち取る事に成功しました!」
「そうか! これで局面が大きく動きそうだな」
井出咲の戦死を筆頭に、戦場に散らばっている敵将たちがバッタバッタと討ち取っていくのである。
これによって局面は、一気に最終局面に向かう。
指揮官を失った兵士たちは、連携を取りたくても取れなくなってゴチャゴチャになっていく。
明らかに戦況は王太子派に傾いた。
しかし敵兵たちは指揮官を失っても、負けたら一族皆殺しだと聞かされているので死ぬ気で戦う。
このままでは徹底抗戦をせざるを得ない。
どうにか降伏して貰えないかと思っていたら、新たな伝達兵がやってきて王子に報告する。
「函館県より牛丸大将が率いる軍が、こちらに向かって進軍してきています!」
「なんだと!? それは反乱軍に与すると言う事か?」
「そこまでは分かりませんが、牛丸大将が先頭で本陣に向かってきています!」
「まずいな。さすがに大将が率いる軍と、真っ向からやるだけの兵力は無い………」
報告というのが中立を宣言していた牛丸大将が、この本陣に向かって進軍してきているという。
ここから牛丸大将の軍を相手するのは難しい。
もしもクーデター派に与するというのならば、ここで内乱が終わってしまうだろう。
「俺が直接話すっ! お前たちも、もしもの時の為に戦闘準備をしておいてくれ!」
「えっ!? 王太子殿下が直接ですか? それは止めた方が良いと思います! さすがに危険すぎます!」
「そういうわけにもいかないだろう。お前たちを盾に、ここに隠れているなんて絶対にあり得ない………俺が牛丸大将に話を聞くっ!」
牛丸大将が何を企んでいるのかを、王子が直接聞いてみると言い出したのである。
側近の人間たちは危険すぎると反対する。
しかし総大将であり、国民の代表である王太子が隠れているわけにはいかないと言った。
そのまま装備を整えて天幕の外に出る。
するとドドドッという音が聞こえてくる。
俺も戦いながら聞こえていて、これはどっちに対する援軍なんだろうと疑問に思っていた。
しかし軍の先頭に牛丸大将の姿が見えた。
どうなっているのかと思っていたら、そのまま牛丸大将は王子の前で止まる。
そしてスッと馬から降りて王子に膝を着く。
王子が「表を上げろ」と言うと顔をスッと上げる。
「これはこれは殿下に会うのは、殿下が玉座に着いた時だと思っていました」
「そうはならなかったな。それで貴殿は、どうしてこんなところにいるんだ? 貴殿は今回の内乱に関しては、中立の立場を保つと言っていなかったか?」
「それに関してなんですが、あまりにも醜い戦いが続いていると聞きましたので、私の手で終わらせにきたんです。しかしどちらに与するかは決めかねていて………王太子殿下の王座についてからやる事を聞いてもよろしいでしょうか?」
中立の立場を守っていた牛丸大将だったが、あまりにも醜い兄弟喧嘩を目の当たりにして我慢できなくなったのだと明かしてくれた。
しかしどちらに与して戦争を終結させるかは、まだ決めておらず、王子に王になったら何をするかを聞いた。
どうやらこれを聞いて王太子に着くのか、それとも王太弟に着くのかを決めるらしい。
「まぁもっと簡単な言い方にしましょう。どのような王になりたいと、お考えなのですか?」
「俺は……天下人だっ! この200年続いている戦国時代に俺が終止符を打ち、唯一の王となる!」
牛丸大将の問いに対して、王子は即答で答えた。
天下人という事は、つまり日本を統一する人間を指す言葉で、それを聞いた人間たちは唖然とした。
それは牛丸大将も同じで眉毛がピクッと動いた。
「天下人ですか……この200年の戦国時で、そんな夢物語を宣言したのは、たったの1人しかいませんよ。その人は王といえども先頭に立って戦って〈武神〉とまで称された………」
「そこまでだっ! もう2度と俺の前で〈麗紅王(二ノ宮 忠晴)〉の名前を出すな」
この麗紅王とは第2代北星王国々王であり、王子との関係は祖父と孫という関係性だ。
そして王位についてから子供に3代目を継がせた後も戦争の先頭に立って戦っていた。
その姿から武神とまで呼ばれていたのである。
麗紅王を慕っていたのは、この牛丸大将だけじゃなくて、兵士なら誰でも尊敬の眼差しを向けるレベルだ。
その為、牛丸大将の前で麗紅王の話をするのはリスキーだと王子の側近の人間たちは冷や汗をかく。
しかし王子は引き下がるつもりは無い。
だからこそ続けて牛丸大将と、麗紅王の話を続ける。
「麗紅王が死んで、もう8年が経つのだぞ! 最も尊敬している主人を失って苦しんでいるのは理解してやる事はできる………しかしだっ! 貴殿が亡き麗紅王の影を追っているというのならば、それはもう2度と大将軍である牛丸は復活しないぞ!」
王子は牛丸大将に感じている事を全力でぶちまける。
それを牛丸大将は真剣な眼差しで聞くのである。
もう堪忍袋の尾が切れて、この場で王子が斬られても仕方ないと思える程の状況だ。
「ただし! 俺の下で再起したいというのならば、まずは麗紅王の影を追うのを止めて自分を見つめ直せ。そうしたら俺と共に戦おう」
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