日本大戦〜日本が大変な事になりました〜

湯崎noa

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第3章・刺客急襲暗殺計画 編

052:大粛清

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052:大粛清
 首相官邸を襲撃した那賀浜たちは、官邸の中で末雄首相を捜索するのである。
 那賀浜が入り口で欠伸をしながら待っていると、2階の方から「やりましたぁ!」という声が聞こえた。
 それを聞いて「やっとかぁ……」と呟く。
 そして待っていると兵士が、末雄首相の首を誉めてほしい犬のように持ってくる。


「おぉちゃんと綺麗に首を斬っ………ねぇ? この男は誰かなぁ? 末雄首相は、こんな顔じゃないよぉ?」


 なんと兵士が持って来たのは、末雄首相とは別の人間の首だったのである。
 ここまで待たされて別の人間の首を持って来られた、那賀浜は、持って来た兵士をブン殴る。


「さっさと本人を連れてこいよ! 俺たちはユルユルやってる暇はねぇんだぞ!」

「は はい! 申し訳ありません!」


 そのまま本当の末雄首相を探すが見つからない。
 後に分かる事ではあるが、末雄首相は女性たちが待機している部屋に隠れていて人気がないうちに逃走した。
 そしてそのまま国外に亡命するのである。
 持って来られた首の正体は、末雄首相の影武者兼秘書をやっていた別の男だと判明する。


「居ないんだね? それじゃあ仕方ないかぁ。まぁ誰にでも失敗はあるからさ」

「あ ありがとうございます!」

「だけど、もしまた間違えるような事があれば………その体と首にお別れを言わせておいてね」

「は はい! 誠に申し訳ありませんでした!」


 那賀浜隊の1発目は失敗した。
 しかしその後は《鷹峰 惟康》財務大臣の家を襲撃して、鷹峰の奥さんに邪魔をされないよう拘束した。
 そのまま鷹峰が眠っている2階に上がる。
 鷹峰の部屋の扉を開けると、日本刀を震えながら構えている鷹峰財務大臣の姿があった。


「あなたが鷹峰財務大臣ですねぇ? こんな夜分に、ゾロゾロと申し訳ないです」

「貴様らはなんだ! どこの人間なんだ!」

「そうですねぇ……まぁ冥土の土産という事で、特別に教えて差し上げましょう。我々は京阪公国を新たな国として生まれ変わらせる為に動いている者です」

「新たな国に生まれ変わらせるだと? そんな事が本当にできると思っているのか!」

「思ってるとか、思ってないとかは関係ないんです。我々のボスがやると言ったら、やるだけなんで」


 那賀浜は終始ニコニコしている。
 それが鷹峰大臣を怖がらせているみたいだ。
 しかしこれは大和桃源教の教えで、人が死ぬ時は笑って送る方が良いという教え故である。
 そのままニコニコしながら右手を上げて、部下たちに鷹峰大臣の体に日本刀を刺して殺す。
 絶命するのを確認してから「さてと行きますか」と言って、ご夫人の拘束を解いて家を後にする。

 そして那賀浜隊とは、別に先陣を切っている大幹部クラスの人間がいるのである。
 それは左頬が爛れており、右目の上に星の刺青を入れている男《神津 善太こうず ざんた》だ。
 この神津隊は《佐藤 満》内務卿の屋敷に向かった。
 神津は那賀浜と違って先頭を切るタイプで、自分が率いるのと副隊長が率いるのとで、二手に別れて内務卿の屋敷内に侵入するのである。
 神津の方が内務卿の自室を引き当てた。
 扉を開けて中に入ると、佐藤内務卿はアグラをかいてめを瞑っていたのでる。


「佐藤内務卿ですね? 随分と落ち着いてるみたいですが、今から命を頂戴するんですよ?」

「それがどうしたというのだ? ワシはやりたいようにやったんだ。それで殺されたとしても、そんな人生に悔いは残さない………男として死ぬだけだ!」

「さすがは公国の重鎮ですな。それじゃあ男気に免じて斬首ではなく、自決という選択肢を選ばせてあげます」


 佐藤内務卿は落ち着いているみたいだ。
 どこかから少し漏れた話を聞いて、いつでも死ぬ準備はしていたというのである。
 その覚悟に神津は惚れて斬首ではなく、自ら腹を切る切腹を選ばせる事にした。
 短刀を佐藤内務卿の方に向けて投げる。
 すると佐藤内務卿は、直ぐに短刀を抜いて自分の腹に突き刺して腹を裂き始めた。
 その姿に神津は男らしさを見た。

 そのまま数分が経って佐藤内務卿は絶命する。
 殺した証拠として首を持って行こうとしたが、その遺体に妻が多い被り「殺すのなら私も殺しなさい!」と泣き叫びながら抵抗する。
 この姿を見た神津は「はぁ……」と溜息を吐いてからご夫人を退けるように部下に指示を出した。
 神津は「全くしらけたわ」と呟く。
 せっかく男を見せたというのに、そのパートナーであるご夫人が泣き叫ぶのが許せなかったらしい。


「さてと1軒目が終わったところで、次から次へと行かないと夜が明けちゃうからなぁ」


 首を持った神津たちは内務卿邸を後にする。
 その足で次は《和田橋 丈太郎》教育長官の屋敷に行って、今まで通りに襲撃し殺害した。
 この日、襲われて命を落とした大公派の人間は。
 先に殺された4人に加えて、警察総監・侍従長・海軍総督・難波領領主らがやられ計8人が殺された。

 そして那賀浜と神津らと共に大幹部の一角を担っている最高齢《甲村 秀範こうむら ひでのり》は、最終目標である大公の私邸に足を運んでいる。
 もう既に私邸の警備も買収しているので、警備隊の人間に大公を外まで連れて来てもらう。


「あなたが諸原田大公でありますね?」

「いかにも私が《諸原田 顕吾》だ」


 諸原田大公は落ち着いている様子だ。
 甲村が確認をしても眉ひとつ動かす事なく、普通に受け答えするのである。
 そして確認ができたところで、大公の両脇に甲村隊の人間が立って連行しようとする。
 しかし大公は自分で歩けると拒否をした。
 最後だしと甲村は腹に縄を巻くだけで許す。

 そのまま私邸の敷地から出て少し歩いたところで、淡路島から足を運んでいた百夜が現れる。
 諸原田大公は百夜の顔を見てピンッと来る。
 連行される時は落ち着いていたが、百夜の顔を見た瞬間に動揺し始めたのである。


「こんな形で、またお会いするなんて思いませんでしたよ………あぁ何だか涙が出ちゃいそうですぅ。神というのは何ともお厳しい人なんだ」

「こんな事をする人間は誰なのかと思ったら………君は百夜陸軍大臣のご子息じゃないか。前に会ったのは、君のお父さんの葬式だったか?………いや、こうなったら世間話なんてどうでも良い。私をどう殺すのだ? 斬首なのか、火炙りなのか、車裂きなのか」


 大公と百夜の父親は知り合いで、まさかここまで大きく育つとは思っていなかった。
 世間話は直ぐに切り上げて殺し方の話をする。
 ここまでやって来て、捕まえるだけというのはあり得ないだろうという前提の話だ。
 そこで百夜は日本刀を投げ渡す。
 そして切腹を選ばせると言うのである。


「舐めるんじゃない! 斬首で結構だ。お前たちは、私が売国奴だと言っているのだろう………しかしこれ以上の国民の死は無駄としかいえない! 私の方が正しいのか、それともお前たちの方が正しいのかは、後世の人間に任せようじゃないか!」


 その言葉の通り大公は斬首された。
 曇りの無い空を百夜は見つめている。
 さすがの百夜も思うところがあるのだろうが、スッと顔を下げて溜息を吐くのである。
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