日本大戦〜日本が大変な事になりました〜

湯崎noa

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第4章・郡山市の戦い 編

067:恐怖

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067:恐怖
 伊永内務卿としても色々と激しい戦いをして来た為、どの戦いの事を言っているのかを考える。
 ピンッと来ていない伊永内務卿に、元帥は「郡山」と単語だけを発するのである。
 すると直ぐに伊永内務卿はピンッと来た。
 伊永内務卿は「そうか、そうだった!」と話す。


「かつて五大天魔将・五膳と、お主とワシの3人で合衆国より奪った城か。そして何より………五大天魔将・五膳が討たれ倒れた地だった」


 そう郡山とは五大天魔将である五膳大将と牛丸元帥、そして伊永内務卿が3人で攻略した地である。
 何よりも五大天魔将の五膳が討ち死にした戦争だ。
 その事を思い出した2人に少しの沈黙が流れる。
 また話の口火を切ったのは伊永内務卿であり、そんな戦争の事を「悪夢だった」と話す。


「まさかあの五膳が敗れるとは………最上っ! 何者だったのか、あの男は」


 どうして五膳が敗れたのかと、伊永内務卿たちは今でも信じられないのである。
 その事を思い出した伊永内務卿は「そうか……」と呟いてから話を続ける。


「五膳の弔いの地である郡山を渡せぬと言うわけか」

「そうだなぁ。まぁそう言うところだな………伊永、俺はそろそろ麗紅王の五大武将を卒業しようと思ってる。この戦いを決着として………」

「ようやくお主も前に進む気になったというわけか」

「そうできれば良いと、自分に期待してんだ」


 元帥は麗紅王の懐刀だった自分から卒業するという。
 さらには、この戦いで決着をつけると断言した。
 それを聞いて伊永内務卿も、やっと前に進む気になったのかと少し嬉しい気持ちになった。


「ならば何も言う事は無いだろ、郡山を頼んだぞ」

「お前も一緒に行くか?」

「馬鹿を言うな、ワシはもう文官だ」


 伊永内務卿は元帥に、大切な場所である郡山を頼んだと言って送り出そうとする。
 そんな伊永内務卿に元帥は着いてくるかと言った。
 その冗談に笑いながら返すのである。

 その頃、俺は野営をして眠っていた。
 何か気配を感じて目を開けてみたら、そこには真顔の花菱が俺の事を見下ろしていたのである。
 最初は警戒して剣を握ろうとした。
 しかし花菱だと分かって剣を置くのである。


「どうしたんだ? もう用事は済んだのか?」

「いや敵が、共和国から合衆国に入っていた」

「じゃあまた合衆国に行く為に参戦だな」

「そうだな……」

「これで俺の特殊少数部隊が完成だ! 副官、これからよろしく頼むな!」


 この俺たちの声気がついた伍長たちが、花菱を取り囲んで色々と出迎えをするのである。
 とりあえず副官が揃って良かった。
 これで俺の特殊少数部隊が完成したんだ。
 これは良い感じで、スタートが切れそうだと俺たちは強く思っているのである。

 そして夜が明けると元帥たちは王都を出発するが、王都の人たちを大々的に元帥を見送る。
 するとこの隊列に見覚えがある人がいた。
 それは柳本中将だ。


「柳本中将、副将を引き受けて頂いて感謝する」

「やかましいわ! 前衛は俺が貰う。この戦、貴様の出る幕は無いと思えよ!」


 柳本中将に引き受けてくれた感謝をするが、当の本人である柳本中将は自分自身で全てをやると言う。
 かなり前のめりらしいのである。
 すると伊永内務卿が顔を出して「本当に、柳本中将を選んで良かったのか?」と聞く。


「もちろんだ。奴の破壊力は、こちら側の大きな戦力になるのは間違いない」

「突出した力というのは諸刃の剣のようなものだ。絶対に手綱を離さないように気をつけろよ……勝報を待つ」

「必ず吉報を届ける………それじゃあ行ってくる」


 そのまま元帥は馬を進めさせるのである。
 すると門の上のところに、天日王が立っており元帥の方に向かって敬礼をした。
 元帥は天日王に敬礼を返した。
 北星暦113年4月、牛丸元帥が出陣した。

 牛丸元帥が出陣した事実は、各国の諜報員を通じて全土に情報が広がったのである。
 それは列国にとって大きな衝撃となった。
 これで郡山市の戦いは、一気に大和全土が注目するところとなったのは明白だ。

 だが陸の孤島となっている郡山には、この一報は届いておらず、彼らはひたすらに見えない援軍を信じ孤軍奮闘しているのである。
 牛丸軍にとって北都県から郡山市までは、15日弱はかかると予想している。
 そして一方、俺たち歩兵軍は残り7日のところまで進軍の足を進めていた。

 そんな夜に俺は星空を眺めていた。
 するとトイレにやって来た智に見つかった。
 智は俺に「星空を見て、どうかしたんですか?」とニヤニヤしながら喋りかけて来たのである。


「センチメンタルな気分なんですか?」

「ん? いや、そういうわけじゃ無いんだ………ただ本当に出世したんだなって思ってな」

「そりゃあ嬉しいですよね。そんなに若くして准尉で分隊の隊長なんですから! これは本当に異例も異例な事なんだと思いますよ!………それでも上等兵と准尉は大きく違いますし、張り切り過ぎて早死にだけはやめて下さいね! せっかく期待されてるんですから」


 智は俺がかかり気味である事に気がついて、張り切り過ぎて死ぬ事だけは無いようにと言ってくれた。
 それで少し俺は落ち着いた。
 兄弟は居なかったので、兄貴が居たら智みたいな人なんだろうなと強く思ったのである。

 郡山市に近づくに連れて合衆国軍の情報が入る。
 それは白河が落ちたと言う事と、その付近の村や町で女も子供も皆殺しにされたという。
 そこまで合衆国軍はやるのかと怯える。
 
 向こうが22万人で、こっちが20万人。
 そして向こうが精鋭部隊で、こっちは市民や農民の寄せ集めの軍隊というのが不安を掻き立てる。


「南須原伍長……共和国軍と合衆国軍となら怖いのは、どっちなんですか?」

「戦争前に、そんな話はしたく無いですが………根づいた王国への恨みは合衆国の方が重いでしょうね。何と言っても、あの広神の件がありますから」


 ある一等兵が南須原伍長に、どちらの国の方が怖いのかという質問を投げた。
 それに対して恐怖心を煽りたく無いが、南須原伍長は広神の件を考えると合衆国が重いという。
 その答えに第8伍長である〈長浜〉が付け足す。


「恨みが重いという事は、合衆国軍の方が恐ろしいって事だ! 肝に銘じておいた方が良い」

「よ よく考えたら、そんな怖い人間たちと殺し合いをしなきゃいけないんだよな………」


 そんな人間たちと戦わなければいけないのかと、歩兵たちも気がついてしまったのである。
 明らかに全体の士気が下がり始めている。
 さすがにマズイと南須原伍長は感じているのである。
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