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お互いに初護衛って・・・
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~アシュレイ~
今日から俺に護衛がつくことになるらしい。
はぁぁぁ、面倒くさい。
知らない人に側に居られると、仕事に集中出来ないんだよなぁ。
俺はバリアが張れるから必要ないって言ったんだけどな。
警戒してます、っていう姿勢が大事なんだと。
無防備にしておびき寄せた方が良くないか?
あ、そうなると俺が捕まえるのか。ジャンが殴られたからな、手加減が出来るか自信がない・・・
むさ苦しい男に四六時中張り付かれるのは鬱陶しいが仕方ない。
向こうも仕事なのだ。お互い様だろう。
そう思って、着替えて自分の執務室に転移した。
「あ、おはようございます!」
びっくりした。俺を見つけるなりかけ寄ってきたのは、あまりに意外な人物だったからだ。
義姉の妹、確かシェリルといったか?
金髪を後ろでまとめて、白の騎士服を着たスラリと背の高い女性だった。
ヒューゴが生まれて以降会ってないから3年?4年くらい前か。
7歳下だったと記憶してるが、高等部だった頃に比べたら背が伸びて少し大人っぽくなっている。
「おはよう。びっくりしたぁ。久しぶりだな」
「お久しぶりですね、アシュレイさん。今日からよろしくお願いします」
「こちらこそよろしく。まぁ入ってくれ」
「失礼します」
執務室に入った。
「護衛ってシェリルさんなの?第一隊に入ったんだ」
「そうなんです。今年魔術専科を卒業して、グラントさんの紹介でエメル隊長に第一隊にスカウトされました。護衛は隊長に直々に指令を受けたんです。大変ですね、魔術師の皆さん」
「ああ、そうなんだよ。俺は護衛は必要ないって言ったんだけどな」
「アシュレイさん、強そうですもんね。接近戦は?」
「正直得意じゃない」
「あ、良かった。私、魔術は少々苦手なんですよ。接近戦なら任して下さい」
ケロリとしてシェリルが言った。
魔術騎士って聞いてたんだが、まぁいいか。
う~ん。自分より年下の中等部から知ってる子に守ってもらうのも何だか複雑な気分だな。
エメル隊長がスカウトしてきたなら、実力はあると思うんだが。
「俺は護衛が着くってことは初めてなんだけど、どうすれば良いのかな?」
「実は私もレクチャーは受けたんですが、実践は初めてでして・・・アシュレイさんの仕事の邪魔にならないようにしますので、希望があったら言って下さい。執務室内だったら外にいますか?」
何と!お互いに初めての護衛というわけか・・・良いのか?それで。
「いや、良いよ、中にいて。適当に座ってて。何か用があれば声かける」
「はい。わかりました」
シェリルはキョロキョロしながらソファに座った。
「あ、そうだ、これ、俺と直接繋がるように調整しておいたから、つけておいてくれる?」
シェリルにシルバーのシンプルな耳環タイプの通信機を渡した。
「はい。シンプルでカッコイイですね、ありがとうございます。つけっぱなしで良いんですよね」
「うん。一度触れると受信も送信も出来るから。オフにする時はまた触れてくれれば良いよ」
「わかりました」
彼女が耳につけるのを見て、席に戻って仕事を始めた。
「・・・さん、アシュレイさん」
ばっと顔を上げた。集中してたのか、全然聞こえなかった。
「すまない、何か用?」
「あの、お茶でも淹れようかと。良いですか?」
「あぁ、ありがとう」
ふぅ、びっくりした。シェリルは備え付けの給湯室に入ってお茶を淹れてくれるみたいだ。
そういえば、人がいたのに集中出来たな。
時間を見ると、11時を過ぎていた。2時間ばかり没頭してた事になる。
「どうぞ」
「ありがとう」
シェリルがお茶を淹れてくれた。
香りが良い。一口飲んだら上手かった。
「あ、美味い」
「えへへ、実は紅茶淹れるの得意なんです」
そう言えば、父親が紅茶マイスター持ってるって、義姉が言ってたな。
「お父さんに習ったの?紅茶マイスター持ってるって聞いたよ」
「そうなんですよ。前に役作りで資格取って、自慢気に指導されました」
その時を思い出したのか、ちょっと眉根を寄せて苦笑しながら言う。
へぇ、クールな見かけの割に表情は豊かだ。
さすが役者の娘だけあって、顔は綺麗だから、どんな表情でも様になるな。
「ありがとう美味かった。また淹れて。さて、昼までもう一仕事するかな」
「いえいえ、いつでも言って下さい。他に手伝える事あったら遠慮無く言って下さいね」
それならと、ただジッとしてるのも辛かろうと、書類整理やファイリンクまで頼んでしまった。
何か、護衛っていうか、秘書みたいだな。
まあ、助かるから良いけど。
こうして、お互いに手探り状態のまま、シェリルとの奇妙な護衛生活が始まった。
今日から俺に護衛がつくことになるらしい。
はぁぁぁ、面倒くさい。
知らない人に側に居られると、仕事に集中出来ないんだよなぁ。
俺はバリアが張れるから必要ないって言ったんだけどな。
警戒してます、っていう姿勢が大事なんだと。
無防備にしておびき寄せた方が良くないか?
あ、そうなると俺が捕まえるのか。ジャンが殴られたからな、手加減が出来るか自信がない・・・
むさ苦しい男に四六時中張り付かれるのは鬱陶しいが仕方ない。
向こうも仕事なのだ。お互い様だろう。
そう思って、着替えて自分の執務室に転移した。
「あ、おはようございます!」
びっくりした。俺を見つけるなりかけ寄ってきたのは、あまりに意外な人物だったからだ。
義姉の妹、確かシェリルといったか?
金髪を後ろでまとめて、白の騎士服を着たスラリと背の高い女性だった。
ヒューゴが生まれて以降会ってないから3年?4年くらい前か。
7歳下だったと記憶してるが、高等部だった頃に比べたら背が伸びて少し大人っぽくなっている。
「おはよう。びっくりしたぁ。久しぶりだな」
「お久しぶりですね、アシュレイさん。今日からよろしくお願いします」
「こちらこそよろしく。まぁ入ってくれ」
「失礼します」
執務室に入った。
「護衛ってシェリルさんなの?第一隊に入ったんだ」
「そうなんです。今年魔術専科を卒業して、グラントさんの紹介でエメル隊長に第一隊にスカウトされました。護衛は隊長に直々に指令を受けたんです。大変ですね、魔術師の皆さん」
「ああ、そうなんだよ。俺は護衛は必要ないって言ったんだけどな」
「アシュレイさん、強そうですもんね。接近戦は?」
「正直得意じゃない」
「あ、良かった。私、魔術は少々苦手なんですよ。接近戦なら任して下さい」
ケロリとしてシェリルが言った。
魔術騎士って聞いてたんだが、まぁいいか。
う~ん。自分より年下の中等部から知ってる子に守ってもらうのも何だか複雑な気分だな。
エメル隊長がスカウトしてきたなら、実力はあると思うんだが。
「俺は護衛が着くってことは初めてなんだけど、どうすれば良いのかな?」
「実は私もレクチャーは受けたんですが、実践は初めてでして・・・アシュレイさんの仕事の邪魔にならないようにしますので、希望があったら言って下さい。執務室内だったら外にいますか?」
何と!お互いに初めての護衛というわけか・・・良いのか?それで。
「いや、良いよ、中にいて。適当に座ってて。何か用があれば声かける」
「はい。わかりました」
シェリルはキョロキョロしながらソファに座った。
「あ、そうだ、これ、俺と直接繋がるように調整しておいたから、つけておいてくれる?」
シェリルにシルバーのシンプルな耳環タイプの通信機を渡した。
「はい。シンプルでカッコイイですね、ありがとうございます。つけっぱなしで良いんですよね」
「うん。一度触れると受信も送信も出来るから。オフにする時はまた触れてくれれば良いよ」
「わかりました」
彼女が耳につけるのを見て、席に戻って仕事を始めた。
「・・・さん、アシュレイさん」
ばっと顔を上げた。集中してたのか、全然聞こえなかった。
「すまない、何か用?」
「あの、お茶でも淹れようかと。良いですか?」
「あぁ、ありがとう」
ふぅ、びっくりした。シェリルは備え付けの給湯室に入ってお茶を淹れてくれるみたいだ。
そういえば、人がいたのに集中出来たな。
時間を見ると、11時を過ぎていた。2時間ばかり没頭してた事になる。
「どうぞ」
「ありがとう」
シェリルがお茶を淹れてくれた。
香りが良い。一口飲んだら上手かった。
「あ、美味い」
「えへへ、実は紅茶淹れるの得意なんです」
そう言えば、父親が紅茶マイスター持ってるって、義姉が言ってたな。
「お父さんに習ったの?紅茶マイスター持ってるって聞いたよ」
「そうなんですよ。前に役作りで資格取って、自慢気に指導されました」
その時を思い出したのか、ちょっと眉根を寄せて苦笑しながら言う。
へぇ、クールな見かけの割に表情は豊かだ。
さすが役者の娘だけあって、顔は綺麗だから、どんな表情でも様になるな。
「ありがとう美味かった。また淹れて。さて、昼までもう一仕事するかな」
「いえいえ、いつでも言って下さい。他に手伝える事あったら遠慮無く言って下さいね」
それならと、ただジッとしてるのも辛かろうと、書類整理やファイリンクまで頼んでしまった。
何か、護衛っていうか、秘書みたいだな。
まあ、助かるから良いけど。
こうして、お互いに手探り状態のまま、シェリルとの奇妙な護衛生活が始まった。
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