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12章
2おはようございます
しおりを挟む突然のことに慌てるシロウを先程まで隠れていたアイスブルーの瞳が薄く開いた瞼の間から見つめる。気づいた時にはシロウの唇はリアムの唇で覆われていた。
ちゅっと軽く啄むようなキスをして離れていく。
「おはよう……早いね」
「ぉはよぅございます……」
真正面から寝起きの顔を見つめられて、シロウは恥ずかしく、返す挨拶もそぞろに下を向いた。そうすると、リアムの胸元に自分から顔を寄せるような格好になり、一層深く抱き締められる。
リアムは「もう少し寝る?」と寝起きの少しかすれた声で聞きながら、シロウのつむじにキスをした。
目を閉じていれば再び眠れる気がしなくもないが、シロウは小さくかぶりをふる。
今度は首筋にキスが落ちた。
抱き締められた時に腰に感じていたリアムの昂りは、よりその固さを増してシロウを押してくる。
リアムが動くたびにふわふわと香るタンジェリンの匂いがシロウの官能を刺激して、にわかに身体が熱を帯びる。首筋を甘噛みされて、「ぁっ」と小さな息が漏れた。
シロウの前もピクリとささやかな兆しを見せ始め、ハッとして腰を引いたら、回された腕で反対に引き寄せられる。
気づいたら、両脚の間にリアムの太ももが割り込み、柔らかく擦り上げられて、その甘やかな刺激にシロウの肌が粟立った。
いつの間にか唇は首から上へ移動し、耳へとたどり着くとぴちゃぴちゃと音を立てて耳の穴を舐められた。目覚めの爽やかな空気から、出し抜けに一転した雰囲気に、シロウはどうしたら良いのかわからない。耳を舐られる舌の感覚と水音との相乗効果でシロウの身体は羞恥に熱くなる。
「シロウ……」
耳元で囁く掠れた声がとてつもなくセクシーで、「朝からこんなこと」と思う自分と流されてしまいたくなる自分がシロウの中で葛藤する。
「リアムさん……」
困惑を滲ませて、胸に顔をうずめたまま呼びかけると「少しだけ、シロウを感じさせて」と熱を帯びた声で懇願され、反射的にシロウの欲情が腹の底にはためく。それを無視しようとしたが、腕は自分でも無意識にリアムの背中へと回されていた。
リアムの唇がシロウの唇に重なって、何度も啄むようなキスを繰り返す。そんなおだやかなキスは、だんだんと深くなり、やがて水音を増していく。お互いの舌を絡める、唇がとけあうような濃厚なキスへと変わっていく。
リアムの舌が優しくシロウの口の中を撫でて、官能を刺激する。拙いながらシロウも口内に入れられたリアムの舌に自分の舌を絡める。
リアムにはシロウのその反応が嬉しい。
お互いの身体をきつく抱きしめあい、甘い口付けにしばし没頭した。
先ほどまでささやかに兆し始めていたシロウの股間は、はっきりと立ち上がり、リアムの屹立を押し返す。リアムの手が固くなったシロウの性器を優しく布越しに撫で、ゆっくりと揉むと「あっ」と小さく嘆息を漏らし、身体をびくっと震わせた。
止まることない口づけと、ゆるやかな性器への刺激にシロウが翻弄されている間に、リアムの手は下着の中に滑り込む。すでに反応して固くなった屹立に直接触れて、ゆるゆると擦り始めた。
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