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に
chapter22 ああ、私はもう終わりだ。
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そういえば、かの悪帝は女にだらしない男だった。美人と見れば寝所へ誘い、美少女と見れば囲って育てる。後宮には深窓の令嬢や箱入りのお姫様から奴隷に近い身分の者まで多種多様な女が集まった。
もちろん彼女らに悪帝への愛など無い。
無理やり連れて来られた者もいたし、自らの意思でいる者たちも………ある者はその権力を欲し、ある者はその富に焦がれ、ある者はその命を狙ってそこにいた。
それでよかった。悪帝自身も、彼女らの心には興味がなかった。彼が好むのはそれより、彼女らのその儚く脆い肉体と容姿であり、そして彼女らの絶望や憎悪、悲嘆だった。
それを見てると、不思議となにかが擦りきれていく気がする。
悪帝はその感触を愉しんでいた。
♯♯
ある日陰者の男のもとに、電話がかかってくる。
『やあ親友、元気?』
思わず受話器を床に叩きつけそうになるのをグッと堪えながら、男は一度深呼吸し平静を装って尋ねた。
「……………てめぇ。何でウチの組の番号を知ってやがる」
『やだなあ、私と君の仲でしょ。気にしないでよ』
「気にするわ………教えた覚えがねえぞ、アビゲール」
電話口の女は、ケタケタと笑った。
『悪いね………まぁ私も、了承を得てから使うつもりだったさ』
「そういう問題じゃねえ。いったいどっから………」
『けどそうもいってられない。聞いてくれ、緊急事態なんだ』
急にその声が真面目で、真剣なものに変わった。男は思わず身構える。
「………どうした」
『ああ、私はもう終わりだ。どうしようもない。とうとう悪運つきた。もうだめだ。きっと前世の行いが悪かったんだ………!』
「おい、落ち着けって。
おまえの前世の行いが悪かったのは、全世界の誰もが知ってる。いいからなにがあったか言え!」
『ああ、聞いてくれるか、親友!』
感極まったように叫ぶアビゲール。そしてしばらくの躊躇いの末に、とうとう事態がその口から紡がれた。
『あのさあ、私の前世の正妃って、名前何て言ったっけ。
如何せん手を出した女の数が多すぎて、全く思い出せないんだよね』
今度こそ男は手に持っていた受話器を床にブッ叩きつけた。
もちろん彼女らに悪帝への愛など無い。
無理やり連れて来られた者もいたし、自らの意思でいる者たちも………ある者はその権力を欲し、ある者はその富に焦がれ、ある者はその命を狙ってそこにいた。
それでよかった。悪帝自身も、彼女らの心には興味がなかった。彼が好むのはそれより、彼女らのその儚く脆い肉体と容姿であり、そして彼女らの絶望や憎悪、悲嘆だった。
それを見てると、不思議となにかが擦りきれていく気がする。
悪帝はその感触を愉しんでいた。
♯♯
ある日陰者の男のもとに、電話がかかってくる。
『やあ親友、元気?』
思わず受話器を床に叩きつけそうになるのをグッと堪えながら、男は一度深呼吸し平静を装って尋ねた。
「……………てめぇ。何でウチの組の番号を知ってやがる」
『やだなあ、私と君の仲でしょ。気にしないでよ』
「気にするわ………教えた覚えがねえぞ、アビゲール」
電話口の女は、ケタケタと笑った。
『悪いね………まぁ私も、了承を得てから使うつもりだったさ』
「そういう問題じゃねえ。いったいどっから………」
『けどそうもいってられない。聞いてくれ、緊急事態なんだ』
急にその声が真面目で、真剣なものに変わった。男は思わず身構える。
「………どうした」
『ああ、私はもう終わりだ。どうしようもない。とうとう悪運つきた。もうだめだ。きっと前世の行いが悪かったんだ………!』
「おい、落ち着けって。
おまえの前世の行いが悪かったのは、全世界の誰もが知ってる。いいからなにがあったか言え!」
『ああ、聞いてくれるか、親友!』
感極まったように叫ぶアビゲール。そしてしばらくの躊躇いの末に、とうとう事態がその口から紡がれた。
『あのさあ、私の前世の正妃って、名前何て言ったっけ。
如何せん手を出した女の数が多すぎて、全く思い出せないんだよね』
今度こそ男は手に持っていた受話器を床にブッ叩きつけた。
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