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さん
chapter26 何を言うかと思えば………!
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事件から数週間後。
「最近、とんと顔を見せなかったじゃないか」
アビゲールがひょいと登城すると、王子から恨みがましくそう言われた。
「……そうですか?」
「ああ。その後どうだ、薔薇の切り傷は」
「ああ! お陰様で、完治しましたよ」
言われてみれば最近は、裏のお客やら前王妃やらの相手で意識が持っていかれて登城も減っていたかもしれない。
でも、とアビゲールは思う。
そんなこと気にするくらいなら、自分でさっさと会いに来ればいいのに。
来訪を今か今かと心待ちにする王子を想像して、アビゲールは面白くなってしまった。
「………そうですね、じゃあ久しぶりにチェスでもしますか?」
ふ、と笑いを噛み殺しながらそう尋ねる。だが王子は首を振った。
「それも良いが、初めに話すことがある」
「ほう、というと?」
改まって王子が言うので、アビゲールは身構えた。
「来月から、社交シーズンが始まる」
「あぁ、そういえばそんな時期ですね」
「真っ先にあるのは王城主催のパーティーか。そこで、君は僕のパートナーを務める」
当然、そうなる。
アビゲールは重々しく頷いた。
「そこで、くれぐれも言っておくが」
「はい」
「決して騒ぎを起こすなよ」
…………。
「プッ…………あはははははっ!!」
アビゲールは大笑いした。抱腹絶倒、それまでの真面目な雰囲気が余計に言葉を面白くして、素を取り繕うこともできなかった。
「笑うなよっ! 僕は真面目に言ってるんだっ!」
「は、ははは! 笑いますよ! 笑うに決まってるじゃないですか。何を言うかと思えば………!」
息も絶え絶えに身をよじりながら答えるアビゲールに、王子はため息をつきながら言葉を続ける。
「君はな、自覚が有るにしろ無いにしろかなりの注目の的だ」
「大丈夫です、自覚あります」
「加えてこないだは、学園内でも騒ぎを起こしたらしいな」
「ああ、知ってたんですか。でもアレは私のせいじゃないですよ」
「………公爵令嬢が嬉々として悪漢と男子生徒を成敗してたと噂で聞いたが」
「嫌ですね、噂なんてアテにならなくて」
平然と返すアビゲールに、王子は頭を抱えたくなった。
「………とにかく、頼んだからな」
「ええ、勿論ですよ。私は温厚ですしーーーあ、ところで」
「………なんだよ?」
「先方からけしかけられた場合には、やむを得ませんよね?」
今度こそ、城中に響くような王子のため息が聞こえたという。
「最近、とんと顔を見せなかったじゃないか」
アビゲールがひょいと登城すると、王子から恨みがましくそう言われた。
「……そうですか?」
「ああ。その後どうだ、薔薇の切り傷は」
「ああ! お陰様で、完治しましたよ」
言われてみれば最近は、裏のお客やら前王妃やらの相手で意識が持っていかれて登城も減っていたかもしれない。
でも、とアビゲールは思う。
そんなこと気にするくらいなら、自分でさっさと会いに来ればいいのに。
来訪を今か今かと心待ちにする王子を想像して、アビゲールは面白くなってしまった。
「………そうですね、じゃあ久しぶりにチェスでもしますか?」
ふ、と笑いを噛み殺しながらそう尋ねる。だが王子は首を振った。
「それも良いが、初めに話すことがある」
「ほう、というと?」
改まって王子が言うので、アビゲールは身構えた。
「来月から、社交シーズンが始まる」
「あぁ、そういえばそんな時期ですね」
「真っ先にあるのは王城主催のパーティーか。そこで、君は僕のパートナーを務める」
当然、そうなる。
アビゲールは重々しく頷いた。
「そこで、くれぐれも言っておくが」
「はい」
「決して騒ぎを起こすなよ」
…………。
「プッ…………あはははははっ!!」
アビゲールは大笑いした。抱腹絶倒、それまでの真面目な雰囲気が余計に言葉を面白くして、素を取り繕うこともできなかった。
「笑うなよっ! 僕は真面目に言ってるんだっ!」
「は、ははは! 笑いますよ! 笑うに決まってるじゃないですか。何を言うかと思えば………!」
息も絶え絶えに身をよじりながら答えるアビゲールに、王子はため息をつきながら言葉を続ける。
「君はな、自覚が有るにしろ無いにしろかなりの注目の的だ」
「大丈夫です、自覚あります」
「加えてこないだは、学園内でも騒ぎを起こしたらしいな」
「ああ、知ってたんですか。でもアレは私のせいじゃないですよ」
「………公爵令嬢が嬉々として悪漢と男子生徒を成敗してたと噂で聞いたが」
「嫌ですね、噂なんてアテにならなくて」
平然と返すアビゲールに、王子は頭を抱えたくなった。
「………とにかく、頼んだからな」
「ええ、勿論ですよ。私は温厚ですしーーーあ、ところで」
「………なんだよ?」
「先方からけしかけられた場合には、やむを得ませんよね?」
今度こそ、城中に響くような王子のため息が聞こえたという。
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