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本編
22 忠誠を誓う 上
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「さあ、何のことだか分からないわね」
オデットは無表情で神官長に歩み寄り、磔にした男に手をかけ、そのまま両手で首を絞めた。
「うっ…、ぐぅぅ……!」
少女のものとは思えない怪力で、神官長の気道はあっという間に塞がれた。彼は苦しそうに呻き声を上げたが、それとは別にうっとりと高揚した顔をしていた。
数秒間、あるいは神官長にとってはその数十倍にも感じる時間が経ったとき、オデットはにわかに絞めていた手を離した。
「う…っ、はあっ、はあっ!」
神官長はその場に蹲るように倒れ込んだ。それを、オデットは冷たい目で見下ろす。
「力では敵わないわよ。お分かりかしら」
「はあっ……、はあっ……心得て、居ります…っ!」
しばらく息が整わないようだったが、そんなことはオデットには関係が無い。構わず、しゃがみ込んでがっと顎を掴み、上を向かせる。
「それでね。私としてはこの場での出来事をよそで吹聴されると困るのよ」
「っ、はあっ、……」
「と言って、姫としての立場で考えてみれば、あなたが死ぬのも困るのよね。あなたは神官長として、代え難い存在だもの」
王女として生きた十三年間で、彼の有用性は十分認識している。予知で彼の右に出る者はなく、また後継者も満足に育っていない。ここで彼が消えては困るのだ。勿論、秘密を知られたまま放置するわけにもいかない。
ここは洗脳か、とオデットが朱黒い目をギラリと光らせた時だった。
「はぁ……っ、こ、殺す必要など、ございません…。わたしは、っ、オディールさま……オデット姫さまに、絶対の忠誠を誓います…!」
息も絶え絶えに、神官長はそう言った。目は本気だ。
「まあ……光栄ね」
しかし、オデットがこんな世迷い言を信じるほど優しいわけも、耄碌した覚えもなかった。
「では、その証明を身体に刻み込んで貰いましょうか」
そう言って彼女は手をかざす。
『西に御座す悪魔よ、東の友なる死神よ。この傾国の魔女の名の下に契約の紋を刻みたまえ』
神官長の額に、契約の刻印が浮かび上がる。これによって魔女は人を操り木偶にして、思うままに操ることができるのだ。
(さしあたって、記憶の消去と擦り合わせ、同期化かしら……あら?)
しかし、何故か魔法は発動しなかった。
「無駄です、姫さま」
「……そのようね。どういうことか説明してくれるかしら?」
「わたしは既に魔女の呪いを受けております」
「……あぁ」
今度こそオデットは驚いた。それと同時に納得した、攻撃されたときこの男から微かに魔女の力を感じた訳に。
オデットは無表情で神官長に歩み寄り、磔にした男に手をかけ、そのまま両手で首を絞めた。
「うっ…、ぐぅぅ……!」
少女のものとは思えない怪力で、神官長の気道はあっという間に塞がれた。彼は苦しそうに呻き声を上げたが、それとは別にうっとりと高揚した顔をしていた。
数秒間、あるいは神官長にとってはその数十倍にも感じる時間が経ったとき、オデットはにわかに絞めていた手を離した。
「う…っ、はあっ、はあっ!」
神官長はその場に蹲るように倒れ込んだ。それを、オデットは冷たい目で見下ろす。
「力では敵わないわよ。お分かりかしら」
「はあっ……、はあっ……心得て、居ります…っ!」
しばらく息が整わないようだったが、そんなことはオデットには関係が無い。構わず、しゃがみ込んでがっと顎を掴み、上を向かせる。
「それでね。私としてはこの場での出来事をよそで吹聴されると困るのよ」
「っ、はあっ、……」
「と言って、姫としての立場で考えてみれば、あなたが死ぬのも困るのよね。あなたは神官長として、代え難い存在だもの」
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ここは洗脳か、とオデットが朱黒い目をギラリと光らせた時だった。
「はぁ……っ、こ、殺す必要など、ございません…。わたしは、っ、オディールさま……オデット姫さまに、絶対の忠誠を誓います…!」
息も絶え絶えに、神官長はそう言った。目は本気だ。
「まあ……光栄ね」
しかし、オデットがこんな世迷い言を信じるほど優しいわけも、耄碌した覚えもなかった。
「では、その証明を身体に刻み込んで貰いましょうか」
そう言って彼女は手をかざす。
『西に御座す悪魔よ、東の友なる死神よ。この傾国の魔女の名の下に契約の紋を刻みたまえ』
神官長の額に、契約の刻印が浮かび上がる。これによって魔女は人を操り木偶にして、思うままに操ることができるのだ。
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しかし、何故か魔法は発動しなかった。
「無駄です、姫さま」
「……そのようね。どういうことか説明してくれるかしら?」
「わたしは既に魔女の呪いを受けております」
「……あぁ」
今度こそオデットは驚いた。それと同時に納得した、攻撃されたときこの男から微かに魔女の力を感じた訳に。
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