26 / 59
2
向き合う過去
しおりを挟む
土曜日の朝、晴から
”1日つき合え”
とメールが送られてきた。
いつも突然なんだよね、晴ってば。
昼からじいちゃんの店の手伝いをするつもりだったから、どうやって断ろうかと悩んでいると、台所から出て来たばぁちゃんに、店のことはいいから行ってこいと言われた。
ばぁちゃんも突然休みを言い渡されたから店を手伝えるんだって。
これって晴の仕業だよね?
どこまで策士なんだか。
了解のメールを入れ、待ち合わせの時間が送られて来た。
「ねぇ、晴、どこに行くの?」
待ち合わせは11時、晴は何も言わずに車は進んでいく。
「………。」
困った表情でこっちを見ると、僕の頭を撫でて手を握ってきた。
それから晴は何も言わなくなって、僕も黙って窓の外を眺めた。
なんだろう、僕も何か忘れている気がするんだけど、思い出せないんだ。
でも思い出さなきゃって?
街を出て高速道路に乗った。
2時間ほど経って高速の看板を何となく眺めて少しずつさっき考えていた”何か”がようやくわかってきた。
降り口の看板は、僕がどこかに追いやった記憶を思い出させた。
そうだ、ここって…
そう、僕の両親の…
身体が震えて口元に手をやった。
頬に伝う涙の粒が溢れて止まらない。
ごめんなさい
ごめんなさい
どうして忘れてたの?
こんな大事なこと…
なんで?
「あ…っ…」
「はる、晴、はる…はる…」
肩を寄せて抱きしめてくる晴が
「大丈夫…大丈夫だ…」
静かに車が進んで行く。
もうすぐその場所に到着する…
なぜ晴は僕をここに連れてきたんだろう?
忘れようとした?忘れていた?
ごめんなさい、お父さん、お母さん。
忘れていてごめんなさい。
僕辛かったんだ、とてもとても辛くて…
思い出したくなかったんだ…
晴翔越しに窓の景色は思い出したくない場所にもうすぐ到着する。
お父さんとお母さんの亡くなった事故の…場所に。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
とても天気のいい朝だった。
その日僕は学校の社会見学で、いつもより早く起きてお母さんの作るお弁当を眺めていた。
卵焼きにウインナー、ミートボールに僕の大好きなシャケおにぎり。
お母さんは意外に不器用で、いつもおにぎりの形が少し崩れているんだ。
卵焼きはめちゃくちゃ甘い。
これは僕のリクエスト。
お母さんの目を盗んでウインナーを口にいれる。
うん、美味しい!
「あーっ、智ダメでしょ?お弁当に入れるウインナー少なくなっちゃうよ?」
「だって食べたかったんだもん!あー、早くお昼にならないかな??もうここで食べたい!」
「朝ごはん食べたばっかりじゃない!」
母さんは笑いながら僕にデコピンをした。
横から顔を出した父さんも卵焼きをポイっと口に入れ
「うっっ、甘い」
額に皺を寄せてまずいと呟いた。
「何で?甘いの美味しいよ??」
「父さんは醤油味の方が好きだな、なー母さん!」
父さんが母さんに抱きついて頬にキスをした。
「もーーー、お父さんやめて!智がみてる!」
賑やかな朝の風景。
僕はこんな両親が大好きだった。
だからこの日が最後になるなんて思っていなかったんだ。
反対側から車線を越えてきたトラックと両親の車は衝突した。
トラックの運転手は脳卒中で意識をなくしていたらしい。
その事故で3人とも亡くなった。
その内の2人が僕の両親だった。
”1日つき合え”
とメールが送られてきた。
いつも突然なんだよね、晴ってば。
昼からじいちゃんの店の手伝いをするつもりだったから、どうやって断ろうかと悩んでいると、台所から出て来たばぁちゃんに、店のことはいいから行ってこいと言われた。
ばぁちゃんも突然休みを言い渡されたから店を手伝えるんだって。
これって晴の仕業だよね?
どこまで策士なんだか。
了解のメールを入れ、待ち合わせの時間が送られて来た。
「ねぇ、晴、どこに行くの?」
待ち合わせは11時、晴は何も言わずに車は進んでいく。
「………。」
困った表情でこっちを見ると、僕の頭を撫でて手を握ってきた。
それから晴は何も言わなくなって、僕も黙って窓の外を眺めた。
なんだろう、僕も何か忘れている気がするんだけど、思い出せないんだ。
でも思い出さなきゃって?
街を出て高速道路に乗った。
2時間ほど経って高速の看板を何となく眺めて少しずつさっき考えていた”何か”がようやくわかってきた。
降り口の看板は、僕がどこかに追いやった記憶を思い出させた。
そうだ、ここって…
そう、僕の両親の…
身体が震えて口元に手をやった。
頬に伝う涙の粒が溢れて止まらない。
ごめんなさい
ごめんなさい
どうして忘れてたの?
こんな大事なこと…
なんで?
「あ…っ…」
「はる、晴、はる…はる…」
肩を寄せて抱きしめてくる晴が
「大丈夫…大丈夫だ…」
静かに車が進んで行く。
もうすぐその場所に到着する…
なぜ晴は僕をここに連れてきたんだろう?
忘れようとした?忘れていた?
ごめんなさい、お父さん、お母さん。
忘れていてごめんなさい。
僕辛かったんだ、とてもとても辛くて…
思い出したくなかったんだ…
晴翔越しに窓の景色は思い出したくない場所にもうすぐ到着する。
お父さんとお母さんの亡くなった事故の…場所に。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
とても天気のいい朝だった。
その日僕は学校の社会見学で、いつもより早く起きてお母さんの作るお弁当を眺めていた。
卵焼きにウインナー、ミートボールに僕の大好きなシャケおにぎり。
お母さんは意外に不器用で、いつもおにぎりの形が少し崩れているんだ。
卵焼きはめちゃくちゃ甘い。
これは僕のリクエスト。
お母さんの目を盗んでウインナーを口にいれる。
うん、美味しい!
「あーっ、智ダメでしょ?お弁当に入れるウインナー少なくなっちゃうよ?」
「だって食べたかったんだもん!あー、早くお昼にならないかな??もうここで食べたい!」
「朝ごはん食べたばっかりじゃない!」
母さんは笑いながら僕にデコピンをした。
横から顔を出した父さんも卵焼きをポイっと口に入れ
「うっっ、甘い」
額に皺を寄せてまずいと呟いた。
「何で?甘いの美味しいよ??」
「父さんは醤油味の方が好きだな、なー母さん!」
父さんが母さんに抱きついて頬にキスをした。
「もーーー、お父さんやめて!智がみてる!」
賑やかな朝の風景。
僕はこんな両親が大好きだった。
だからこの日が最後になるなんて思っていなかったんだ。
反対側から車線を越えてきたトラックと両親の車は衝突した。
トラックの運転手は脳卒中で意識をなくしていたらしい。
その事故で3人とも亡くなった。
その内の2人が僕の両親だった。
4
あなたにおすすめの小説
ウサギ獣人を毛嫌いしているオオカミ獣人後輩に、嘘をついたウサギ獣人オレ。大学時代後輩から逃げたのに、大人になって再会するなんて!?
灯璃
BL
ごく普通に大学に通う、宇佐木 寧(ねい)には、ひょんな事から懐いてくれる後輩がいた。
オオカミ獣人でアルファの、狼谷 凛旺(りおう)だ。
ーここは、普通に獣人が現代社会で暮らす世界ー
獣人の中でも、肉食と草食で格差があり、さらに男女以外の第二の性別、アルファ、ベータ、オメガがあった。オメガは男でもアルファの子が産めるのだが、そこそこ差別されていたのでベータだと言った方が楽だった。
そんな中で、肉食のオオカミ獣人の狼谷が、草食オメガのオレに懐いているのは、単にオレたちのオタク趣味が合ったからだった。
だが、こいつは、ウサギ獣人を毛嫌いしていて、よりにもよって、オレはウサギ獣人のオメガだった。
話が合うこいつと話をするのは楽しい。だから、学生生活の間だけ、なんとか隠しとおせば大丈夫だろう。
そんな風に簡単に思っていたからか、突然に発情期を迎えたオレは、自業自得の後悔をする羽目になるーー。
みたいな、大学篇と、その後の社会人編。
BL大賞ポイントいれて頂いた方々!ありがとうございました!!
※本編完結しました!お読みいただきありがとうございました!
※短編1本追加しました。これにて完結です!ありがとうございました!
旧題「ウサギ獣人が嫌いな、オオカミ獣人後輩を騙してしまった。ついでにオメガなのにベータと言ってしまったオレの、後悔」
【完結済】極上アルファを嵌めた俺の話
降魔 鬼灯
BL
ピアニスト志望の悠理は子供の頃、仲の良かったアルファの東郷司にコンクールで敗北した。
両親を早くに亡くしその借金の返済が迫っている悠理にとって未成年最後のこのコンクールの賞金を得る事がラストチャンスだった。
しかし、司に敗北した悠理ははオメガ専用の娼館にいくより他なくなってしまう。
コンサート入賞者を招いたパーティーで司に想い人がいることを知った悠理は地味な自分がオメガだとバレていない事を利用して司を嵌めて慰謝料を奪おうと計画するが……。
あなたと過ごせた日々は幸せでした
蒸しケーキ
BL
結婚から五年後、幸せな日々を過ごしていたシューン・トアは、突然義父に「息子と別れてやってくれ」と冷酷に告げられる。そんな言葉にシューンは、何一つ言い返せず、飲み込むしかなかった。そして、夫であるアインス・キールに離婚を切り出すが、アインスがそう簡単にシューンを手離す訳もなく......。
【完結】幼馴染から離れたい。
June
BL
隣に立つのは運命の番なんだ。
βの谷口優希にはαである幼馴染の伊賀崎朔がいる。だが、ある日の出来事をきっかけに、幼馴染以上に大切な存在だったのだと気づいてしまう。
番外編 伊賀崎朔視点もあります。
(12月:改正版)
8/16番外編出しました!!!!!
読んでくださった読者の皆様、たくさんの❤️ありがとうございます😭
1/27 1000❤️ありがとうございます😭
3/6 2000❤️ありがとうございます😭
4/29 3000❤️ありがとうございます😭
8/13 4000❤️ありがとうございます😭
12/10 5000❤️ありがとうございます😭
わたし5は好きな数字です💕
お気に入り登録が500を超えているだと???!嬉しすぎますありがとうございます😭
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
届かない「ただいま」
AzureHaru
BL
いつも通りの変わらない日常のはずだった。
「行ってきます。」と言って出て行った貴方。1日が終わる頃に「ただいま。」と「おかえり。」を笑顔で交わすはずだった。でも、その言葉はもう貴方には届かない。
これは「優しさが奪った日常」の物語。
孕めないオメガでもいいですか?
月夜野レオン
BL
病院で子供を孕めない体といきなり診断された俺は、どうして良いのか判らず大好きな幼馴染の前から消える選択をした。不完全なオメガはお前に相応しくないから……
オメガバース作品です。
【完】君に届かない声
未希かずは(Miki)
BL
内気で友達の少ない高校生・花森眞琴は、優しくて完璧な幼なじみの長谷川匠海に密かな恋心を抱いていた。
ある日、匠海が誰かを「そばで守りたい」と話すのを耳にした眞琴。匠海の幸せのために身を引こうと、クラスの人気者・和馬に偽の恋人役を頼むが…。
すれ違う高校生二人の不器用な恋のお話です。
執着囲い込み☓健気。ハピエンです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる