ある夏の思い出

shoichi

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第1章

友達

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「なぁ、聞いていいか?」

神妙な顔で聞いてくる星矢。

さっきの、ことだろうな。と思い一度だけ、頷いた。

「お前、そんなに興奮したのか?ズボン、もっこりしてるぞ。」

あっ。と思いながらポケットから取り出したナイフ。

「ちょ、ちょ!!貸せ!!」

取り上げられたナイフは、コンビニのゴミ箱へ投げ捨てられた。

「強盗でもする気だったのか?」

「いや…死のうかと」

ゴンっ。と話している最中だったけれど、頭の上から、ゲンコツが落ちてきた。

「滅多なこと、口にするな。」

星矢がよそ見をしながら、話しかける。

「バイクは、後ろに下がれない。星空は、空を見上げないと見れない。だから、」

「だから?」

「前と、上だけ見て生きろ!!」

さっきのゲンコツをした左腕で、今度は僕の頭を撫でる星矢。

少し緩みそうになる、僕の感情。

「だって」
「うるせ。イジメか?」

もう一度、首を縦に振った。

「死ぬ覚悟と、ナイフ持ち歩く根性があれば、怖いものないな。よし。」

そう言って立ち上がった後に、

「仕返ししに行くぞ!!」

鬼のような顔になった星矢に僕は、少しの怖さと、頼もしさを感じた。





そして、これが、僕の地獄の夏休みの始まりだった。
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