4 / 121
消えた煙
ドキドキ
しおりを挟む
am.8:11
「あい…。」
不意に出てきた言葉は、飛行機のエンジン音に消されたことを確認し、窓際のチケットを持った僕は、透明のガラスへ頭をくっつける。
小さくなっていく人、車、街並み。
神様がいるとしたら、よっぽどの視力の持ち主なんだろうな。なんて、隣りで雑誌を読んで笑っている、スーツ姿のおじさんは、まるで、僕のつまらない考えを聞いているかの様だった。
煙のような薄い雲が、物凄い勢いで、後ろへ飛んでいく。
また、子供みたいな考えが浮かんでしまう。
雲に乗れるなんて、誰が言ったのだろう?
もし、何かのトラブルで、自分の名前がニュースに載ったら…。
馬鹿気た考えをした事に気付くと、僕は鼻で笑ったりなんかする。
雑誌に夢中のおじさんは、今は真剣に読んでいる。
先程の考えは、どうやら、大きく裏切られた形となった。
am.9:27
耳が物凄く痛い事に気付いた時、現実の世界に戻ってきた。と、遅く気付く。
いつの間にか、眠っていたみたいだ。
右の耳が痛い。
耳の中にある鼓膜と言う薄い紙が、力強い何かで、破られているようだ。
窓の外を伺うと、僕が乗っている飛行機が、滑走路を走っている。
少しづつ、動きが鈍くなる飛行機に合わせる様に、
「誠に、ありがとうございました。お忘れ物ご…」
それを無視するかの様に、お客達が、次々と飛行機を降りて行く。
隣に座っていたおじさんは、僕に申し訳なさそうに、急いで、上に積んだ荷物を取り出している。
最後に降りるのが好きらしい僕は、重い荷物を肩にかけ、一礼する綺麗なお姉さんに、どうも。と、捨て台詞を置いて行く。
外の空気は、相も変わらず暑かった。
いや、暑かったのは当たり前で、『こっち』は『あっち』にいた温度に、暖房を当てられているみたいだった。
天気は曇り。
しかし、雨など降る様子は無い。
僕の前を歩く、小さな子供が可愛い。
耳に、変な感覚。が、残っていたが、つい微笑んでしまう。
母親だろうと思う人が、
「危ないから、こっち来なさい!!」
と、子供の手を引いて、僕の目の前から消えていった。
am.10:05
「よっ。」
小汚い車で、親父が迎えに来た。
「ただいま。」
友達のように話せる父だが、昔は怖くて、話すことも緊張したくらいだ。
しかし、未だに『親父』とは声に出して言えない。
久々に故郷の地を踏んだせいか、心が踊っているのが分かった。
「あい…。」
不意に出てきた言葉は、飛行機のエンジン音に消されたことを確認し、窓際のチケットを持った僕は、透明のガラスへ頭をくっつける。
小さくなっていく人、車、街並み。
神様がいるとしたら、よっぽどの視力の持ち主なんだろうな。なんて、隣りで雑誌を読んで笑っている、スーツ姿のおじさんは、まるで、僕のつまらない考えを聞いているかの様だった。
煙のような薄い雲が、物凄い勢いで、後ろへ飛んでいく。
また、子供みたいな考えが浮かんでしまう。
雲に乗れるなんて、誰が言ったのだろう?
もし、何かのトラブルで、自分の名前がニュースに載ったら…。
馬鹿気た考えをした事に気付くと、僕は鼻で笑ったりなんかする。
雑誌に夢中のおじさんは、今は真剣に読んでいる。
先程の考えは、どうやら、大きく裏切られた形となった。
am.9:27
耳が物凄く痛い事に気付いた時、現実の世界に戻ってきた。と、遅く気付く。
いつの間にか、眠っていたみたいだ。
右の耳が痛い。
耳の中にある鼓膜と言う薄い紙が、力強い何かで、破られているようだ。
窓の外を伺うと、僕が乗っている飛行機が、滑走路を走っている。
少しづつ、動きが鈍くなる飛行機に合わせる様に、
「誠に、ありがとうございました。お忘れ物ご…」
それを無視するかの様に、お客達が、次々と飛行機を降りて行く。
隣に座っていたおじさんは、僕に申し訳なさそうに、急いで、上に積んだ荷物を取り出している。
最後に降りるのが好きらしい僕は、重い荷物を肩にかけ、一礼する綺麗なお姉さんに、どうも。と、捨て台詞を置いて行く。
外の空気は、相も変わらず暑かった。
いや、暑かったのは当たり前で、『こっち』は『あっち』にいた温度に、暖房を当てられているみたいだった。
天気は曇り。
しかし、雨など降る様子は無い。
僕の前を歩く、小さな子供が可愛い。
耳に、変な感覚。が、残っていたが、つい微笑んでしまう。
母親だろうと思う人が、
「危ないから、こっち来なさい!!」
と、子供の手を引いて、僕の目の前から消えていった。
am.10:05
「よっ。」
小汚い車で、親父が迎えに来た。
「ただいま。」
友達のように話せる父だが、昔は怖くて、話すことも緊張したくらいだ。
しかし、未だに『親父』とは声に出して言えない。
久々に故郷の地を踏んだせいか、心が踊っているのが分かった。
0
あなたにおすすめの小説
春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話
登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
エリート警察官の溺愛は甘く切ない
日下奈緒
恋愛
親が警察官の紗良は、30歳にもなって独身なんてと親に責められる。
両親の勧めで、警察官とお見合いする事になったのだが、それは跡継ぎを産んで欲しいという、政略結婚で⁉
曖昧な距離で愛している
山田森湖
恋愛
結婚4年目のアラサー夫婦、拓海と美咲。仲は悪くないが、ときめきは薄れ、日常は「作業」になっていた。夫には可愛い後輩が現れ、妻は昔の恋人と再会する。揺れる心、すれ違う想い。「恋人に戻りたい」――そう願った二人が辿り着いた答えは、意外なものだった。曖昧で、程よい距離。それが、私たちの愛の形。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる