34 / 121
二回目…
特等席
しおりを挟む
揺れる景色を見つめていると、見慣れたコンビニを通り越し、見慣れた街から離れ、通称、『別れ山』とよばれている場所へ、一台の車が走る。
雲が、一つも無い夜。
「事故るなよ。」
「うん。」
長い木のトンネルに入ると、不気味な雰囲気を漂わせている山だ。と、今更ながら気付く。
振り向くと、それをライトアップする、車のテールランプ。
「着いたよ。」
また、前を見直すと、山の頂きに到達した。
音をたてて、閉まる二つのドア。
少し肌寒い風が吹き、緩いパーマがかかっている、あいの髪が揺れる。
「ほら。」
冷たいあいの手を取り、歩き始める。
辺りを見渡したかったが、まだダメだ。と心に言い聞かせ、少しでも高い位置から、街を見下ろしたい。と思い、展望台へ上る。
渦巻き形に進む階段。
一歩一歩、力強く、そして、少しの急ぎ足。
また、風が吹き、あいの手が、強く僕の手を握り締める。
やっと着いた、天辺(てっぺん)。
フェンスに二人で近付き、僕は片手をそれに乗せた。
「綺麗だね。」
無理矢理、車を出してもらって、出てきた言葉。
「うん。」
少し、眠たそうな目をしたあいが、優しく言ってくれる。
霧雨が煙る街の、小さな光達のイルミネーション。
綺麗。と言う言葉を使うなら、この景色だ。と思う。
「ここに来たら、カップルは別れるんだって。」
いつもの様に、え~。と言ってくれるのを期待して、あいに問い掛ける。
「カップルじゃないじゃん。」
なんて、笑って言うから、確かにな。と、隣りに同じく、笑って答えたまま、また街を見下ろした。
走る小さな光も、今は蟻よりも小さいのに、その集合体が集まれば、こんなに綺麗になるんだ。って、初めて知った。
隣りを振り向くと、つまらなさそうな顔をしたあいに気付き、帰ろうか?と言うと、うん。と返事がきた。
降りる階段の途中で、
「ねぇ、俺のこと好き?」
って、くだらない質問。
「何で?」
僕は、まだ、よく分からないけれど、今、一番、あいが好き。みたい。
「いや、いいよ。」
と、言えば、
「好きだよ。」
と、言ってくれる人。
「ありがと。」
車が再びエンジン音をたて、見下ろしていた街へ、一台の車が、また、小さな蟻達の仲間入り。
雲が、一つも無い夜。
「事故るなよ。」
「うん。」
長い木のトンネルに入ると、不気味な雰囲気を漂わせている山だ。と、今更ながら気付く。
振り向くと、それをライトアップする、車のテールランプ。
「着いたよ。」
また、前を見直すと、山の頂きに到達した。
音をたてて、閉まる二つのドア。
少し肌寒い風が吹き、緩いパーマがかかっている、あいの髪が揺れる。
「ほら。」
冷たいあいの手を取り、歩き始める。
辺りを見渡したかったが、まだダメだ。と心に言い聞かせ、少しでも高い位置から、街を見下ろしたい。と思い、展望台へ上る。
渦巻き形に進む階段。
一歩一歩、力強く、そして、少しの急ぎ足。
また、風が吹き、あいの手が、強く僕の手を握り締める。
やっと着いた、天辺(てっぺん)。
フェンスに二人で近付き、僕は片手をそれに乗せた。
「綺麗だね。」
無理矢理、車を出してもらって、出てきた言葉。
「うん。」
少し、眠たそうな目をしたあいが、優しく言ってくれる。
霧雨が煙る街の、小さな光達のイルミネーション。
綺麗。と言う言葉を使うなら、この景色だ。と思う。
「ここに来たら、カップルは別れるんだって。」
いつもの様に、え~。と言ってくれるのを期待して、あいに問い掛ける。
「カップルじゃないじゃん。」
なんて、笑って言うから、確かにな。と、隣りに同じく、笑って答えたまま、また街を見下ろした。
走る小さな光も、今は蟻よりも小さいのに、その集合体が集まれば、こんなに綺麗になるんだ。って、初めて知った。
隣りを振り向くと、つまらなさそうな顔をしたあいに気付き、帰ろうか?と言うと、うん。と返事がきた。
降りる階段の途中で、
「ねぇ、俺のこと好き?」
って、くだらない質問。
「何で?」
僕は、まだ、よく分からないけれど、今、一番、あいが好き。みたい。
「いや、いいよ。」
と、言えば、
「好きだよ。」
と、言ってくれる人。
「ありがと。」
車が再びエンジン音をたて、見下ろしていた街へ、一台の車が、また、小さな蟻達の仲間入り。
0
あなたにおすすめの小説
春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話
登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
エリート警察官の溺愛は甘く切ない
日下奈緒
恋愛
親が警察官の紗良は、30歳にもなって独身なんてと親に責められる。
両親の勧めで、警察官とお見合いする事になったのだが、それは跡継ぎを産んで欲しいという、政略結婚で⁉
曖昧な距離で愛している
山田森湖
恋愛
結婚4年目のアラサー夫婦、拓海と美咲。仲は悪くないが、ときめきは薄れ、日常は「作業」になっていた。夫には可愛い後輩が現れ、妻は昔の恋人と再会する。揺れる心、すれ違う想い。「恋人に戻りたい」――そう願った二人が辿り着いた答えは、意外なものだった。曖昧で、程よい距離。それが、私たちの愛の形。
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる