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後編
しおりを挟むジーニー伯爵令嬢が亡くなってから三カ月が過ぎた。
今日までの間に、いろいろなことがあった。
まずやるべきはジーニー伯爵家への謝罪。
本来は最初に王妃が謝罪すべきだが、祖父が内密に伯爵家へ赴き、誠心誠意謝罪した。当初、真相を知った伯爵は絶句されたという。
その後、伯爵に登城してもらい、そこで改めて陛下と王妃も謝罪された。伯爵は「恐れ多い」と述べたそうだが、陛下が「恐れ多いのはこちらだ」とおっしゃったそうだ。
当然だ。
そして陛下は、令嬢の遺書を伯爵に渡すと同時に、ガーヴィン・マーローの庭シリーズの花瓶一式を下賜された。
それがどれほど価値のある宝物であっても亡くなった令嬢には及ばない。これは、言葉は悪いが口止め料だ。
そして、延期になっていた祝賀記念大晩餐会を挙行。その場で陛下は、ジーニー伯爵令嬢の死は突発的な病死と述べ、これまで彼女が王家に捧げた献身に対して感謝を繰り返し、さらに伯爵家の加領を発表した。
王家の恥部が、また一つ増えた。
結局、ジーニー伯爵令嬢は、アッシュリー事件の真相は知らないはずなのに、なぜ曾祖母と同じような亡くなり方をしたのかまでは、分からなかった。
陛下は、ぽつりとおっしゃった。
「追い詰められた人というのは、案外、同じ思考に陥るものなのではないか」
不思議と納得した。そうなのかもしれないと思った。
祝賀記念大晩餐会に参加した後、母上はしばらく公務を休んだ。表向きは戴冠式までのハードスケジュールによる疲労のための療養と発表した。
母上は二カ月ほど部屋に引き籠っていた。
その間、祖母やジョシュア様が、ときたま母上に会いにこられていた。
やっと部屋から出てきた母上は、一人で私の部屋にきた。
驚いて何も言えない私に、母上は俯き加減で言われた。
「そなたを生んだ時、真っ赤な肌で、顔はくしゃくしゃ。髪の毛は少なくて、これで育つのかと思った。でも小さくてかわいくて…。子供はこんなに可愛いものなのかと思ったんだ。そのときはほんとに、そう思った。…だけど、父上がそなたを王太子にすると決定したときから、私は捻くれてしまった。いや、もともと捻くれ者だったのだが、拍車がかかった。
…これまで、どうしようもない母親ですまなかった」
私は母上に抱き着くには、もう大きくなり過ぎて、甘えるには自我が育っていた。まるで、何もなかったかのように振舞うことはできない。
だから、ばかみたいに立ったままで「はい」と言った。母上が、おずおずと私の髪に手を触れたとき、この人は不器用なんだなと思った。
母上は庭の薔薇の話をした。
あれほど大事にしていた庭の薔薇を根から掘り出し、薔薇に代わり、キングサリを植えたいと言われた。
キングサリは、黄色の可憐な花だ。
ジーニー伯爵令嬢が好きな花だったという。
キングサリの花が咲いたら、ジーニー伯爵夫妻を呼び、王妃と伯爵夫妻だけで、毎年、お茶会をしよう、自分が仕出かしたことを忘れないためにと母上がいった。
父上は、この母上の提案をジョシュア様に伝えた。どうしてジョシュア様にと思ったが、王家の中でジョシュア様ほど植物に精通している方はいないのだと気付いた。
父上からの依頼に、ジョシュア様はキングサリの苗を植える作業の時は、母上も手伝うようにと連絡がきた。
そして今、母上は間違いなく生まれて初めてスコップを手にしていた。
「兄上、ただスコップを持ってるだけで、穴が掘れるとお思いか?道具は動かさないと、意味がない!」
ジョシュア様は容赦ない。
「わ、わかっている。だからどうすればいいのか、教えて欲しい」
「まったく、スコップを使えないなんて!こうするんですよ!」
ジョシュア様に教わりながら、へっぴり腰で母上がスコップを使い始めた。
王妃の立場で自由自在にスコップを使いこなせる者は、さすがに世の中にいるとは思えず、ちょっと母上が気の毒に思った。
「ユーリオ、手が止まってる!」
ガヴィも容赦なく私に指示を飛ばす。
「あ、ああ」
私はジョシュア様からキングサリがよく育つよう、土に養分を加える作業の任を賜り、初めて小さなスコップを手に持って、土をかき回していた。
「兄上、私がするのをよく見てマネしてください!」
「やっているだろう!」
「なんでそんなに下手クソなんです?まったく、全てを人任せにするから、そうなっちゃうんです。机に張り付いて勉強だけして人を見ようとしない。そうやって兄上の傲慢で捻くれた性格が出来上がったんです!」
す、すごいジョシュア様。
恐る恐る母上をチラッと見る。顔が真っ赤だ。
そうか、母上はジョシュア様が苦手なんだ。
私が生まれる前に、既にジョシュア様は嫁がれていた。
だから、二人が一緒にいるところを見たのは公式の場だけだった。
完全なプライベートではこんな感じなんだ。
「このキングサリの育成は、絶対に人任せにしないこと!」
ジョシュア様がビジッと指で母上を指していう。
「わ、分かってる!」
「だけど兄上だけに任せたら枯れちゃうから、ちゃんと庭師(プロ)にも指示しておきますけどね」
グサッという擬音が聞こえた。これは空耳ではない。間違いなく母上に突き刺さったと思う。
「でも、兄上が人任せにして良かったと思うこともありますよ、ね、ガヴィ」
ジョシュア様は、器用にスコップで穴を掘りながらガヴィに話をふった。そこでガヴィにふる?私だけがアワアワしていると、ガヴィは慣れた手つきで土を攪拌しながら、「そうですね。ユーリオの子育ては人任せにしたから、うまくいったと思います」と、さらっとすごい爆弾を落とした。
そうだった!おばあ様がおっしゃっていたではないか!ジョシュア様とガヴィは、そっくりだと!
ザっと土の音をさせながら、ジョシュア様が楽しそうに応える。
「そう、それ。経験豊かな愛情深い乳母と、惜しみなく愛を注いだ陛下のお陰で、ユーリオは、こんなにいい子に育った」
「そう思います」
強烈な親子に挟まれ、母上は瀕死の状態だ。父上が言われた「ガヴィに任せた」とは、こういう意味だったのか。
今後の母上とガヴィの関係が容易に想像できて、私は笑ってしまった。
「ユーリオ、手が止まってる」
ジョシュア様に指摘され、慌てて私は作業に戻った。
土には匂いがあることを知った、キングサリを植えた日の夜。
もうすぐ帰るというガヴィを執務室に呼んで、人ばらいをした。
ガヴィは「どうしたの?」と言いながら、完璧貴公子の体で部屋に入ってきた。そしていつもと同じように机の前のソファに座り、みんなの前とは違う、砕けた笑顔を見せる。
私はガヴィの対面に座った。
「伝えたかったことがいくつかあるんだ。
まずはおじい様から。王妃の日記は、ひいおじい様がずっと持っておられたんだって。離宮で亡くなられて、おじい様が私室に入られたとき、テーブルの上に置いてあったんだそうだ。おじい様は、『きっと父上は何度も読み返したのではないか』と言われていた。でも、それを読んでどう思ったかまでは分からないそうだ」
「日記を破棄して隠ぺいできたのに、そうしなかった。持っていたら、いずれ子孫が見つける。これが自分への罰と考えられたのかもしれないね」
「…甘い罰だと思うけどね。
…あとガヴィにはお礼を言わなければ。処刑になった元侯爵の長女の話。あのとき、わざと食い下がってくれてありがとう。
あれだけ食い下がったから、陛下は陛下の説明で私たちたちは納得したと思っておられる。まさか私たちが、長女が生存しているだろうと思ってるなんて、さすがに察してないよ」
ガヴィはテーブルに目を落とした。
「良かった。嫡男を国外追放にしなかったんだから、当然、長女だって修道院送りにはしてないと思ったんだ。あの報告書自体が偽物だと思った。
第一、陛下は長女の報告書は読んでないと仰せられたけど、それが変だ。陛下はきちんと物事を確認される方なのに、読んでないなんてあり得ない。
もし本当に読んでおられないなら、読む価値がない、つまり偽物だと知っておられたということだから」
「きっと陛下は、これ以上、今は私たちに背負わせたくなかったんだろうな」
「そうかもしれないけど、死んだというより、生きているという方が、気が楽になるのにな」
ガヴィのいうことは分かる。でも陛下の気持ちも分かったんだ。
「…生きていると知ったら、今はどうしているんだろう、苦労していないかと、私たちが気に病むと思われたんだと思う。
…つまり、王家は長女に金銭的・人的援助をしているということだ。まだ王太子である私には、そこまで告げられないから、今は死んだということにしようと決断されたんだと思う。だから陛下のお気持ちのままに、長女の件は死亡で通す」
「うん。長女がどこかで生きているならいい」
「長女に援助しているのであれば、当然、嫡男の自死もないと思う」
「そうだね。彼はある意味では、被害者だしね」
二人で黙ってしまった。
「…ユーリオ、ほんとに話したかったのは何?」
ガヴィにはかなわないな。
私は立ち上がって、執務机の引き出しから小さな袋を取り出し、それを持って、今度はガヴィの隣に座る。
「これは王太子の権力を行使して、侍医に用意してもらった」
小袋をテーブルに置く。
「ツツカブラだよ」
ガヴィは目を見張っているだろう。私はまだ彼を見ることはできない。全部、気持ちを伝えてからでなければ。
「もしこれから、万が一、私が自身の運命の番に出会うことがあったら、私が狂う前に、これを私に飲ませて。絶対に約束して。私が獣になる前に」
「ユーリオ」
次に何を言われるのか、怖くて体に力が入る。国王になる身としてはあるまじき判断だと批難されるのだろうか。でも私は嫌だった。理性の働かない獣になるのは嫌だ。
「これ、二人分あるよね?」
私は顔を上げてガヴィを見た。
「もし二人分ないのであれば、僕がツツカブラを育てる。僕の母上はジョシュア・グランフォルドだ。植物学の権威だよ」
「ガヴィ…」
ガヴィが私を抱きしめた。
「いいかい、もしこれから僕に運命の番が現われたら、僕にツツカブラを飲ませ、ユーリオも飲むこと。もしユーリオに運命の番が現われたら、僕がユーリオにツツカブラを飲ませ、僕も飲む。僕はユーリオのいない世界で生きていくのは嫌だ。そして、僕のいない世界で、ユーリオが生きていくのも嫌なんだ。…最低?」
ガヴィ…。
「さ、最低じゃない!そうしてお願い!」
「うん、うん」
私たちはこれから成長して、同じ景色を見ても、違う感想を抱く。そういうことだってあるだろう。
でも、たとえ同じ景色を見て、異なる感想を持ったとしても、その同じ景色を見る空間にいるのは、絶対にガヴィでなければ嫌だ。
私は王太子になるべく自己の欲求に従うのではなく、国益を鑑みて采配するよう教育を受けた。それはどんな時であっても適用される。でも、私が私であるには、どうしてもガヴィが必要なんだ。
ごめんなさい、おじい様、父上。私は王としての力量が到底あるとは言えない出来損ないの王太子です。隣にガヴィがいること、それだけはどうしても譲れないんです。
私たちはずっとその場で抱き合った。
◇◇◇◇◇◇◇◇
第十九代ジョージア王の治世は存外に短かった。王妃が病弱で、その王妃のために早々にユーリオ王太子に座を譲ったと言われているが、真相は伝わっていない。
第二十代国王ユーリオ陛下の戴冠式はキングサリの満開の頃、大気が金色にきらめく季節だった。
小柄で小作りな顔の新王には、殊更、頭上の王冠は大きく見えた。しかし新しい王はまっすぐに立ち、堂々と手を振った。傍らには王配ガブリエル・ローミオ二世・グレイヴィル卿と、4歳の王太子と2歳の王女殿下。
前日までの雨がやみ、空から花吹雪がおちてきて、さながら天界も祝福しているかのようだったと伝わっている。
のちの歴史家はいう。
グレイヴィル王朝は多くの優秀なアルファの王を輩出して栄華を誇ったが、唯一のオメガの王であったユーリオ王ほど国民に愛された王はいなかった。ユーリオ王の治世は長く、王太子時代、そして王になってからもグレイヴィル卿と仲睦まじく、その様はまるで合わせ貝のようで、情意投合の象徴とされ、国民から「幸福な王様」と呼ばれたという。
【おまけ】
※キングサリの苗を植えた日の夜の王妃とジョシュア様の会話
「ユーリオの婚約者をガヴィにして、ほんとに良かった」
「母上は、マリー王女推しだった。それを兄上がガヴィの婚約者はユーリオ殿下にすると、決めたんだよね?」
「…ユーリオに、ガヴィはマリーの婚約者になるかもしれないと伝えた時、ものすごく寂しいな、嫌そうな顔をしたんだ。普段、そんな顔をしない子なのに。それでマリーではなく、ユーリオでと、母上に言った。そしたら母上がゴリ推ししてくれたんだ」
「兄上の決断の中では最良最高の部類だね」
「…そうか(満面の笑み)」(ジョシュアに褒められると物凄く嬉しい)
「運命の番…」
「え?」
「あの子たちさ。あの子たちこそ運命の番だと思うよ。火花が散るような出会いで運命の番と分かるだけじゃないと思うんだよな。気づけば婚約者になっていた。つまりさ、周囲を動かしてあるべき場所に納めさせる。
これこそ、まさに運命の番じゃない?」
「ああ、そうかもな」
「ということは、兄上の決断を褒める必要はないか」
「…」(ショックで言葉もない)
お読みいただき、ありがとうございました。お楽しみいただけたら、とても幸せです。
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