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フェルナン 1
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異母様の部屋からもう少し先。
兄上の部屋は、昔からずっと、この場所だ。
窓からは村が一望できて、かつては幼かった父上も、この部屋であったと聞いている。
「扉の鍵は、壊しました。けれど、家具等で塞がれている様子で……」
「中の人数は?」
「数名の騎士と女中がいると思われます」
「……まずは投降を呼びかけてみよう。
中の者たちが家具を退けてくれるのが、一番早い」
対処をしている間に、他の状況も伝えられていく。
廊下で足止めをしていたシザーとジェイドは、さした傷も負わず役割を成し遂げていた。
目潰しと石飛礫の効果は絶大で、騎士らは半数が自滅したも同然であった様子。
そこを抜け出しシザーに向かった者も、学舎主席の腕前を前に、手も足も出なかったようだ。
役割を与えられたシザーは、とても愚直だ。黙々と向かってくる相手を薙ぎ倒し、人垣を作り上げてしまう。しかも死ぬわけではないから、その人垣は呻くのだ……。死屍累々、呻き声の絶えない廊下に仁王立ちの大男。それは怖い光景であったろうと思う。
一つ困ったのは、二階だ。
執事長を捉えに向かったアーシュらだが、任務の遂行は失敗に終わったらしい。
それも仕方がない話で、執事長はどうも状況を察知していたらしく、さっさと逃げ出し、その部屋には多くの騎士が待ち構えていたのだという。
人数的には拮抗していたものの、不意を突かれたことと、後方からの援軍に挟み撃ちにあい、身を守ることで精一杯の状況に追いやられてしまったようだ。
「面目次第もありません……申し訳ございませんでした……」
「仕方のないことだ。あの少人数で、よく耐えてくれたと思う。兵にも君達にも死者が出なかった。そのことの方が、俺には重要だよ。
まずは休んで、状況報告は、後で良いから」
怪我をおして報告にきたアーシュを宥めて休ませた。
決して軽い怪我ではないのに、報告なんて後で良い。ユストにちゃんと休ませてくれとしつこくお願いして、怪我人を任せた。あ、ジェイドも加えた。熱が随分と上がっていたというのに、黙ってやり過ごそうとしていたからだ。あの場に残ったのも、もう自分で戦力にはならないと判断したからであるっぽい。
「……さて。どうなった?」
「投降を了承しました。今、家具を退けていっている様子です」
兄上の部屋まで戻ると、中でごそごそと作業する音と、囁き声のようなもの、すすり泣きのようなものが聞こえてくる。
兄上の部屋の警備と女中は、投降を承諾したらしい。
まあ、援軍はもう望めないと察すれば、そうするしかないだろうな……。
程なくして、警戒しつつ出てきた騎士らは武器を取り上げられ、牢に連行となった。
女中は四名いたのだが、そのうち二人はその……そちらの相手であった様子で……身繕いをさせてほしいと懇願されたため、見張りをつけるならばということで、了解した。流石にこれは、仕方がない処置だろう。セイバーンの女中に見張りをさせ、何かあれば衛兵らが飛び込めるよう、配慮した上でと念は押しておいたが。
彼女らもまた、見張りを立てた部屋に集めて監禁となり、そちらへ連れて行かれる。
結構な人数だから、牢では足りないのだ。
「……兄上は?」
「あ……その……寝室へ……引きこもられてしまい……。
フェルナン様は、昼夜の関係ない生活をされておりましたので、レイシール様の行軍を目撃されて……我々に扉を閉ざすよう命じられてから、後はもう……」
最後の女中に聞いたのだが、その言葉に、沈黙するしかなかった。
酒の入っていない場合の兄上は、ただひたすら無気力で、現実から目を逸らしている様子だったから、酒が抜けた状態なのかもしれない。
行軍を見たのに、逃げるでもなく、部屋を閉ざして寝室に逃げ込む。もうまともな状況判断など、できないのかな……。
ハインと偽装傭兵団の数人を連れ、部屋の中に入ると、家具が動かされて雑多とした部屋は、しんと静まり返っていた。
……嫌な、気分だな……。
ここで散々俺は…………。
父上との面会時間を過ごすと、その後に待っていたのは兄上からの呼び出しだった。
この部屋で、父上と何を話したのか、どう答えたのか、それを聞かれながら、振るわれる暴力にただ耐える時間。
その間、ずっと、呪詛を浴びせられていた……。
望んではいけないのだと。
何一つ得てはいけないのだと。
操られるまで動かない。それが唯一の正解なのだと。
そうしなければ、俺だけではなく、俺の周りまで、壊されていく…………。
「寝室は、鍵が掛かっているのか?」
頭を切り替え、とにかくまずは目前のことへ対処することを意識する。
「いえ……開いていますね」
「では、行こう」
「いけません。レイシール様は、お待ちください」
ハインに押し止められ、数歩下がる。それを確認してから、ハイン自身が扉に手を掛けた。
取っ手を回し、扉を押し開く。
中に見えた光景は、薄暗い室内と、部屋の中心にある豪奢な寝台。そして盛り上がった上掛け。
部屋が暗いのは、窓に帳が下されているからだろう。風に揺れて、室内の光量が変化していて、この寒い季節に窓を開けているなんて……と、不思議に思った。
ハインもそれは感じた様子で、窓の方に視線をやり……。
「酒臭い……」
と、呟いたのだが。
「⁉︎」
「ハイン⁉︎」
ダッと中に駆け込んだハインが、膨れた上掛けを剥ぎ取ったのだが、そこにあったのは衣服の山だった。
衣装棚から引っ張り出したものを適当に積み上げた様子。
窓に駆け寄ったハインは、階下を見下ろし「ここから逃がしたのかもしれません」と、舌打ち。
「レイシール様はここにいてください!」
それだけ言い残し、部屋を駆け出していった。
ジークや兵士長の名を呼ぶ声が、遠退いていく。
窓から……逃げた?
その言葉を確認すべく、寝室に入り、窓に向かった。
頭を出して見おろすと、露台のない窓の下は、地面まで筒抜けであったのだけど、横手に張り出た露台や、掴まれそうな出っ張りがあり、それを上手くつたっていけば、二階の窓へと移動できそうではある。二階からなら、飛び降りることも、無理ではないかもしれない……が。
兄上が、そんなことをするかな?
という、疑問が残る。
兄は尋常じゃなく酒を飲むものの、食にはあまり興味が無い様子で、身体も細く、特別身体を鍛えているわけでもなかったと思う。
その兄が、危険な状況だからって、窓から逃げるだなんてするのだろうか。
部屋の入り口を塞いでいたのが時間稼ぎで、そのうちにこの窓から逃げたと、ハインは考えたのだろう。
外はもう随分と白んで、あとは日が昇るばかりといった様子。空が、青くなってきている。
けれど、兄の逃げたと思える時間は、もっと薄暗かったのでは……?
「……ここが、父上のお部屋であったことにも……理由があるのか?」
一子をこの部屋にするという習慣は、父上の更に前の代からあったことなのだろうか?
そうであるならば、この部屋のどこかに、何か仕掛けがあるのかもしれない。
例えば隣室や、階下に逃げることのできる仕掛け……そういったものが。
「少し、良いかな?」
俺と共に部屋に残ってくれていた、偽装傭兵団の面々に声を掛けた。
「もしかしたら、この部屋のどこかに、何か仕掛け等があるのかもしれない。
家具を動かしたのも、それを誤魔化すためであったのかも」
そう言うと、皆も得心がいった様子。それぞれ手分けをして、部屋の中を確認していくことになった。
俺はそのまま寝室を。
転がっていた酒瓶を拾って、机の上に置いた。机には小さな行灯があり、ゆらりと、炎が瞬いている。
そのまま寝台を迂回して、窓に歩み寄った。帳を上げて、明るくなった室内を見渡すと、まだまだそこかしこに酒瓶が転がっている。
溢れた酒が床を濡らしているし、この強い、酒の匂い……兄上は相当酩酊状態なのではないだろうか。
壁際に歩み寄って、触れてみた。
基本は石造りの領主の館だけど、この部屋の内装は木や漆喰が使われている。
壁紙を貼られているが、それのどこかに、不自然な切れ目などないだろうか。
隣室側の壁から、丁寧にじっくり。手で触り、目で確認しつつ、横に移動していく。
寝台のすぐ横手まで来て、少し悩んでから、上に上がった。
寝台奥の壁が、怪しいかなと思ったのだ。押し開くならば、家具があったって問題無いわけだし。なんとなく服を積み上げて寝ている風を装ったのも、ここから逃げていることを誤魔化すためではないのかと、そう思った。
……………………勘ぐり過ぎかな?
特に、これといった怪しいものは、ない。
逆側から降りて、壁の端まで続きを見ていこうと、したのだけれど。
「っ⁉︎」
左足に激痛が走った。
何が起こっているのかが分からず、ただ痛みに喉が詰まる。
視線を下ろすと、寝台の下から手が伸び、握り込まれた小刀が、俺の脹脛を刺していた。
兄上の部屋は、昔からずっと、この場所だ。
窓からは村が一望できて、かつては幼かった父上も、この部屋であったと聞いている。
「扉の鍵は、壊しました。けれど、家具等で塞がれている様子で……」
「中の人数は?」
「数名の騎士と女中がいると思われます」
「……まずは投降を呼びかけてみよう。
中の者たちが家具を退けてくれるのが、一番早い」
対処をしている間に、他の状況も伝えられていく。
廊下で足止めをしていたシザーとジェイドは、さした傷も負わず役割を成し遂げていた。
目潰しと石飛礫の効果は絶大で、騎士らは半数が自滅したも同然であった様子。
そこを抜け出しシザーに向かった者も、学舎主席の腕前を前に、手も足も出なかったようだ。
役割を与えられたシザーは、とても愚直だ。黙々と向かってくる相手を薙ぎ倒し、人垣を作り上げてしまう。しかも死ぬわけではないから、その人垣は呻くのだ……。死屍累々、呻き声の絶えない廊下に仁王立ちの大男。それは怖い光景であったろうと思う。
一つ困ったのは、二階だ。
執事長を捉えに向かったアーシュらだが、任務の遂行は失敗に終わったらしい。
それも仕方がない話で、執事長はどうも状況を察知していたらしく、さっさと逃げ出し、その部屋には多くの騎士が待ち構えていたのだという。
人数的には拮抗していたものの、不意を突かれたことと、後方からの援軍に挟み撃ちにあい、身を守ることで精一杯の状況に追いやられてしまったようだ。
「面目次第もありません……申し訳ございませんでした……」
「仕方のないことだ。あの少人数で、よく耐えてくれたと思う。兵にも君達にも死者が出なかった。そのことの方が、俺には重要だよ。
まずは休んで、状況報告は、後で良いから」
怪我をおして報告にきたアーシュを宥めて休ませた。
決して軽い怪我ではないのに、報告なんて後で良い。ユストにちゃんと休ませてくれとしつこくお願いして、怪我人を任せた。あ、ジェイドも加えた。熱が随分と上がっていたというのに、黙ってやり過ごそうとしていたからだ。あの場に残ったのも、もう自分で戦力にはならないと判断したからであるっぽい。
「……さて。どうなった?」
「投降を了承しました。今、家具を退けていっている様子です」
兄上の部屋まで戻ると、中でごそごそと作業する音と、囁き声のようなもの、すすり泣きのようなものが聞こえてくる。
兄上の部屋の警備と女中は、投降を承諾したらしい。
まあ、援軍はもう望めないと察すれば、そうするしかないだろうな……。
程なくして、警戒しつつ出てきた騎士らは武器を取り上げられ、牢に連行となった。
女中は四名いたのだが、そのうち二人はその……そちらの相手であった様子で……身繕いをさせてほしいと懇願されたため、見張りをつけるならばということで、了解した。流石にこれは、仕方がない処置だろう。セイバーンの女中に見張りをさせ、何かあれば衛兵らが飛び込めるよう、配慮した上でと念は押しておいたが。
彼女らもまた、見張りを立てた部屋に集めて監禁となり、そちらへ連れて行かれる。
結構な人数だから、牢では足りないのだ。
「……兄上は?」
「あ……その……寝室へ……引きこもられてしまい……。
フェルナン様は、昼夜の関係ない生活をされておりましたので、レイシール様の行軍を目撃されて……我々に扉を閉ざすよう命じられてから、後はもう……」
最後の女中に聞いたのだが、その言葉に、沈黙するしかなかった。
酒の入っていない場合の兄上は、ただひたすら無気力で、現実から目を逸らしている様子だったから、酒が抜けた状態なのかもしれない。
行軍を見たのに、逃げるでもなく、部屋を閉ざして寝室に逃げ込む。もうまともな状況判断など、できないのかな……。
ハインと偽装傭兵団の数人を連れ、部屋の中に入ると、家具が動かされて雑多とした部屋は、しんと静まり返っていた。
……嫌な、気分だな……。
ここで散々俺は…………。
父上との面会時間を過ごすと、その後に待っていたのは兄上からの呼び出しだった。
この部屋で、父上と何を話したのか、どう答えたのか、それを聞かれながら、振るわれる暴力にただ耐える時間。
その間、ずっと、呪詛を浴びせられていた……。
望んではいけないのだと。
何一つ得てはいけないのだと。
操られるまで動かない。それが唯一の正解なのだと。
そうしなければ、俺だけではなく、俺の周りまで、壊されていく…………。
「寝室は、鍵が掛かっているのか?」
頭を切り替え、とにかくまずは目前のことへ対処することを意識する。
「いえ……開いていますね」
「では、行こう」
「いけません。レイシール様は、お待ちください」
ハインに押し止められ、数歩下がる。それを確認してから、ハイン自身が扉に手を掛けた。
取っ手を回し、扉を押し開く。
中に見えた光景は、薄暗い室内と、部屋の中心にある豪奢な寝台。そして盛り上がった上掛け。
部屋が暗いのは、窓に帳が下されているからだろう。風に揺れて、室内の光量が変化していて、この寒い季節に窓を開けているなんて……と、不思議に思った。
ハインもそれは感じた様子で、窓の方に視線をやり……。
「酒臭い……」
と、呟いたのだが。
「⁉︎」
「ハイン⁉︎」
ダッと中に駆け込んだハインが、膨れた上掛けを剥ぎ取ったのだが、そこにあったのは衣服の山だった。
衣装棚から引っ張り出したものを適当に積み上げた様子。
窓に駆け寄ったハインは、階下を見下ろし「ここから逃がしたのかもしれません」と、舌打ち。
「レイシール様はここにいてください!」
それだけ言い残し、部屋を駆け出していった。
ジークや兵士長の名を呼ぶ声が、遠退いていく。
窓から……逃げた?
その言葉を確認すべく、寝室に入り、窓に向かった。
頭を出して見おろすと、露台のない窓の下は、地面まで筒抜けであったのだけど、横手に張り出た露台や、掴まれそうな出っ張りがあり、それを上手くつたっていけば、二階の窓へと移動できそうではある。二階からなら、飛び降りることも、無理ではないかもしれない……が。
兄上が、そんなことをするかな?
という、疑問が残る。
兄は尋常じゃなく酒を飲むものの、食にはあまり興味が無い様子で、身体も細く、特別身体を鍛えているわけでもなかったと思う。
その兄が、危険な状況だからって、窓から逃げるだなんてするのだろうか。
部屋の入り口を塞いでいたのが時間稼ぎで、そのうちにこの窓から逃げたと、ハインは考えたのだろう。
外はもう随分と白んで、あとは日が昇るばかりといった様子。空が、青くなってきている。
けれど、兄の逃げたと思える時間は、もっと薄暗かったのでは……?
「……ここが、父上のお部屋であったことにも……理由があるのか?」
一子をこの部屋にするという習慣は、父上の更に前の代からあったことなのだろうか?
そうであるならば、この部屋のどこかに、何か仕掛けがあるのかもしれない。
例えば隣室や、階下に逃げることのできる仕掛け……そういったものが。
「少し、良いかな?」
俺と共に部屋に残ってくれていた、偽装傭兵団の面々に声を掛けた。
「もしかしたら、この部屋のどこかに、何か仕掛け等があるのかもしれない。
家具を動かしたのも、それを誤魔化すためであったのかも」
そう言うと、皆も得心がいった様子。それぞれ手分けをして、部屋の中を確認していくことになった。
俺はそのまま寝室を。
転がっていた酒瓶を拾って、机の上に置いた。机には小さな行灯があり、ゆらりと、炎が瞬いている。
そのまま寝台を迂回して、窓に歩み寄った。帳を上げて、明るくなった室内を見渡すと、まだまだそこかしこに酒瓶が転がっている。
溢れた酒が床を濡らしているし、この強い、酒の匂い……兄上は相当酩酊状態なのではないだろうか。
壁際に歩み寄って、触れてみた。
基本は石造りの領主の館だけど、この部屋の内装は木や漆喰が使われている。
壁紙を貼られているが、それのどこかに、不自然な切れ目などないだろうか。
隣室側の壁から、丁寧にじっくり。手で触り、目で確認しつつ、横に移動していく。
寝台のすぐ横手まで来て、少し悩んでから、上に上がった。
寝台奥の壁が、怪しいかなと思ったのだ。押し開くならば、家具があったって問題無いわけだし。なんとなく服を積み上げて寝ている風を装ったのも、ここから逃げていることを誤魔化すためではないのかと、そう思った。
……………………勘ぐり過ぎかな?
特に、これといった怪しいものは、ない。
逆側から降りて、壁の端まで続きを見ていこうと、したのだけれど。
「っ⁉︎」
左足に激痛が走った。
何が起こっているのかが分からず、ただ痛みに喉が詰まる。
視線を下ろすと、寝台の下から手が伸び、握り込まれた小刀が、俺の脹脛を刺していた。
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