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新たな問題 14
「そもそも金星っていうのは、オブシズさんの通り名だったんですよ。
レイ様を助けるために、ジェスルといざこざを起こしたことになるでしょう? だからこの方、ジェスルに目をつけられないよう、あんな演出をされたんです。
あの当時で七年傭兵をやってらっしゃった方ですからねぇ。そう簡単に、致命傷なんて受けるわけがありません。
ある程度表層に傷を受け、血濡れの状態を演出して、川に飛び込んで、逃げた……とまぁ、そんな感じですよね?」
マルの解説に、元ヴィルジール……現オブシズはお茶を啜りつつ、頷きを返す。
「けどまぁ、相手が相手だったからなぁ。
傭兵団に戻って当時の隊長に報告したら、フザケンナって散々絞られてな。こっちの界隈では、ジェスルは有名で……あれだけじゃ万が一ってことがあるし、念には念を入れて、更に俺を隠す処理を重ねることになったんだ」
そう言ったオブシズの言葉を、またマルが引き継ぐ。指を追って、数えつつ。
「まず、ヴィルジールという名は捨て、オブシズと改名しました。そして当時副隊長だったこの方は、隊長に昇格。
金星が、団の隊長に与えられる称号となったのも、この措置の一環ですよね。隊長二人が金星と名乗ることになったわけです。
元々明けの明星は、評価の高い傭兵団でした。けれどそこで営業先の方向も修正してますよね。
隊員に礼儀作法を教え込んで、取引先を上客に限定するように。
つまり、使い捨てになる傭兵からの脱却。他の傭兵団との差別化により、仕事を選べるように調整したというわけです」
「…………いや、なんでそんな細かく知られてんだろうね……。秘中の秘としてたんだけどな……俺の裏事情とか全般……」
「僕、そういうの探るの得意なんです」
にこやかに笑って言うマルに、オブシズは胡乱な瞳を向けている。
けれどそんな視線を気にもせず、マルは言葉を続けた。
「けどまぁ、オブシズ、ヴィルジールという二つの名前、貴方の身体的特徴、当時負っていた矢傷、学舎に在籍していた元貴族等……沢山の情報をレイ様から得ることができたから、なんとか絞り込めたんですけどねぇ。
僕も学舎にいましたし、貴方とは入れ違いでの入学でしたけど、貴方の特徴的な外見は僕の耳にも届いてましたし、個人的な興味で調べたりしてましたから、元からある程度の情報を有してたんです。おかげで思いの外早く調べもつきましたし、裏付けも取れました」
それだって生半可なことじゃないのだけどな……。
皆の気持ちは一致していたと思うけれど、十八年学舎で座学の主席に居座っていた人物はやはり桁外れだということだ。納得するしかない。
「レイシール様、申し訳ありませんでした……。
あの時は、どうしてもオブシズのことを口にすることができなくて……。
貴方があまりにお辛そうだったから、気が気じゃなかった……」
ヘルガーが、本当に申し訳なさげにそう言うものだから、あの時の俺、相当だったんだなと、むしろ恥ずかしくなる……。
そのヘルガーの言葉に続いて、エルランドも愚痴をこぼし出した。
「本当は、もっと早くお知らせするつもりだったんですよ。
なのにこいつ、もう引退したからって気楽に一人旅に出てやがっててね⁉︎
レイシール様との因縁を聞こうにも、あの当時のことって秘中の秘だからって、古参らは頑なに口を噤んで教えてくれなくて。
こっちは仕事もあるしでなっかなか上手く時間を作れず……当時の名前だけ先に知らせるのがやっとだったんですよ」
「いや、手間を取らせてほんと、申し訳なかった……」
「何を言うんです! 全然手間とかじゃないですからね。
それよりもオブシズですよ。訪ねて来いなんて言っておいて、レイシール様のこと仲間に伝えてないんじゃ、もし本当にレイシール様が訪ねていらっしゃった時、対応できなかったでしょうが!」
怒るヘルガーに、オブシズは、あー……と、視線を逸らす。
そして、少し申し訳なさそうに、口元を手で隠し、いや、あのな……と、言い淀んだ。
「あれは……ちょっとした保険のつもりだったんだ。
そもそも五歳だろ?
そんな幼い頃の、たった数日のことなんか、学舎で楽しく過ごせば、忘れると思ったんだよ……。
だけどもし、万が一があった場合、本当に逃げ出したいって思った時、記憶の片隅にでも、逃げ込める場所があると思えたら、気持ちだって違ってくると思って……。
それに、本当に俺に会いたいと思うなら、領主様に聞くと思ったし……。
そもそもこいつにまで本気で死んでると思われてたとか……想像してなくてな」
「死んだ演出しといてなに言ってやがる!」
「いや、だってこれ、送り返されてきたし」
そう言ったオブシズが、ポンと腰を叩く。
そこにあったのは当然彼の獲物……小剣だ。鞘は記憶に無かったけれど、柄に刻まれた家紋は、印象に残っていた。
「持って川に飛び込むには邪魔になるし、俺がここにちゃんといた証拠として残したんだ。領主様なら、この家紋を見れば分かるだろうから。
もう家にこだわりは無かったし、戻ってこなくても良かったんだけどな。ある時傭兵団宛に届いた。
……死んだと思う奴にこんなもん、送り返してこないだろ?」
死んだ傭兵の私物など、普通に考えれば、処分されるだろう。
それをわざわざ、傭兵団宛に送り返した……。当然それは、異母様や兄上ではないだろう。となると……父上しか……。
「まぁそれで、俺は極力セイバーンと、ジェスルに関する仕事には関わらないようにしてきてたわけ。
今回エルランドがセイバーンに販路を通したから、俺の年考えても、そろそろ引退かなって。丁度良いかと思ったんだ。
それでヘルガー指名して、肩の荷が降りたんで、越冬どこにしようかって気ままに歩き回ってたら…………なんか変な手紙が届くし……」
何故か予定も立てずに進んでいた旅先に、手紙が届いたのだという。
オブシズ宛であるのに、中にあったのはヴィルジール宛のもの。是非とも貴方を手に入れたい。詳細はエルランドから確認してほしいと、エルランドの行商途中の行程が記されているものだから、慌てたそうだ。
十二年も前に捨てたヴィルジールの名を出してきたということはジェスル関連かもしれず、エルランドの名を出してきたということはセイバーン絡み。この二つが合わさるということはもう、十二年前のことしかない。もしやエルランドらに危害が及ぶ事態になっているのかと、慌てて進路を変更し、行商途中のエルランドを探し出して合流したのだという。彼らの行程は、手紙通りだった……。
「……マル…………」
「や、だって調べやすいですから、エルランドさん。無茶な計画立てませんし、すごく予定通りきっちり進まれるので試算も楽なんですよ。
細かく書かなかったのは、その方が急いでくれるかなって」
悪びれもせずにマルが言う。
そしていざエルランドと合流してみれば、お前何をしやがったと締め上げられ、俺のことを聞かされたのだということだった。
「まぁ、まさかレイ様が誓約で父上との意思疎通阻害されてるとか、想定してないですもんねぇ」
マルのそんな呟きで、オブシズも状況を察したようだ。マジかよ……と、呟いて拳を握る。
お前のせいで死んだと聞かされ、俺がそれをずっと気に病み、鎖に縛られたように過ごしてきたのだと、そう言われ……。
「そんな風に、してたのかよ……」
眉を寄せて俺を見て、悪かったと口にするから、俺は必死で首を横に振った。
オブシズは何も悪くない。
そんなことよりも、生きていてくれたということが、何よりも嬉しくて、それまでのことなど、なんだってよくなった。
「もう、全部なんでもないことになりました……貴方が、生きていてくれたから」
苦しかった、本当に。
だけど、この日が来たならば、全てチャラにできる。
「貴方が、全部のきっかけの、一番初めだった……」
今の俺をこの場所に立たせてくれた。
「俺がここでこうしてられるのは全て、貴方から始まったことです。
なんの見返りもないのに、優しくしてくれた。
父上に進言までしてくれたのでしょう?
だから俺は、あのあと本当にすぐ、学舎に行って、沢山のものを得ました」
きちんと向き直って、ありがとうございます。と、深く頭を下げた。
「……友達、できたみたいだな」
ちらりとマルに視線をやってそう言うから、胸がいっぱいになってしまう。
それこそ、十二年も前のことだ。なのにこの人は、ちゃんと俺を覚えていてくれた。たった数日の邂逅であったのに。
「今度是非、時間をいただけませんか。貴方が与えてくれた十年間に得た友を、今までの月日で手にした宝を、紹介したい」
そう言うと、うん? と、首を傾げて、オブシズの視線がマルを向く。
「あ、じゃあ了承していただけるんですね」
「……いやまぁ……、けど、良いのか? 引退傭兵だぞ?」
「実戦経験は何にも勝りますからねぇ。レイ様はこれから忙しくなられる身なので、信頼できる人が一人でも多く欲しいんです」
頭を掻き掻き思案する様子を見せるも……。
「大丈夫ですよ! まだオブシズは引退するような年じゃないし、腕だって確かです。販路がセイバーンになったなんて理由がなければ、まだ十年は傭兵を続けていたはずです」
「隊長も退いたし、セイバーンを避ける理由だって無くなったんだから、構わないだろ。
というかお前、十二年も人ひとりを振り回したんだから、十二年は償うべきだろうが」
ヘルガーとエルランドにそう指摘され、苦笑を零すオブシズ。
最終的に、根負けしたのかこくりと頷くと、場がどっと湧いた。
俺を放り出して皆でワイワイと話を始めてしまうから、しばらくそれを眺めていたのだけれど、そのうちマルが気付いて、凄く良い笑顔で俺に言ったのは……。
「レイ様、やりました。新しい武官確保しましたよ。良かったですねぇ」
「あー……そういうわけだから、宜しく頼むわ」
………………は⁉︎
レイ様を助けるために、ジェスルといざこざを起こしたことになるでしょう? だからこの方、ジェスルに目をつけられないよう、あんな演出をされたんです。
あの当時で七年傭兵をやってらっしゃった方ですからねぇ。そう簡単に、致命傷なんて受けるわけがありません。
ある程度表層に傷を受け、血濡れの状態を演出して、川に飛び込んで、逃げた……とまぁ、そんな感じですよね?」
マルの解説に、元ヴィルジール……現オブシズはお茶を啜りつつ、頷きを返す。
「けどまぁ、相手が相手だったからなぁ。
傭兵団に戻って当時の隊長に報告したら、フザケンナって散々絞られてな。こっちの界隈では、ジェスルは有名で……あれだけじゃ万が一ってことがあるし、念には念を入れて、更に俺を隠す処理を重ねることになったんだ」
そう言ったオブシズの言葉を、またマルが引き継ぐ。指を追って、数えつつ。
「まず、ヴィルジールという名は捨て、オブシズと改名しました。そして当時副隊長だったこの方は、隊長に昇格。
金星が、団の隊長に与えられる称号となったのも、この措置の一環ですよね。隊長二人が金星と名乗ることになったわけです。
元々明けの明星は、評価の高い傭兵団でした。けれどそこで営業先の方向も修正してますよね。
隊員に礼儀作法を教え込んで、取引先を上客に限定するように。
つまり、使い捨てになる傭兵からの脱却。他の傭兵団との差別化により、仕事を選べるように調整したというわけです」
「…………いや、なんでそんな細かく知られてんだろうね……。秘中の秘としてたんだけどな……俺の裏事情とか全般……」
「僕、そういうの探るの得意なんです」
にこやかに笑って言うマルに、オブシズは胡乱な瞳を向けている。
けれどそんな視線を気にもせず、マルは言葉を続けた。
「けどまぁ、オブシズ、ヴィルジールという二つの名前、貴方の身体的特徴、当時負っていた矢傷、学舎に在籍していた元貴族等……沢山の情報をレイ様から得ることができたから、なんとか絞り込めたんですけどねぇ。
僕も学舎にいましたし、貴方とは入れ違いでの入学でしたけど、貴方の特徴的な外見は僕の耳にも届いてましたし、個人的な興味で調べたりしてましたから、元からある程度の情報を有してたんです。おかげで思いの外早く調べもつきましたし、裏付けも取れました」
それだって生半可なことじゃないのだけどな……。
皆の気持ちは一致していたと思うけれど、十八年学舎で座学の主席に居座っていた人物はやはり桁外れだということだ。納得するしかない。
「レイシール様、申し訳ありませんでした……。
あの時は、どうしてもオブシズのことを口にすることができなくて……。
貴方があまりにお辛そうだったから、気が気じゃなかった……」
ヘルガーが、本当に申し訳なさげにそう言うものだから、あの時の俺、相当だったんだなと、むしろ恥ずかしくなる……。
そのヘルガーの言葉に続いて、エルランドも愚痴をこぼし出した。
「本当は、もっと早くお知らせするつもりだったんですよ。
なのにこいつ、もう引退したからって気楽に一人旅に出てやがっててね⁉︎
レイシール様との因縁を聞こうにも、あの当時のことって秘中の秘だからって、古参らは頑なに口を噤んで教えてくれなくて。
こっちは仕事もあるしでなっかなか上手く時間を作れず……当時の名前だけ先に知らせるのがやっとだったんですよ」
「いや、手間を取らせてほんと、申し訳なかった……」
「何を言うんです! 全然手間とかじゃないですからね。
それよりもオブシズですよ。訪ねて来いなんて言っておいて、レイシール様のこと仲間に伝えてないんじゃ、もし本当にレイシール様が訪ねていらっしゃった時、対応できなかったでしょうが!」
怒るヘルガーに、オブシズは、あー……と、視線を逸らす。
そして、少し申し訳なさそうに、口元を手で隠し、いや、あのな……と、言い淀んだ。
「あれは……ちょっとした保険のつもりだったんだ。
そもそも五歳だろ?
そんな幼い頃の、たった数日のことなんか、学舎で楽しく過ごせば、忘れると思ったんだよ……。
だけどもし、万が一があった場合、本当に逃げ出したいって思った時、記憶の片隅にでも、逃げ込める場所があると思えたら、気持ちだって違ってくると思って……。
それに、本当に俺に会いたいと思うなら、領主様に聞くと思ったし……。
そもそもこいつにまで本気で死んでると思われてたとか……想像してなくてな」
「死んだ演出しといてなに言ってやがる!」
「いや、だってこれ、送り返されてきたし」
そう言ったオブシズが、ポンと腰を叩く。
そこにあったのは当然彼の獲物……小剣だ。鞘は記憶に無かったけれど、柄に刻まれた家紋は、印象に残っていた。
「持って川に飛び込むには邪魔になるし、俺がここにちゃんといた証拠として残したんだ。領主様なら、この家紋を見れば分かるだろうから。
もう家にこだわりは無かったし、戻ってこなくても良かったんだけどな。ある時傭兵団宛に届いた。
……死んだと思う奴にこんなもん、送り返してこないだろ?」
死んだ傭兵の私物など、普通に考えれば、処分されるだろう。
それをわざわざ、傭兵団宛に送り返した……。当然それは、異母様や兄上ではないだろう。となると……父上しか……。
「まぁそれで、俺は極力セイバーンと、ジェスルに関する仕事には関わらないようにしてきてたわけ。
今回エルランドがセイバーンに販路を通したから、俺の年考えても、そろそろ引退かなって。丁度良いかと思ったんだ。
それでヘルガー指名して、肩の荷が降りたんで、越冬どこにしようかって気ままに歩き回ってたら…………なんか変な手紙が届くし……」
何故か予定も立てずに進んでいた旅先に、手紙が届いたのだという。
オブシズ宛であるのに、中にあったのはヴィルジール宛のもの。是非とも貴方を手に入れたい。詳細はエルランドから確認してほしいと、エルランドの行商途中の行程が記されているものだから、慌てたそうだ。
十二年も前に捨てたヴィルジールの名を出してきたということはジェスル関連かもしれず、エルランドの名を出してきたということはセイバーン絡み。この二つが合わさるということはもう、十二年前のことしかない。もしやエルランドらに危害が及ぶ事態になっているのかと、慌てて進路を変更し、行商途中のエルランドを探し出して合流したのだという。彼らの行程は、手紙通りだった……。
「……マル…………」
「や、だって調べやすいですから、エルランドさん。無茶な計画立てませんし、すごく予定通りきっちり進まれるので試算も楽なんですよ。
細かく書かなかったのは、その方が急いでくれるかなって」
悪びれもせずにマルが言う。
そしていざエルランドと合流してみれば、お前何をしやがったと締め上げられ、俺のことを聞かされたのだということだった。
「まぁ、まさかレイ様が誓約で父上との意思疎通阻害されてるとか、想定してないですもんねぇ」
マルのそんな呟きで、オブシズも状況を察したようだ。マジかよ……と、呟いて拳を握る。
お前のせいで死んだと聞かされ、俺がそれをずっと気に病み、鎖に縛られたように過ごしてきたのだと、そう言われ……。
「そんな風に、してたのかよ……」
眉を寄せて俺を見て、悪かったと口にするから、俺は必死で首を横に振った。
オブシズは何も悪くない。
そんなことよりも、生きていてくれたということが、何よりも嬉しくて、それまでのことなど、なんだってよくなった。
「もう、全部なんでもないことになりました……貴方が、生きていてくれたから」
苦しかった、本当に。
だけど、この日が来たならば、全てチャラにできる。
「貴方が、全部のきっかけの、一番初めだった……」
今の俺をこの場所に立たせてくれた。
「俺がここでこうしてられるのは全て、貴方から始まったことです。
なんの見返りもないのに、優しくしてくれた。
父上に進言までしてくれたのでしょう?
だから俺は、あのあと本当にすぐ、学舎に行って、沢山のものを得ました」
きちんと向き直って、ありがとうございます。と、深く頭を下げた。
「……友達、できたみたいだな」
ちらりとマルに視線をやってそう言うから、胸がいっぱいになってしまう。
それこそ、十二年も前のことだ。なのにこの人は、ちゃんと俺を覚えていてくれた。たった数日の邂逅であったのに。
「今度是非、時間をいただけませんか。貴方が与えてくれた十年間に得た友を、今までの月日で手にした宝を、紹介したい」
そう言うと、うん? と、首を傾げて、オブシズの視線がマルを向く。
「あ、じゃあ了承していただけるんですね」
「……いやまぁ……、けど、良いのか? 引退傭兵だぞ?」
「実戦経験は何にも勝りますからねぇ。レイ様はこれから忙しくなられる身なので、信頼できる人が一人でも多く欲しいんです」
頭を掻き掻き思案する様子を見せるも……。
「大丈夫ですよ! まだオブシズは引退するような年じゃないし、腕だって確かです。販路がセイバーンになったなんて理由がなければ、まだ十年は傭兵を続けていたはずです」
「隊長も退いたし、セイバーンを避ける理由だって無くなったんだから、構わないだろ。
というかお前、十二年も人ひとりを振り回したんだから、十二年は償うべきだろうが」
ヘルガーとエルランドにそう指摘され、苦笑を零すオブシズ。
最終的に、根負けしたのかこくりと頷くと、場がどっと湧いた。
俺を放り出して皆でワイワイと話を始めてしまうから、しばらくそれを眺めていたのだけれど、そのうちマルが気付いて、凄く良い笑顔で俺に言ったのは……。
「レイ様、やりました。新しい武官確保しましたよ。良かったですねぇ」
「あー……そういうわけだから、宜しく頼むわ」
………………は⁉︎
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