556 / 1,121
門出 4
しおりを挟む
昼の少し手前という時間帯に、アイルとウーヴェ、そしてロビンと、想定していなかったルーシーがやって来た。
「サヤさん!」
大喜びでサヤに飛びつき、再開を喜び合う二人。見ていて微笑ましい限りだ。
ルーシーは、サヤの頬に触れ、手を握り、サヤの無事を確認するかのように触れてから、心配そうに問いかける。
「大丈夫でしたか? 嫌な人には絡まれませんでした?」
それに対しサヤは、柔らかい笑みを浮かべてこくりと頷いた。
「大丈夫。皆さんよくしてくださったので、全然平気でした」
その言葉に、二人して笑顔になる。
けれど、続いたルーシーの言葉に、サヤは凍り付いた。
「お土産はあります?」
「お、お土産?……お土産は……」
助けて。という視線が俺を見る。
街に出る時間など確保してなかったのでそんなものは無い。しまった、全く考えてなかった……。
なので俺は、時間稼ぎに咳払いをひとつ。土産になりそうなもの……えーと……。
「あー……、近日中に、耳飾の受注が入る予定なんだけど……」
これは土産になるのかな……。
恐る恐るの問いかけだったのだけど、それによりルーシーは瞳を輝かせた。
「もう受注⁉︎ サヤさん流石です! だからロビンさんをお呼びだったんですね! ですって、ロビンさん!」
「ええええぇぇ、もう⁉︎ 嘘っ⁉︎ 貴族の方相手ってことですか⁉︎ おおおお俺には荷が重すぎます!」
なんで呼ばれたんだろうとばかりに、隅っこで小さくなっていたロビンだったが、それにより混乱に突入。
ルーシーとサヤが慌てて宥めに入る事態となった。
そんな混乱の中、最後にウーヴェが苦笑してやって来て、俺に「おかえりなさいませ」と、言葉をくれる。
「拠点村は、恙無く、順調に作業を進めております。孤児院と幼年院の建設を急ぐ件も承りました。こちらも職人の確保は目処がつき、昨日より現場に入りました」
「ありがとう。……ウーヴェも、元気そうで良かった。越冬から直ぐにプローホルで、顔を合わせられなかったから」
そう言うと、柔らかい笑みを浮かべて礼を述べるウーヴェ。
彼は越冬をメバックで過ごしていたのだけど、その間もこちらで職人の確保に尽力してくれていたのだ。そして、俺たちのプローホル出発とすれ違う形で拠点村に戻った。
「ルカやシェルトは? 皆息災だったかな」
「ルカは元気以外ありませんから大丈夫ですよ。
本日から数日留守にすることはシェルトに伝え、現場も預けてまいりましたから、拠点村は大丈夫です」
そう言って、書類の束を俺に手渡してくるウーヴェ。
「越冬中に確保できた職人の名簿です」
「…………思っていたより随分と……多いな」
「越冬明けに急激に増えましてね。商業広場で作り溜めた商品の売買を開始しましたから。
一番の売れ筋は洗濯板ですね。もう在庫が尽きかけてます。
髪飾りも売り子に着用を義務付けたら、飛ぶように売れだしました」
「えぇ? まだ街開きして間もないのに……朗報しか無いと怖くなるんだけど……。問題の方は?」
そう問うと、苦笑と共にこんな返事が返ってきた。
「手続きの人手が足りないことくらいでしょうか」
……ウーヴェひとりでは手が回らないってこと? それは、相当だな……。
「それで、勝手をするのもどうかと思ったのですが……ひとり助手を雇いました。……宜しかったでしょうか?」
「ウーヴェが店主なんだから、そこは俺の采配を仰ぐ必要無いって!
ウーヴェの目は信頼しているよ。だから必要と思う人手はこちらの指示など求めなくて良い。
あ、それでな、近々装飾品の職人の確保が必要なんだけど……」
「書簡にあった耳飾の件ですね。もう話は通してあります」
打てば響く……。
これ……俺のここでしなきゃならないこと、終わってしまってないか?
言葉が続かずにいると、俺が報告を待っていると思ったのか、ウーヴェが確保した職人について話を始め、それを見咎めたハインが奥でやってくれと俺たちを応接室に促す。
いや、びっくりした……。俺たちだけでやることに慣れすぎていて、誰かが勧めてくれているということがこんなにも凄いことだとは……。
「……ありがとう、ウーヴェ。なんか凄く、ホッとしたよ……」
そう言うと、とんでもありませんと、またウーヴェは優しい笑みを浮かべた。…………うーん?
「とはいえ貴族対応に強い職人というのが、メバックにはあまおりません……。
なので、バート商会の手を借りる方向で検討しておりまして」
「あ、うん。それを俺からもお願いしようと思ってたんだ。ギルには話を通してあるから。
それで、仲介にアギーの方が挟まる形になるから……」
なんとなくウーヴェの様子が違う気がしたのだけど、それ以上の変化を見つけることは叶わず……俺たちはそのまま今後の打ち合わせを済ませた。
今日よりウーヴェもメバックだが、宿は別に確保してあるとのこと。
「明日、雇い入れた助手を伴いまして、また参ります」
「うん、頼む。……拠点村からわざわざ呼ぶの?」
「いえ、メバックにおります。こちらで受付窓口をひとつ設けまして。まずは予約を取っていただき、後日まとめて面会という方法に切り替えたので」
助手はその窓口にて待機してもらっているのだという。
それはつまり、こちらから必死で説得に回らずとも、職人の確保ができるようになってきつつあるということで、俺たちにとっては、ひとつの壁を越えたということでもあった。
「ウーヴェの尽力のお陰だな……。本当、貴方がいてくれて良かった」
「まだまだです。まだメバックだけですから。これからセイバーン中に手を広げ、他領や、国へと育てていかなければなりません」
「そうだな……引き続き頼む」
「誠心誠意、努めさせていただきます」
そんな風にして今後の予定を話しているうちに、やっと気持ちが落ち着いたらしいロビンと、サヤにくっついてルーシーがやって来て、新たに確保した職人への指導を行いつつ、耳飾を製作していくことになると説明。
当然、襟飾と対で作ることが肝要で、全て違う意匠でとなる。
するとルーシーが、貴族方への対応は私が承りますよと言いだし、装飾師の職務だとやる気を見せた。
「慣れれば職人の方と直接のやり取りを行う方が良いのかもしれませんけど……初めて手がける装飾品ならば尚のこと、間に私が入るべきですわ。
少なくとも私は、サヤさんの装飾品に関わった実績がありますし、その工程も目にしてきてますもの。お任せくださいな」
そう言うから、お願いすることにする。
ルーシーにとってもこれは、良い経験だと思ったし、バート商会本店の後継という立場が、彼女の武器になると考えたからだ。
当然それはルーシーも承知していよう。
「……なんか急に大事業みたいだな……」
ついそう呟いたら、ルーシーとロビンには呆れられてしまった。
「なにをおっしゃいますの? 元から相当な大事業ですわ!」
「土嚢壁から装飾品まで……相当手広くやってますよね……大事業ですよ、どう考えても……」
ウーヴェとサヤが顔を見合わせてそれに苦笑し、ハインの呆れた溜息に俺は頭を掻く。
そっか、元から大事業か……。思い至ってなかったよ……。
「サヤさん!」
大喜びでサヤに飛びつき、再開を喜び合う二人。見ていて微笑ましい限りだ。
ルーシーは、サヤの頬に触れ、手を握り、サヤの無事を確認するかのように触れてから、心配そうに問いかける。
「大丈夫でしたか? 嫌な人には絡まれませんでした?」
それに対しサヤは、柔らかい笑みを浮かべてこくりと頷いた。
「大丈夫。皆さんよくしてくださったので、全然平気でした」
その言葉に、二人して笑顔になる。
けれど、続いたルーシーの言葉に、サヤは凍り付いた。
「お土産はあります?」
「お、お土産?……お土産は……」
助けて。という視線が俺を見る。
街に出る時間など確保してなかったのでそんなものは無い。しまった、全く考えてなかった……。
なので俺は、時間稼ぎに咳払いをひとつ。土産になりそうなもの……えーと……。
「あー……、近日中に、耳飾の受注が入る予定なんだけど……」
これは土産になるのかな……。
恐る恐るの問いかけだったのだけど、それによりルーシーは瞳を輝かせた。
「もう受注⁉︎ サヤさん流石です! だからロビンさんをお呼びだったんですね! ですって、ロビンさん!」
「ええええぇぇ、もう⁉︎ 嘘っ⁉︎ 貴族の方相手ってことですか⁉︎ おおおお俺には荷が重すぎます!」
なんで呼ばれたんだろうとばかりに、隅っこで小さくなっていたロビンだったが、それにより混乱に突入。
ルーシーとサヤが慌てて宥めに入る事態となった。
そんな混乱の中、最後にウーヴェが苦笑してやって来て、俺に「おかえりなさいませ」と、言葉をくれる。
「拠点村は、恙無く、順調に作業を進めております。孤児院と幼年院の建設を急ぐ件も承りました。こちらも職人の確保は目処がつき、昨日より現場に入りました」
「ありがとう。……ウーヴェも、元気そうで良かった。越冬から直ぐにプローホルで、顔を合わせられなかったから」
そう言うと、柔らかい笑みを浮かべて礼を述べるウーヴェ。
彼は越冬をメバックで過ごしていたのだけど、その間もこちらで職人の確保に尽力してくれていたのだ。そして、俺たちのプローホル出発とすれ違う形で拠点村に戻った。
「ルカやシェルトは? 皆息災だったかな」
「ルカは元気以外ありませんから大丈夫ですよ。
本日から数日留守にすることはシェルトに伝え、現場も預けてまいりましたから、拠点村は大丈夫です」
そう言って、書類の束を俺に手渡してくるウーヴェ。
「越冬中に確保できた職人の名簿です」
「…………思っていたより随分と……多いな」
「越冬明けに急激に増えましてね。商業広場で作り溜めた商品の売買を開始しましたから。
一番の売れ筋は洗濯板ですね。もう在庫が尽きかけてます。
髪飾りも売り子に着用を義務付けたら、飛ぶように売れだしました」
「えぇ? まだ街開きして間もないのに……朗報しか無いと怖くなるんだけど……。問題の方は?」
そう問うと、苦笑と共にこんな返事が返ってきた。
「手続きの人手が足りないことくらいでしょうか」
……ウーヴェひとりでは手が回らないってこと? それは、相当だな……。
「それで、勝手をするのもどうかと思ったのですが……ひとり助手を雇いました。……宜しかったでしょうか?」
「ウーヴェが店主なんだから、そこは俺の采配を仰ぐ必要無いって!
ウーヴェの目は信頼しているよ。だから必要と思う人手はこちらの指示など求めなくて良い。
あ、それでな、近々装飾品の職人の確保が必要なんだけど……」
「書簡にあった耳飾の件ですね。もう話は通してあります」
打てば響く……。
これ……俺のここでしなきゃならないこと、終わってしまってないか?
言葉が続かずにいると、俺が報告を待っていると思ったのか、ウーヴェが確保した職人について話を始め、それを見咎めたハインが奥でやってくれと俺たちを応接室に促す。
いや、びっくりした……。俺たちだけでやることに慣れすぎていて、誰かが勧めてくれているということがこんなにも凄いことだとは……。
「……ありがとう、ウーヴェ。なんか凄く、ホッとしたよ……」
そう言うと、とんでもありませんと、またウーヴェは優しい笑みを浮かべた。…………うーん?
「とはいえ貴族対応に強い職人というのが、メバックにはあまおりません……。
なので、バート商会の手を借りる方向で検討しておりまして」
「あ、うん。それを俺からもお願いしようと思ってたんだ。ギルには話を通してあるから。
それで、仲介にアギーの方が挟まる形になるから……」
なんとなくウーヴェの様子が違う気がしたのだけど、それ以上の変化を見つけることは叶わず……俺たちはそのまま今後の打ち合わせを済ませた。
今日よりウーヴェもメバックだが、宿は別に確保してあるとのこと。
「明日、雇い入れた助手を伴いまして、また参ります」
「うん、頼む。……拠点村からわざわざ呼ぶの?」
「いえ、メバックにおります。こちらで受付窓口をひとつ設けまして。まずは予約を取っていただき、後日まとめて面会という方法に切り替えたので」
助手はその窓口にて待機してもらっているのだという。
それはつまり、こちらから必死で説得に回らずとも、職人の確保ができるようになってきつつあるということで、俺たちにとっては、ひとつの壁を越えたということでもあった。
「ウーヴェの尽力のお陰だな……。本当、貴方がいてくれて良かった」
「まだまだです。まだメバックだけですから。これからセイバーン中に手を広げ、他領や、国へと育てていかなければなりません」
「そうだな……引き続き頼む」
「誠心誠意、努めさせていただきます」
そんな風にして今後の予定を話しているうちに、やっと気持ちが落ち着いたらしいロビンと、サヤにくっついてルーシーがやって来て、新たに確保した職人への指導を行いつつ、耳飾を製作していくことになると説明。
当然、襟飾と対で作ることが肝要で、全て違う意匠でとなる。
するとルーシーが、貴族方への対応は私が承りますよと言いだし、装飾師の職務だとやる気を見せた。
「慣れれば職人の方と直接のやり取りを行う方が良いのかもしれませんけど……初めて手がける装飾品ならば尚のこと、間に私が入るべきですわ。
少なくとも私は、サヤさんの装飾品に関わった実績がありますし、その工程も目にしてきてますもの。お任せくださいな」
そう言うから、お願いすることにする。
ルーシーにとってもこれは、良い経験だと思ったし、バート商会本店の後継という立場が、彼女の武器になると考えたからだ。
当然それはルーシーも承知していよう。
「……なんか急に大事業みたいだな……」
ついそう呟いたら、ルーシーとロビンには呆れられてしまった。
「なにをおっしゃいますの? 元から相当な大事業ですわ!」
「土嚢壁から装飾品まで……相当手広くやってますよね……大事業ですよ、どう考えても……」
ウーヴェとサヤが顔を見合わせてそれに苦笑し、ハインの呆れた溜息に俺は頭を掻く。
そっか、元から大事業か……。思い至ってなかったよ……。
10
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】
皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」
「っ――――!!」
「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」
クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。
******
・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。
おばさんは、ひっそり暮らしたい
蝋梅
恋愛
30歳村山直子は、いわゆる勝手に落ちてきた異世界人だった。
たまに物が落ちてくるが人は珍しいものの、牢屋行きにもならず基礎知識を教えてもらい居場所が分かるように、また定期的に国に報告する以外は自由と言われた。
さて、生きるには働かなければならない。
「仕方がない、ご飯屋にするか」
栄養士にはなったものの向いてないと思いながら働いていた私は、また生活のために今日もご飯を作る。
「地味にそこそこ人が入ればいいのに困るなぁ」
意欲が低い直子は、今日もまたテンション低く呟いた。
騎士サイド追加しました。2023/05/23
番外編を不定期ですが始めました。
娼館で元夫と再会しました
無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。
しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。
連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。
「シーク様…」
どうして貴方がここに?
元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!
幼馴染の許嫁
山見月あいまゆ
恋愛
私にとって世界一かっこいい男の子は、同い年で幼馴染の高校1年、朝霧 連(あさぎり れん)だ。
彼は、私の許嫁だ。
___あの日までは
その日、私は連に私の手作りのお弁当を届けに行く時だった
連を見つけたとき、連は私が知らない女の子と一緒だった
連はモテるからいつも、周りに女の子がいるのは慣れいてたがもやもやした気持ちになった
女の子は、薄い緑色の髪、ピンク色の瞳、ピンクのフリルのついたワンピース
誰が見ても、愛らしいと思う子だった。
それに比べて、自分は濃い藍色の髪に、水色の瞳、目には大きな黒色の眼鏡
どうみても、女の子よりも女子力が低そうな黄土色の入ったお洋服
どちらが可愛いかなんて100人中100人が女の子のほうが、かわいいというだろう
「こっちを見ている人がいるよ、知り合い?」
可愛い声で連に私のことを聞いているのが聞こえる
「ああ、あれが例の許嫁、氷瀬 美鈴(こおりせ みすず)だ。」
例のってことは、前から私のことを話していたのか。
それだけでも、ショックだった。
その時、連はよしっと覚悟を決めた顔をした
「美鈴、許嫁をやめてくれないか。」
頭を殴られた感覚だった。
いや、それ以上だったかもしれない。
「結婚や恋愛は、好きな子としたいんだ。」
受け入れたくない。
けど、これが連の本心なんだ。
受け入れるしかない
一つだけ、わかったことがある
私は、連に
「許嫁、やめますっ」
選ばれなかったんだ…
八つ当たりの感覚で連に向かって、そして女の子に向かって言った。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる