妖怪ダンジョン運営記

メグミ

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4話

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「それでは第1回、異世界探索を開始したいと思います!」
「俺からしたら2回目だけどね。」
戦力が整ったところで俺たちはさっそく外の探索に出ることになった。
がしゃ髑髏が実際にどの程度戦えるのかは謎だが、本人(?)が任せてくれと言っているのだからそれを信じるしかない。
「じゃあ、開けるからね?まだ近くにクマがいるかもしれないからそのつもりで。」
俺は閂を外してできるだけ音を立てないようにゆっくりと扉を開けて外の様子を確認する。
周囲にクマの姿は....見当たらない。
あるのはクマの食べ残しと思しき狼の死体だけだ。
「とりあえずは大丈夫みたい。」
由利は俺の言葉に反応してひょっこりと顔を出す。
「確かに大丈夫そうですね。」
そしてまともに確認をすることもなく外に出ていった。
ちょっと危機感が無さすぎやしないか?
がしゃ髑髏も由利の様子を見て溜息を吐くような動作をしている。
骸骨なのに器用なことで。
「異世界と言う割には動物の見た目は普通なんですね。もっと奇抜な見た目の奴を想像してました。」
由利は全く臆することもなくオオカミだったものを近くに落ちていた枝でいじりながらそんなことを言ってのける。
俺はオオカミの死体なんて気持ち悪くてできるだけ近づきたくないけどな。
やはり人間と妖怪では感覚が違うのだろうか?
そんなことを考えていると、がしゃ髑髏がポンと俺の肩を叩いてノートを見せてきた。
『あの死体、私が貰ってもいい?』
「いいけど...何に使うつもり?」
『吸収する。』
吸収?
食べるということだろうか?
食べたところで下からそのまま出てくるのでは?
そんな疑問はがしゃ髑髏の行動によってすぐに解消された。
がしゃ髑髏がオオカミの死体に近づいて手をかざすと死体から「ズズッ」と言った感じで骨だけが出てきた。
そしてそれをボリボリと食べ始める。
不思議なことに食べた骨のかけらが下から出てくることはない。
「がしゃ髑髏と言う妖怪は死んだ生物の骨をああやって吸収するんですよ。」
いつの間にか死体から離れて俺の隣に来ていた由利が説明してくれた。
がしゃ髑髏は今のように死んだ生物の骨を吸収することで力を蓄える妖怪らしい。
特に他者に対して恨みを残して死んだ生物の骨は力が増す度合いが大きいとのこと。
「地球にいたころは樹海で自殺する人間の物を吸収していたとか。最近は自殺者が減って吸収できないとかぼやいてましたね。」
「そうなんだ。」
確かに減っているとは聞いたことがあるけど、そこまでだったかな?
まあ、本人がそう言っていたのだからそうなのだろう。
『何の話をしてた?』
「がしゃ髑髏の説明をしてたんですよ。拓斗さんは妖怪に関してあまり詳しくないみたいなので。」
由利はわざとらしく溜息をついて見せる。
妖怪の生態とか普通の人は知らないよ。
....知らないよな?
閑話休題それはさておき
由利やがしゃ髑髏を召喚している間に結構な時間が経っていたようで、最初に外に出た時には高い位置にあった太陽が沈み始めている。
やっぱり時間が分からないのは不便だな。
探索が終わったら時計も追加で用意しよう。
「日が暮れ始めてるみたいだから今日のところは近場の探索だけにしよう。」
「はーい。じゃあ、こっちの方向から探索しましょう!」
由利はそう言って俺たちと相談することなく勝手に進んでいく。
咄嗟に引き留めようと手を伸ばすが、それをがしゃ髑髏が遮る。
『好きにさせたほうが良い。きっと悪いことにはならないから。』
がしゃ髑髏はそう言って由利の後を追いかけて行った。
由利は自由に動き回るし、がしゃ髑髏は俺じゃなくて由利を優先する。
手引きを書いた人言いたい。
これのどこが忠実だよ!
「何やってるんですか?早く来ないと置いて行っちゃいますよ~。」
「今行くよ。」
俺は慌てて由利とがしゃ髑髏の後を追った。
「とりあえずの目標は川を見つけることでいいですよね?」
「ついでに食べられそうな物を見つけられると最高だね。」
「了解です!....なんて言っている間に、あっちから川の気配が!」
「そんなに都合のいい展開があるわけ.....」
一応、由利が指した方向に注意を向けると、遠くの方から水の流れる音が聞こえてきた。
「マジで?」
「さっそく行ってみましょう!」
戸惑う俺をよそに由利は音が聞こえてくる方向へ進んでいく。
『行こう。』
「う、うん。」
がしゃ髑髏と木々を避けながら進んでいくこと数分ほど。
今まで歩いていた場所とは打って変わって開けた場所に出た。
目の前には1~2メートル程度の丁度良いぐらいの大きさの河が流れている。
「いい感じの川ですね~。見てください!魚も泳いでますよ!」
由利は川を覗き込んで嬉しそうにはしゃいでいる。
「ソウデスネ。」
川と一緒に食べ物候補まで見つかるとか....。
どれだけ運が良いんだよ。
『由利は座敷童だからこれぐらい当たり前。』
そういえば座敷童って幸運を運んでくる妖怪だっけ?
いや、にしてもやりすぎだろ!
早くても1~2時間はかかる予定だった探索が10分程度で終わってしまった。
『目的の物が見つかったけど、この後はどうするつもり?』
「こんなに早く見つかるとは思ってなかったから何も考えてないね。」
『なら今日のところはゆっくりすればいい。上手く行くからって焦って行動したらいつか取り返しのつかない失敗をする。』
がしゃ髑髏が言っていることにも一理ある。
色々とありすぎて数日くらい経過した感覚だったけど、実際はこの世界に来てからまだ一日しか経っていない。
その日の内に水と食料の確保ができただけでも十分な成果だ。
「忠告ありがとう。がしゃ髑髏のいう通りにしておくよ。」
がしゃ髑髏は俺の言葉を聞いて満足そうに頷いた。
ゆっくりすると決まったらとことん楽しんでやろう。
手始めに川遊びだ。
俺は由利にこっそり近づく。
由利は俺に全く気付くことなく川を覗き込んでいる。
その油断が命取りだ。
「由利~」
「なんですk」
由利が振り向くと同時に川から掬った水を由利に掛けた。
「やりましたね!お返しです!」
由利は即座に水を掬って反撃してくる。
甘い!
そんな程度の攻撃なら奇襲でもされない限り当たらないのだよ!
「うわっ!」
ゆっくりと飛んでくる水を余裕を持って避けようとしたところ石に躓いてその場で転んでしまう。
そして狙いすましたように由利が飛ばしてきた水が顔面に直撃した。
「ふふふ。運を司る妖怪である私と敵対するからこうなるのですよ。まだ続けるなら今以上の不運が降りかかることになりますが...どうします?」
自分に幸運が降りかかるだけじゃなくて相手に不幸を押しつけることまでできるのかよ。
なんて卑怯な妖怪なんだ。
しかし、此処で負けを認めるのはなんか嫌だ。
「運なんて不確かなものより実力が重要だってことを教えてやるよ!」
「そうですか....いいでしょう!受けて立ちます!」
こうして俺たちは時間を忘れて水遊びに興じることになるのであった。
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