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デート?
しおりを挟む「姐御……いえ、お嬢様。それは紛れもなく『デート』っす」
「っす」
「うす……涙」
舞踏会の日、専属護衛は会場内への付き添いを禁じられていたため、外で馬車と共にヴァレンティーナの帰りを待っていた護衛トリオは、愛するお嬢様が男性にエスコートされて戻ってくるのを見て呆然とした。
男に寄り添うヴァレンティーナは頬を染めて幸せそうに笑っていたのだ。
顔が怖い三人組は、その生まれつきの威圧感を遠慮なく発揮して威嚇しようとしたが、顔が良すぎる男に鋭く見つめられて怯んだ。
その一瞬の隙をついたレオは慣れた手つきでヴァレンティーナを馬車に乗せ、最後に「手紙を書くよ」と言葉を残して甘く微笑んだあとに扉を閉め、護衛トリオに向き合った。
「レオ・アダムと申します。デクスター侯爵宛にヴァレンティーナ嬢と共に外出することを許可いただけるよう手紙を認めますので、よろしくお願いいたします」
そう言って頭を下げた。
完璧な対応だった。
その日に護衛トリオは悟った。「やっとヴァレンティーナお嬢様にも白馬に乗った王子様がやって来たのだ」と。
只者ではないオーラを感じたし、ヴァレンティーナを悪女として貶めている様子は微塵もなかった。
むしろ優しく丁寧に、まるで恋人をエスコートしているかのように大切に触れているように見受けられた。
ヴァレンティーナも満更ではない様子だった。これは良縁に違いない。
護衛トリオはレオ・アダムなる人物を応援することにした。大切なお嬢様の幸せを願って――。
レオからの手紙はそのあとすぐに父親の元へと届けられ、レオの願いは聞き入れられた。
ヴァレンティーナの父は「おもしろい男に見染められたなぁ。さすが私の可愛いヴァレンティーナだな」なんて親バカ発言をしていた。ひとりごとだったが。
そして、その旨を護衛トリオがヴァレンティーナへと伝えていたわけだがーー。
「デ、デートですの!? ただの会話の練習では? レオ様はそうおっしゃっていましたわ……」
護衛トリオが大事に守り育てて来たので、ヴァレンティーナは驚くほど純粋で初心だ。
ヴァレンティーナの父親から許可は出ているから素性も問題ないだろうし、あの舞踏会の日の誠実な様子を鑑みるに安心して大丈夫だろうと判断を下した。
ただ、大切なあまり過保護になっていたかもしれないことは否定できない護衛トリオは、最後のその責任を果たそうとしていた。
「いいえ、お嬢様。言葉には『本音と建前』というものがあるとお教えしましたよね?」
「ええ。習ったわ。舞踏会の日もそれで助かっちゃったもの」
「それはよかったです。では、それを恋愛にも当てはめてください」
「恋愛? うーん、よくわからないわ……」
「大丈夫。レオ様が教えてくれます。ただ、『駆け引き』という名の『本音と建前』が存在しますので、しっかりと本音を見極めてくださいね」
「駆け引き……」
「そう。今日はレオ様が『会話の練習』にかこつけて『デートの約束』を取り付けたという構図です」
「ええ……」
「お嬢様、がんばって……」
「待って。私、婚約者がいる身なのに、他の男性とデートだなんて……常識的にありえなくないかしら?」
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