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王太子と決意
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「エリーナ・カートレット男爵令嬢が聖女に認定された」
衝撃的なニュースが学園中を駆け巡ったのは卒業間近の雪がちらつく季節だった。
その頃には、イーサン王太子殿下がエリーナ・カートレット男爵令嬢と付き合っていることは誰も口にはしないが周知の事実で、その事実に嫉妬した王太子の婚約者のアナベル・ハワード侯爵令嬢がエリーナをいじめているという噂も学園中に広まっていた。
恋人のエリーナが頻繁に傷を作っているのを心配し、見かねたイーサンは幾度となく婚約者のアナベルに苦言を呈したが、アナベルは知らぬ存ぜぬを通した。
彼女本人には本当に身に覚えがないので当然なのだが、すっかりエリーナに攻略されているイーサンはそんなアナベルの面の皮の厚さに辟易としており、可愛い恋人を嫉妬心からいじめる婚約者を敵視し始めていた。
それでも、アナベルは聖女であるエリーナであっても敵わない程に王の妃として相応しい能力を持った人材であった。エリーナを聖女として王妃に据えるにしても、実務はアナベルに任せるのが現実的であった。
国にとって必要だからと涙を呑んで耐えていたが、そんな彼の堪忍袋の緒が切れるできごとが起こった。
エリーナが階段から突き落とされたのである。
打撲程度の怪我で済んでイーサンは心底ほっとしたが、下手したら命をも落としていたかもしれないと思うとぞっとした。
エリーナを突き落とした犯人はエリーナ本人が目撃していたことと、第三者の目撃証言もあったのですぐに判明した。アナベルであった。
賢明なアナベルがそんなことをするなんてと思ったが、これまでも散々エリーナを陰でいじめていたではないか、と思い直す。嫉妬に目が眩んだか。
それほどまでに思ってもらえて悪い気はしないが、嫉妬程度で人の命を奪おうとする程の大事件を起こしてしまう人間は、もはや側妃にも相応しいとは言えない。
イーサンはついにアナベルとの婚約を破棄し、多少、いや大分アナベルの実務能力には劣るが、アナベルを許してやってほしいと懇願する心優しい聖女一人だけを王の妃として据えることに決めた。
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それでも、アナベルは聖女であるエリーナであっても敵わない程に王の妃として相応しい能力を持った人材であった。エリーナを聖女として王妃に据えるにしても、実務はアナベルに任せるのが現実的であった。
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