前世がロリ美少女妖精だったから前世の姿を取り戻して魔物相手に戦う! 妖精聖姫の魔物退治の旅

和美 一

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第6話:妖精の聖剣

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 現れた華美な細剣は美少女妖精となったレイが振るうのに適してるかのような美しさを秘めた剣だった。
 その柄を握ってみて、まるで十年二十年と慣れ親しんだ剣のような感覚を抱いたレイは少し困惑する。

 その細剣を見て、フレミアが声を上げる。

「そ、それは! 妖精の聖剣!」

 妖精の聖剣? これはそういう名前なのか。
 なるほど。妖精のためにある剣という訳か。
 レイは妖精の聖剣を振るい、ドラギースに斬り掛かる。

 ドラギースは長剣でその一撃を受け止めた。
 だが、そこで止まらない。
 レイは連続して妖精の聖剣で斬り付け、ドラギースを攻撃する。

 ドラギースは舌打ちしつつ、それらの攻撃を全て受け止める。
 戦況は不利から五分に戻った感じか。レイは思う。

 そうしているとドラギースは後ろに飛び退き、お互いに距離があく。
 その隙にレイはフレミアに訊ねた。

「フレミア! 妖精の聖剣って?」
「レイ様が、リリィ様。妖精聖姫リリィ様が愛用していた剣です! そこいらの名剣では比べ物にならないほどの力を秘めた剣です!」

 それほどの剣なのか。
 レイは自分の右手に握られた華美な細剣を見つめる。
 確かに、この剣からは力を感じる。
 華奢な美少女妖精の体になったレイが振るってもドラギースと打ち合えているのがその証拠だ。

 そう思っているとドラギースが再びレイに攻撃を仕掛けてきた。

「死にやがれ!」

 その長剣の斬撃をレイは妖精の聖剣で受け止める。
 これが俺が前世で使っていた剣ならば手に馴染むのも当然か。
 自分が妖精の前世を持っていたことには未だ自覚が湧かない身ではあるが。

 ドラギースの長剣の攻撃を弾き返し、返す刃で斬り付ける。
 ドラギースもさすがに魔将だけあり、そう簡単にはやられてくれないが、妖精の聖剣で連続攻撃を叩き込む。

 ドラギースは次第に足が後ろに下がっていく。
 このまま一気に斬り込む。
 そう思い妖精の聖剣で斬り掛かる。

「この妖精風情が!」

 するとドラギースが口を開いた。そこから火炎が吹き出て思わずレイは妖精の聖剣を盾にする。
 するとどういうことだろう。
 妖精の聖剣からは風のようなものが吹き出て、それがレイの体に纏い、炎を寄せ付けない。

 ドラギースは仰天した様子だったが、驚いたのはレイも同じだった。
 さすがは妖精の聖剣。
 こんな力も秘めているのか。
 感心し、再び妖精の聖剣を振るいドラギースに斬り掛かる。

 一合、二合と斬り合って、ドラギースが後ろに飛び退いた隙に手をかざし、光線を放つ。
 それはドラギースの不意を打ち、ドラギースの体に光線が突き刺さる。

「ぐ……この小娘が!」

 いきり立ったドラギースは再び接近。
 長剣を振るう。と、そこに火炎弾が命中した。

「効果は薄くても、全くダメージがない訳じゃないでしょう!」

 フレミアの魔法だ。
 そちらにドラギースが気を取られた隙を狙い、レイは妖精の聖剣をドラギースの腹に突き立てる。

「が、ぐ、は……!」

 妖精の聖剣はドラギースの腹を貫き、鮮血がしたたる。
 そのままドラギースは倒れ込み、レイは後ろに飛び退く。

 倒したのか……慎重に様子を伺うと、ドラギースが息も絶え絶えといった様子で喋り出した。

「妖精の聖剣……それを、使える、ということは……貴様は妖精聖姫か……?」
「そうだ」
「ば、か、な……妖精聖姫は、死んだ、はず、だ……」
「死んだみたいだな。でも、人間として生まれ変わったんだ。それが俺さ」
「そ、んな、こと、が……」

 ついにドラギースは息絶えた様子だった。
 フレミアがレイのもとに駆け寄って来る。

「やりましたね、レイ様!」
「ああ、魔将を倒した! けど……」

 レイは倒れ込んだシリアを見る。
 長剣で斬られた傷が生々しい。
 そのそばに寄ってふと思い立ち、妖精の聖剣を掲げてみせる。

 すると、どういうことだろう。妖精の聖剣から発した光がシリアの傷を癒やし、シリアは意識を取り戻した。

「わ、私は……?」

 何が起こったのか、分からないといった様子のシリア。
 レイも今ひとつ分からなかったが、この聖剣には治癒の力もあることは明白だった。

「シリア! 大丈夫なのね!?」
「え、ええ、フレミア。なんとか……レイ様が助けてくれたんですね?」
「一応は……といってもこの剣のおかげだけど……」

 そう思っていると妖精の聖剣が消える。
 妖精の姿をしていたレイも光に包まれ、元の人間の姿に戻る。

 魔将ドラギース戦はなかなかの激戦だった。
 力を使い切ったのだろう。
 レイは息を吐く。

「とにかく魔将ドラギースは倒した。この地区の平和は取り戻したんだ」

 魔将は倒した。
 それは確固たる事実であった。
 レイの中にあった前世の力、妖精聖姫リリィの力がそれを成したのだ。

「やりましたね、レイ様」
「やったわね、レイ様」
「ああ」

 三人で喜びを分かち合う。
 そして、思った。
 これから先、どうするのか。

 とりあえずこの地区の魔将を倒すのを目的としていたが、それが成された今、レイの今後はどうすればいいのか。
 それを悩む。
 普通に考えれば村に戻り、元の生活に戻ることだろう。
 魔将が倒れた今、魔物の襲撃もないはずだ。
 だが。

「これからどうしよう、二人共」

 レイの中には妖精聖姫の力が宿っている。
 それなのにただの村人に戻るのはよくない気がした。

「私たちが強制できることではありませんが、レイ様には今後も妖精聖姫として、魔物たちと戦ってほしいと思います」
「あたしたちも勿論、協力します」
「そうだよな。やっぱり、そうなるよな」

 予感はしていたので驚きはしない。
 俺には力がある。
 魔将すら倒せるだけの力だ。
 それを無為に腐らせてはいけない。
 その思いはレイも同じだった。

「これからも魔物退治の旅を続けることに異論はないよ。でも、とりあえず村に戻らせてもらっていいかな? 旅に出ることも告げないといけないし」
「そうですね、レイ様」
「あたしはレイ様の村に行くのが初めてなんだけど、まぁ、同行します、レイ様」

 そうして、三人で来た道を引き返していく。
 今度は急ぐ必要もないので空は飛ばす徒歩で、だ。

 そもそもレイは妖精聖姫の力を使い切ってしまって、空を飛べない。

 歩きながら、本当に魔将を倒せてしまったな、と今更ながら思うレイであった。
 この身には本当に妖精聖姫リリィの力が宿っている。

 ならば、それを腐らせる訳にはいかない。
 今後の方針らしい方針も立っていない身であるが、この妖精聖姫の力を人々のために使っていくことができればいい、と思う。

 そんなことを考えながら村への帰路を歩くのであった。
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