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第22話:コスプレ作りに協力
しおりを挟む今日も今日とて俺とリリアは鎧姿で店の前に立つ。
俺たちの鎧姿で人目を引き、来客に繋げるのだ。相変わらずリリアはよく分からないという顔をしていたが立哨は騎士団でもよくあった役目だ。それに嫌ということはしない。
そう思っていると一台のジドウシャ……あれば確かりむじんとか言うヤツか……が店の前で止まった。
「アドニス殿、この世界に来てから不思議だったが、この鉄の箱は人を乗せる乗り物なのか?」
「ああ。俺もよく分かっていないけど少なくとも馬車よりは数倍速い」
「なんと。こんな鉄の箱が」
ジドウシャに関する談義をしていた俺たちに構わず、執事がウンテンセキから下りてコウブザセキの扉を開く。
中から現れたのは、
「こんにちはアドニス」
「アドニスさん、お久しぶりです」
イジューイン・ナギサとワカミヤ・ヒカルであった。
方や貴族の風格漂わせたお嬢様。かたや可憐な少女のように見える少年。
この二人と会うのはこの間のこすぷれ展以来だったので俺は再会の喜びを表す。
「アドニス殿、この二人は?」
「俺の知り合いさ。二人共こっちはリリア。俺のいとこだ」
「そうなの? 私は伊集院渚、よろしくね」
「若宮光です! よろしくお願いします!」
「ああ、よろしく」
平和的にリリアと挨拶を交わし、二人は店の中に入っていこうとした時、サナとルリとフェイフーが店の中から姿を見せた。ルリとフェイフーはナギサとヒカルより先に遊びに来ていたのだ。
「久しぶり、二人共」
「お久しぶりです」
「おっひさ~」
三人も挨拶し、これから中でこすぷれ談義とかで盛り上がるのだろう、と俺は思ったが、意外にも皆の目は俺とリリアを向いた。
「アドニス、リリアさん。客寄せは今はいいから一緒に来てくれる?」
「俺は構わんが……」
「分かった」
首肯するが、俺たちなんか呼んで何の用があるというのだろう。
こすぷれに関しては素人だぞ、俺は。
そう思いつつ店の中、サナの家の中に上がり、着替えようかとも思ったが、その鎧姿でいいと言われたので鎧姿でサナの部屋に入る。
「さてさて、それじゃあ、アドニスとリリアさんの鎧をもとに完璧なコスプレ鎧作っちゃおう企画を開催したいと思います!」
サナはいきなりそんなことを言った。俺とリリアの鎧をもとに完璧なこすぷれ鎧を作る?
「どういう意図だ」
「言ったでしょ。完璧なコスプレ鎧を作るって。それをみんなして着て騎士団大行進! ってやつね」
「……ってやつね、じゃない」
何を言い出すのか、サナは。リリアも困惑している。
「そのこすぷれというのが何かは分からんが、ようは私たちの鎧を複製しようということか?」
「ありていに言えばそうなるわね」
「それはいかん。この騎士鎧はスナイバル王国騎士にだけ与えられる鎧だ。それを複製などと……」
リリアも渋る。俺としては鎧の提供くらいは構わないのだが、何だか面倒なことになりそうだとの直感から芳しい反応を返すことができなかった。
「だめなのアドニス? リリア?」
ナギサが俺たちに問うて来る。小柄な背丈のナギサにそう問われると断りづらいものがあるな。
小さい子をいじめているみたいで。
「お願いします、アドニスさん、リリアさん」
「ボクたち鎧を立派に着こなしてみせますから」
ルリとヒカルにもそう言われる。
「頼むわアドニス」
「お姉さんの顔を立てて、ここは引き受けて頂戴」
総掛かりでかかられて俺は折れた。「分かったよ」と言う。「アドニス殿!」とリリアが俺を見るが、前言撤回はしない。
「リリア、サナの言葉じゃないが、ここは俺たちの世界とは違う異世界だ。それにこすぷれってヤツは何も本物の複製じゃない。俺たちの鎧も参考にさせるぐらいはいいだろう」
「アドニス殿がそう言うのなら……」
リリアも認めてくれたようだ。喜色満面に一同の顔が輝く。
「それじゃあ、早速始めましょう。二人共、鎧を脱いで」
「着るのも脱ぐのも手間なんだけどな」
俺の皮肉を聞こえなかったフリでやり過ごすサナ。
仕方がない、という目をリリアと見交わし俺たちは武装を解いていく。さて、どんなこすぷれが出来上がることやら。
さぞレベルの高いものなんだろうな。わざわざ俺たちの本物の鎧を参考にして作るこすぷれだ。
「凄い……本当に鋼鉄製なんだ……」
「お、重たくて、持てません……!」
ナギサが驚きを表し、俺たちが脱いだ鎧に手をかけたヒカルが悲鳴を上げる。
「どれも精巧なデザインね」
「そりゃ、本物だからな」
「そうだったわね、アドニス」
サナが鎧の各部位をチェックしていく。さて、ここからこすぷれ作り作業の始まりという訳か。
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