『こすぷれ』とは一体、何なのだ? 異世界から現代日本に転移した騎士、鎧姿のためコスプレ屋の看板男になる

和美 一

文字の大きさ
24 / 47

第24話:恋バナ

しおりを挟む

 翌日の仕事は休みだった。
 俺とリリアはこすぷれしょっぷイスルギの中で私服姿でいた。
 そんな時、遊びに来たルリがリリアの姿を見て目を見開く。

「わあ、リリアさん、その服、すっごく良く似合ってますね。綺麗です」
「そ、そうか? アドニス殿が選んでくれたんだが、似合っているなら幸いだ」
「アドニスさんが選んだんですか? センスありますねぇ」

 俺の美的センスはどうやらそう捨てたもんじゃないようだ。ルリはリリアの私服姿を絶賛する。サナもやって来た。

「アドニスとリリアさんだけで買い物に行くって最初に聞いた時はどんなとんでもないものを買ってくるのかと思ったけど、思ったよりはまともね」
「棘のある言い方だな」
「異世界人にこの世界の普通の服を選ぶなんてできるとは思えないでしょう?」

 確かにその通りであった。
 俺が選んだ服はたまたまセンスが良いと言われる服でリリアにもよく似合っているようだったが、計算して選んだ訳ではない。
 直感的に似合っていると思う服を選んだだけだ。それこそとんでもない服を選ぶ可能性も高かった。
 結果的にリリアに似合う服を選べただけでそれは結果論に過ぎない。

 今後、サナやルリと一緒に服の買い物に行っても彼女らを満足させる服選びができるなどとは思わない方がいいだろう。
 俺の世界では平民は貧乏で、簡素な服しか着られず、服に拘るのは金持ちか貴族のみであったのだが、この世界は誰もが服を選ぶという贅沢をすることができる。
 素晴らしい世界だ。リリアが恥ずかしそうに言う。

「アドニス殿、私に似合う服を選んでくれて……ありがとう」
「……いや、当然のことさ」

 頬を微かに赤らめて言われるとこっちまで緊張してしまう。
 相手はいとこだ。何を考えている。リリアの態度にサナが食い付いた。

「ふぅん、リリアさんはアドニスのことが好きなんだ」
「なっ!?」
「えっ!?」

 爆弾発言にリリアと俺は揃って驚愕の声を上げる。
 リリアが俺のことが好き? そんな馬鹿な。
 いや、そりゃあ、嫌われてはないだろうけど。
 好きとか。男女関係の好きとか。あり得ないだろう。
 俺はそう思ったがリリアは恥ずかしそうに身をよじる。
 なんだその態度。まるで本当に俺に気があるような……いいやあり得ない。

「そんな訳ないだろう。サナは時々、突拍子もないことを言うな」
「なーんだ、違うんだ、残念」
「わ、私はアドニス殿にそのような感情は、な。いとこで騎士仲間として悪くは思ってはいないが」

 リリアは慌てた様子でそう言う。そう。俺たちの関係はそんなもんだ。断じて好きとかそういうことはない。

「だってさ。良かったね、瑠璃」
「な、なんで私にふるの、佐奈?」

 するとサナはルリに目配せをする。その意図が分からず俺が呆然としていると、サナはさらなる爆弾発言を繰り出す。

「アドニスのこと落とす上でのライバルが減って」
「ぶっ!」
「わ、私はそんな……! アドニスさんを好きとか、そんなんじゃないよ!」

 サナの言葉に俺は噴き出し、ルリは慌てて弁明する。
 だからサナはさっきから何を言っているのだ。この家に集まる女の子が俺のことを好きだなんてそんな訳ないだろうに。

「え~違うの~? 瑠璃はアドニスのこと好きだと思っていたけどなぁ」
「ち、違うよー! そりゃあ、嫌いじゃないけど……好きって、男女関係の好きだよね? そんなことはないよ」

 好意を否定され少し傷付くが当然の答えだ。ルリが俺に気があるとかあり得ないだろう。

「アドニス殿」
「なんだ、リリア?」
「アドニス殿はルリが好きなのか?」

 またもや爆弾発言。噴き出しそうになるのを堪え、俺は呆れた様子で答える。何故かルリが頬を赤らめていた。

「そういう感情は抱いていない。勿論、嫌いじゃないけれどな」
「そうなのか。ルリを見る目に熱が籠もっていたように見えたが」
「気のせいだ。まぁ、ルリは小柄だから守ってやらないとっていう気持ちにはなるけど」

 それ以上の感情はない。ないのだが、俺の言葉を聞いてルリが頬を赤くする。サナもはしゃぎたてた。

「聞いた、瑠璃? 守ってやらないと、ですって! 本物の騎士様に守ってもらいたいと思われるなんて凄いわね~」
「や、やめてよ佐奈! アドニスさんも誤解を呼ぶ言葉はよしてください!」
「お、おう……」

 予想外のルリの困惑っぷりに何が悪かったんだろうと思いつつ俺は頷く。本心を言っただけなのだが。

「そう言う佐奈こそどうなの! アドニスさんに気があるんじゃないの!?」
「え!? 私!?」

 ここでルリからの反撃。サナにそう言いつけ、鋭い目でサナを見る。

「わ、私は別にそんなことは……」
「ないの?」
「い、いや、そりゃあ、嫌いじゃあないけど……」

 まさか自分に矛先が向くとは思っていなかったのであろう。サナが露骨に慌てる。
 どうやら女性陣による恋愛話はまだ続きそうだ。女性が恋愛の話が好きなのも俺の世界とこの世界でも変わりはない、か。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

異世界転移から始まるハーレム生活〜チートスキルを貰った俺は、妹と共に無双する〜

昼寝部
ファンタジー
 2XXX年、X月。  俺、水瀬アキトは戦争の絶えない地球で『戦場の悪魔』と呼ばれ、数多の戦で活躍していた。  そんな日々を過ごしていた俺は、ひょんなことから妹と一緒に異世界へ転移することになった。  その世界にはダンジョンが存在しており、ライトノベルなどで登場する世界観と類似していた。  俺たちはその世界で過ごすため女神様からチートスキルを貰い、冒険者となって異世界での生活を満喫することにした。  これは主人公の水瀬アキトと妹のカナデが異世界へ転移し、美少女たちに囲まれながら異世界で無双するお話し。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

距離を置きたい女子たちを助けてしまった結果、正体バレして迫られる

歩く魚
恋愛
 かつて、命を懸けて誰かを助けた日があった。  だがその記憶は、頭を打った衝撃とともに、綺麗さっぱり失われていた。  それは気にしてない。俺は深入りする気はない。  人間は好きだ。けれど、近づきすぎると嫌いになる。  だがそんな俺に、思いもよらぬ刺客が現れる。  ――あの日、俺が助けたのは、できれば関わりたくなかった――距離を置きたい女子たちだったらしい。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました

雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。 気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。 剣も魔法も使えないユウにできるのは、 子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。 ……のはずが、なぜか料理や家事といった 日常のことだけが、やたらとうまくいく。 無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。 個性豊かな子供たちに囲まれて、 ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。 やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、 孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。 戦わない、争わない。 ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。 ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、 やさしい異世界孤児院ファンタジー。

【完結】スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

異世界では地味な俺が、なぜか神々に最愛されて無双してる件

fuwamofu
ファンタジー
平凡な高校生・桐生ユウは、女神の手違いで異世界に転生した。 チートもスキルも貰えず、冒険者登録すらままならない落ちこぼれ……のはずだった。 しかし周囲の異常な好感度、意味不明な強運、そして隠された神格スキルによって、ユウは「無自覚に全能」な存在へと覚醒していく。 気づけば女神も姫騎士も魔王娘も彼に夢中。誤解と崇拝が加速する中、ユウの“地味な日常”は世界を揺るがす伝説になっていく。 笑いあり、胸キュンあり、ざまぁありの最強(なのに本人だけ気づいてない)異世界ファンタジー開幕!

処理中です...