『こすぷれ』とは一体、何なのだ? 異世界から現代日本に転移した騎士、鎧姿のためコスプレ屋の看板男になる

和美 一

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第27話:誰が一番?

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「誰が一番綺麗かって……」

 困惑の声を返す。
 目の間の少女たち(含むリリア)は皆、鎧を見事に着こなしていて甲乙つけられない。
 その中で最も綺麗な人を選ぶなんて無理だ。俺が呆然としているとリリアが庇うように口を開く。

「アドニス殿にそんなことを決めさせるのは酷だろう」
「あら、リリア。いとこだからって自分だけは特別なつもり?」
「そんなつもりはない!」

 が、サナがリリアを挑発し、リリアはそれに乗る。スルーしてくれよ。

「光もこっち来なさい。あんたも含めて六人の中で誰が一番綺麗か選んでもらうわ」
「は、はい……」

 何故、男のヒカルまでそちら側に行くのだ。疑問を呈したかったが、ロクな答えが返って来ないのは分かっていたので無言で送り出す。それにしても一番綺麗か……。

「一番綺麗な人を選ぶのは俺にはできないよ」
「そうやって全員にいい顔しようってのね。八方美人」
「いや、そういう訳じゃ」

 率直な言葉を言ったつもりだったのだが、サナに一刀両断にされる。

「まぁまぁ、佐奈。仕方がないわ。この渚様があまりに綺麗すぎて他の子に遠慮しているだけなんだから」
「そんな訳ないでしょ!」

 ナギサが余裕たっぷりに言い放ち、サナがそれに噛み付く。そういう訳でもないが。

「一番綺麗な人を選ぶのはできないけど、一番鎧が似合っている人なら選べるかも……」

 それはそう妥協案を口にする。一番綺麗な人を選ぶだと後々、争いの種を残すかもしれないが、一番鎧が似合っている人ならそれもないかもしれない。そう思っての言葉だった。

「じゃあ、それでいいわ。誰が一番鎧が似合っているか。決めて頂戴」

 サナからの賛同も得られた。とりあえず一番鎧が似合っているのは……。
 サナは、鎧を着こなしているな。背も高いので鎧の質量感にも負けていない。
 ルリは少し服に着られている感じがある。本人の背が低いせいだろう。鎧が浮いて見える。
 フェイフーは背が女性陣の中では最も高いので鎧を上手く着こなしているが、本人の雰囲気と噛み合わない所がある。
 陽気そうな顔に重厚な鎧はミスマッチだ。
 ナギサはやはりルリ同様、背が低めなので鎧に着られている感がある。
 とはいえ、持ち前の優雅さでそれをカバーしている。
 ヒカルは背丈はルリやナギサより上なので充分なのだが、鎧の雰囲気が温和な性格に致命的に似合っていない。
 リリアはいつも着ているだけあって、完璧に鎧を着こなしている。これに文句の付けようはない。……よし、決めた。

「最優秀賞リリア、準優勝サナ、特別賞ナギサ、だ」
「なんで三つも賞があるのよ」
「そう思ったからだ。やっぱり鎧を着こなしているのはリリアが一番だが、サナもなかなか鎧を着こなしているし、ナギサは持ち前の優雅さで独特の気品を放っている」
「そ、そう……?」
「ふ、私なら当然ですね」

 サナの戸惑った声にナギサの自信たっぷりな声。そしてリリアは、

「そ、そうか、私が一番似合っているか。ありがとうアドニス殿」
「いや、思ったことを言ったまでだ」
「ぶーぶー、私たちは似合ってないっていうのアドニス君」

 フェイフーやルリから文句を付けられるが比べてみれば似合ってないとしか言いようがない。あくまで比べてみれば。

「リリアやサナと比較すればってだけの話だよ。選ばれなかったみんなもよく似合っていると思う」
「やっぱり八方美人ですね……」

 ルリはさりげにきついことを言う。おとなしい性格なのに。

「ともかく! この面子で町中を行進すれば注目は充分集められると思う! その思いに偽りはないよ」

 そう。それだけは確実に思ったことだった。
 鎧姿の七人で町中を歩けば否応なしに注目を受けるだろう。
 ねっとのにゅーすとやらにもなるかもしれない。それができるだけの完成度の鎧のこすぷれであった。

「誤魔化した」

 そう言いつつ準優勝に選ばれて満更でもない様子のサナ。
 ヒカルは始めから選ばれても選ばれなくてもどちらでも良い、というかむしろ選ばれたら困惑する、という立場だ。

「それじゃあ、早速、町に出るの?」

 ナギサが問い掛けてくる。俺としてはそれでも良いと思うが……。

「待って、旗を用意しないと、目立つように旗を持って行軍するの」
「誰が持つんだ?」
「決まってるでしょ?」

 サナが俺に視線を向ける。そうだよな、そうですよね。
 この中で一番腕力に優れているのは俺なんだから俺が持つので当然か。

「どんな旗なんだ? こすぷれしょっぷイスルギ、とか書いてあるのか?」
「それは流石にダサすぎ。イスルギ騎士団って書いてあるわ」
「それも結構だと思いますけど……」

 再びルリからの的確にしてえぐい指摘。おとなしい性格なのに言うことは言うようだ。
 ともあれ後は旗さえ用意すれば準備は整う。俺はこの面子と町中を練り歩くのを想像してワクワクする自分に気付いていた。
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