『こすぷれ』とは一体、何なのだ? 異世界から現代日本に転移した騎士、鎧姿のためコスプレ屋の看板男になる

和美 一

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第33話:みんなのドレス姿

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 パーティー会場は始まったばかりでまだ人もまばらだ。
 その中で俺とヒカルはスーツを纏い、ドレス姿のサナとルリと向かい合っていた。

「佐奈さんも瑠璃さんもすっごくよく似合ってますよ!」

 ヒカルは感激した様子でサナとルリのドレス姿を褒め立てる。それを聞いてサナもルリも悪い気はしないようであった。

「ふふ、私ならこれくらい当然ね」

 最初は弱気だったサナがそんなことを言って強気に前に踏み出す。
 うん。サナはこれくらい強気じゃないとな。縮こまっているサナなんていつものイメージとは違いすぎる。

「馬子にも衣裳だと思うんですが似合っているならよかったです」

 いまだ謙虚にルリは言う。そう言う彼女もドレス姿がよく似合っていることに俺は異論を全く唱える気はない。

「ホントに二人共見違えたよな。ドレス、よく似合っているぞ」

 何度目かの称賛を俺は捧げ、二人のドレス姿を見る。
 うん。本格的なドレスを着るのが初めてとは思えない程、二人共よく似合っている。
 肩口をむき出しにしているものの、胸の部分は完全に布地で覆われてそのままスカートまでつながる。
 露出度はそう高くないが二の腕が色気をほのかに醸し出す。
 このくらいが二人には丁度いいのかもしれない。そう思っているとフェイフーとリリアがやって来た。無論二人共ドレスだ。

「おお……!」

 思わず声が出る。フェイフーは胸の上半分をむき出しにして前から見るとV字状に開いた露出度の高いドレス姿。
 一方でリリアは肩口こそむき出しなもののサナたちと同じような露出度は低めのドレスだ。

「こら!」
「痛っ」

 フェイフーを見ているとサナに引っ叩かれた。なんだ?

「何故、叩く」
「フェイフーの胸に視線が釘付けだったわよ。このスケベ」
「そんな訳では……」

 あったかもしれないが。フェイフーはニヤリと笑ってこちらを向く。

「ふふ、いくらでも見ていいのよ、アドニス」
「い、いや、いいよ。フェイフーもリリアもそのドレスよく似合っている。とても綺麗だ」
「ありがとうアドニス殿」

 感想を述べるとリリアが慇懃に頭を下げる。フェイフーは褒められて当然といった顔だ。

「八方美人……さっきは私と瑠璃を褒めてたのに」

 そんな呟きをサナが漏らす。ハッポウビジンとやらがどういう意味かは分からないが悪い意味なのは分かった。
 二人も似合っているんだから似合っているとしか言いようがないだろうに。

 そうしていると満を持してかナギサがやって来る。ドレス姿を油断なく着こなし、肩口を出し、胸を隠した布地を吊り上げる肩紐だけのドレス。
 露出度もそこそこ高い。これもまたよく似合っている。

「う、さすがに伊集院家のお嬢様には負けるわね」

 サナが敗北宣言を出す。それくらいナギサのドレス姿はよく似合っていた。

「皆さん、よく似合っていますわ。ドレスを貸し出した甲斐もあるというものです」
「そういうナギサもよく似合っているな」
「ありがとう、アドニス。ふふ、私に見とれていましたか?」

 また答えにくいことを訊く。サナとルリがこちらを白眼視しているではないか。

「ドレス姿の披露も終わったことですし、お食事といきましょう。シェフたちが腕によりをかけた料理を準備していますわ」

 そう言い、ナギサはテーブルに盛り付けられた料理を示す。
 立食形式のパーティーか。これは俺のいた世界でもあったし、参加もしたことがある。
 こうなれば色気より食い気。俺はたっぷり豪華な料理を食べるつもりでテーブルに向かおうとするが、

「ちょっとアドニス。ちゃんと私たちをエスコートしなさいよね」

 サナにそう言われ、サナとルリ、そして、リリアを連れて食事をすることになった。

「すまないな、アドニス殿」
「まぁ、リリアは俺のいとこだし、面倒見るくらいはしないとな」
「私にはこんなドレスは不似合いだと思うが、皆に合わせねばな」

 リリアはそんなことを言う。確かに普段は鎧姿で身を固めた女だてらに武人であるが、ドレス姿が似合っていないなんてことはなかった。

「そんなことはないさ。リリアにもよく似合っている」
「そうか……?」

 リリアは疑問そうにそう言う、そこにサナが割り込んだ。

「こら。私たちを放置してリリアさんとイチャつくんじゃないの」
「別にイチャついてはないだろう」

 全くもって不服なことだった。

「なぁ、リリア?」

 俺は同じ思いを抱いたであろういとこに声をかけたのだが、

「ん、あ、ああ……」

 どうにも歯切れの悪いリリアの返事にイチャついていたのか? ……の思いに囚われざるを得なかった。
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