『こすぷれ』とは一体、何なのだ? 異世界から現代日本に転移した騎士、鎧姿のためコスプレ屋の看板男になる

和美 一

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第42話:ひーろーしょー、再び

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 ソガ殿の要請でひーろーしょーとやらに再び出ることになった。
 俺の元にやって来たソガ殿はリリアを目にとめると「これはいい!」と歓喜の声を発した。

「なんだ、貴様は?」

 怪訝そうにリリアはソガ殿を見る。俺に仕事を紹介してくれる人だよ、とリリアに説明する。
 それにしても何がいいのだろうか。疑問に思いつつ、ソガ殿の反応を伺う。

「トーベ君、彼女は?」
「ああ。俺のいとこでリリア・ユーベルという」
「そうかユーベル君、良ければ君にもヒーローショーのヒーロー役で参加してはくれないかね? 少女騎士が参加するとあっては注目も得られるだろう」

 どうやらソガ殿はリリアにもひーろーしょーに出てもらいたいようだ。リリアは困惑した顔を返す。

「ひーろしょー、とは何だ?」
「ああ。子供向けの演技でさ。悪役の怪人たちを俺たちがやっつけるんだ」
「怪人だと!? そのようなものがいるのか……」
「いや、怪人のふりをしたただの人間だよ。この世界に魔物の類はいないって言ったろ」

 リリアはよく分かっていないようだった。仕方がない。俺も正直、よく分かっていないのだから。

「報酬は弾むよ。是非ともユーベル君もヒーローショーに出てほしいな」
「ふむ。金になる、のか」
「勿論」

 問いかけにソガ殿は笑顔で頷く。リリアとてサナの家で世話になっている以上、金稼ぎはしないといけないと思っている身だ。
 ここでひーろーしょーとやらに出るのは悪くないだろう。
 大した苦労もせずに結構な金額を貰えることは以前の出演で証明済みだ。

「その鎧姿なら文句ないよ。ユーベル君も子供たちのヒーロー、いやヒロインになってくれ」

 ソガ殿はさらに畳みかける。この申し出にリリアは受ける気持ちになっているようだった。

「子供たちを喜ばせるというのなら不満はない。私もアドニス殿同様、そのひーろーしょーとやらに出よう」
「ありがたい!」
「まぁ、楽な仕事だよ。気楽に行け、リリア」

 他人事のように俺は言うが、俺も出演する身だ。二人分ならそれなりの金は稼げるだろう。
 その後、そのことをサナに話すと「いいんじゃない」の反応が返ってきた。

「アドニスの鎧姿もサマになっているけど、リリアさんの鎧姿も戦乙女って感じで見る人に強烈な印象を与えるし。ヒーローショーに出るのは悪くないと思うわ」
「そうか? 私の鎧姿などそんなにいいものでもないとは思うがな」
「いや、リリアの鎧姿はサマになっている。元の世界にいた時から思っていたことだ」

 困惑した様子のリリアに俺とサナは声をかける。
 リリアがひーろーしょーとやらに出て悪役の怪人たちをやっつけるのなら子供たちの関心を引き、大いに盛り上がらせることも可能だろう。
 俺一人で出るより遥かに。それを思えば観客の子供たちのためにもリリアには是非ともひーろーしょーとやらに出てほしい所であった。

「ふむ。それならやぶさかではない、か」

 リリアも納得してくれたようだった。
 これで俺とリリアの二人はひーろしょーとやらに出ることが決まった。
 会場は今度はユウエンチとやらの舞台で。
 そこで行われるようであった。迎えに来てくれたソガ殿のジドウシャに乗り、ユウエンチとやらに着く。
 見慣れないユウエンチの光景に困惑しつつ、会場に行く。
 リリアも「ここは何なのだ?」と首を傾げていた。
 実際、どういう所か分からないが子供が集まるのは分かる。
 ひーろーしょーの会場としては申し分のない所だろう。
 ユウエンチという所がどういう場所なのか。後でサナに訊いておこうと思いつつも。

「うわっ! 魔物!」

 ひーろーしょーの控え室に入り、怪人の着ぐるみを見て、リリアが声を上げた。「リリア、よく見ろ」と俺はそんなリリアに言う。

「これは作り物だ。この中に人が入って、悪役の演技をやるんだ」
「な、なるほど……なかなか精巧に作られているな……」

 リリアは驚いているようだった。こすぷれもそうだが、この世界はこの世界にないものを作り出すことに長ける文化を持っているようだ。
 とりあえずソガ殿から一通りの打ち合わせを聞く。最初は俺だけが出るが、俺がピンチになった所にリリアが駆けつける、というストーリーのようだ。それをこなすべく、模造刀を貰う。

「真剣ではないのか」
「それじゃジュートーホー違反だし、怪人役の人に怪我させちまうだろ」
「それもそうだな」

 模造刀を振り回し、リリアは言う。この模造刀で悪役を倒すのだ。
 不慣れな様子のリリアに大丈夫かな、と危惧しつつも、俺も最初は不慣れだったかと思い直し、とりあえずひーろーしょーに挑むことにする。
 チラッと舞台袖から観客席を覗くとそこは子供たちでいっぱいだ。
 これだけの子供たちが見てくれるなら演じ甲斐もあるというものだ。
 俺は気合いを入れ直し、今回のひーろしょーを完全にこなすことを決意するのだった。
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