万能のアイテム屋さん あらゆる魔物・状況に対するチート級武器防具アイテムが揃う店

和美 一

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第2話:竜落としの弓

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 万能のアイテム屋がある。
 赤髪の店主の店にはどんな魔物に対抗する武器も防具もアイテムも揃っていて、金さえ出せば、どんな魔物にも対抗できる。

 その噂をアテに、一人の狩人が赤髪の店主の店を訪れた。
 店はコーラル王国の王都の外れ。やや森に踏み入った所にある。

 狩人シュートが店を訪れると赤髪を肩まで垂らした店主が出迎えてくれた。

「いらっしゃい」

 赤髪の店主は口にする。シュートは少しの戸惑いを覚えつつも要件を口にした。

「ワイバーンを撃ち落とせる武器はないか?」

 シュートは弓の名手であった。弓矢を武器に魔物を狩る。
 それが狩人シュートの日常であった。しかし、弓矢も通じない敵はいる。

 その代表例がワイバーンである。空を駆ける亜竜は矢を弾く龍鱗を持っており、シュートの放つ弓矢では撃ち落とすことはかなわない。

 かといって山まで登って魔物を狩る都合上、ワイバーンとの遭遇は不可避のものである。

 シュートにはワイバーンに対抗しなければならない理由があった。
 それを聞いた赤髪の店主は店の奥に入り、一つの弓を持って帰って来た。

 一見すると何の変哲もないただの弓にしか見えないが、その弓には呪術の紋様が複雑に書き込まれており、それを見ればただの弓、と思うことはシュートにはできなかった。

「この弓は魔術で放たれる矢を強化する弓だ。ワイバーン相手にも効果はあるさ」
「そうか。それはありがたいな」

 ワイバーンをも射落とせる弓があるのなら弓を武器に戦うシュートとしても申し分はない。

 シュートは店主に値段を訊ねた。

「金貨2枚と銀貨10枚って所だな」

 高くもなければ安くもない。そんな値段であった。これくらいならそこまで金を持っている訳ではないシュートにも払うことができる。
 シュートは代金を取り出すと赤髪の店主に渡す。代わりに魔法の紋様が刻まれた弓を受け取る。

「名は『竜落としの弓』だ」
「『竜落としの弓』……」

 その名をオウム返しにする。その名に相応しいだけの力があるといいのだが。
 シュートは半信半疑気味にその弓を見て、店から外に出る。

 この弓でワイバーンを落とせるのだろうか。未だ信じられなかったが、赤髪の店主の店の評判は絶大である。
 どんな魔物にも対抗できるアイテムが揃っている店。そこで買ったのだからワイバーン相手も楽勝に決まっている。

 そう思い、シュートはいつものようにギルドで依頼を受け、山を登った。

 ワイバーンに遭遇する前の魔物たちとの戦いでも竜落としの弓を引き絞り矢を放つ。
 放たれた矢の勢いはこれまで使っていた普通の弓の比ではなく、弓に刻まれた魔術的な紋様が力を強めてくれているのだと思わされる。

 矢を放ち魔物たちを退け、山の上層に登ると耳障りな鳴き声と共にそれらは現れた。

 ワイバーンだ。

 空飛ぶ亜竜。竜の中では下位に位置する存在とはいえ、人間にとっては厄介極まりない魔物。
 シュートは舌打ちしつつも竜落としの弓に矢をつがえる。

「これでも喰らえ!」

 シュートは竜落としの弓を引き絞り、矢を放った。
 それはワイバーンの体に命中し、龍鱗を貫き、その体を撃ち落とした。

「お、落とせた……!?」

 自分がやったことながらシュートは驚いていた。
 あのワイバーンを、こうも簡単に。

 あれだけ苦戦させられた今まではなんだったのかという思いとワイバーンを楽に撃ち落とせた喜びが同時に体の中から湧き上がって来て、シュートはしばし呆然とするしかなかった。

 だが、呆然としている暇はない。現れたワイバーンは一匹だけではないのだ。
 残りのワイバーン相手にも矢をつがえ、竜落としの弓から矢を放っていく。
 弓に刻まれた魔術的な紋様により威力を強化された矢はワイバーンの龍鱗をも貫き、軽々、その躰を射落としてみせた。

 ワイバーンの大群相手なら普通は死をも覚悟する状況であるのだが、そんな危機感とは全く無縁にシュートはワイバーンたちを落とし続けた。

「竜落としの弓……凄い!」

 感嘆せざるを得ない。竜落としの弓は文字通り、ワイバーンの大群をも楽に撃ち落とすことができる代物であった。
 こんな武器を取り扱っている赤髪の店主の店はどういうものなのだ、と気になりはしたが、今は自分に得な買い物ができたことを喜ぼう。

 ワイバーンたちを全滅させ、短剣でその身を剥ぎ、肉をえぐり出す。
 ワイバーンの肉は人気で高く売れるのだ。
 ワイバーン自体の強さもあって中々手に入らない高級品であるのだが、これだけワイバーンの肉があればしばらく生活には困らないだろう。

 持参したバックパックに肉を積めるだけ詰めて、山を後にする。

 シュートは手に持つ弓、竜落としの弓の凄さを実感していた。

 ギルドに帰ると、こんなにワイバーンを倒せたんですか!? ……と驚愕された。
 無理もない。自分も竜落としの弓がなければあれだけのワイバーンを前にしては逃げ帰るしかなかったであろうから。

 シュートは酒場に行き、祝杯を上げながら店主や酒場の客たちに語る。赤髪の店主の店。そこに行けば望むものは手に入る、と。

 竜落としの弓があれば、これからワイバーンに怯える必要はない。この弓ならワイバーンとて楽勝で射落とせる。これからのことを考え、シュートは心が弾む思いであった。
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