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第22話:サンダー・アックス
しおりを挟む女冒険者メルシアはブロンズゴーレム相手に苦戦を強いられていた。
何分、こいつらは硬い。
メルシアが渾身の力を込めて斧の一撃を叩き込んでも、大したダメージにはならない。
そうやって斧の一撃を何撃も叩き込み、ようやく一体が倒れる。
しかし、ブロンズゴーレムは集団で現れるものだ。他にも大勢いる。
そんなブロンズゴーレム相手に今のメルシアの戦い方は非効率的だと自覚せざるを得なかった。
とはいえ、今、もっとも多い依頼がブロンズゴーレムの討伐だ。
コーラル王国冒険者ギルドに登録する冒険者である以上、メルシアもブロンズゴーレムとの戦いは避けては通れない。
斧をもう一撃叩き込み、ようやくブロンズゴーレムが沈黙する。
このままではよくないな、という思いを懐きつつもなんとかその場のブロンズゴーレムは全機・機能停止に追い込み、討伐を完了する。
冒険者ギルドに戻り、報酬を貰いつつも今のままブロンズゴーレムと戦うのはよくないという思いを禁じ得ず、どうしたものかと考える。
そこで思い出したことがあった。万能のアイテム屋がある。そこにはどんな武器も防具もアイテムも揃っていて、来客の注文に必ず応えてくれるという。
正直、眉唾であるが、この冒険者ギルド内でもその店で望みの品を手に入れたという者は多い。
行ってみるか。メルシアがその決断をするのに時間はかからなかった。
コーラル王国王都の少し外れ森に踏み入った所にあるというその店は噂通りの場所にあった。メルシアは扉を開けて中に入る。
「いらっしゃい」
するとメルシアを赤髪を肩まで垂らした店主が出迎えた。見た限り、年齢不詳。どことなく胡散臭い雰囲気の漂う店主であるが、メルシアは要件を話した。
「ブロンズゴーレムを一撃で倒せる斧はないか?」
「ほう。あんたもブロンズゴーレム対策かい」
「私以外にもブロンズゴーレム対策にこの店に来た者はいるようだな」
それは考えてみれば当然のことだ。
今、コーラル王国の冒険者ギルドで最も多い依頼はブロンズゴーレム討伐だ。
自分以外にもブロンズゴーレムに苦戦し、その打開策を求めてこの店に来た者は多いのだろう。
「ブロンズゴーレム対策なら一通り揃っている。ちょっと待ってくれ」
そう言い、店主は店の奥に消えていく。
帰って来た時には一本の斧を抱えていた。
見るからに強そうな斧であった。刃は鋭く、そこには魔術的なものだろうか? 紋様が刻まれている。
この斧はいい斧だ。その直感をメルシアは強く抱く。
「ふむ。なかなか良さげな斧だな」
「こいつはサンダー・アックスだ。雷の魔法を内蔵していて、斧の一撃に加えて雷を放つ。ブロンズゴーレム狩りにうってつけの代物だ」
「なるほど、雷の魔法か。それは助かる」
ブロンズゴーレムは機械仕掛けの魔物だ。
そこに雷を放てば効果は大きいだろう。メルシアは既にこの斧を買うことを決めていた。
「気に入った。店主、この斧はいくらだ?」
「金貨3枚に銀貨20枚といった所だな」
「分かった」
メルシアは代金を払い、サンダー・アックスを手にする。
柄を握るだけでその力が感じられる。この斧があればブロンズゴーレムとて敵ではないとの思いがこみ上げてくる。
「いい買い物をさせてもらった。それではさらばだ」
店主に背を向け、メルシアは店から出ていく。その背中を店主は見送った。
コーラル王国王都に戻ったメルシアは早速、ブロンズゴーレム討伐の依頼を受けることにした。
この新しい斧、サンダー・アックスの力を試す意味でもある。
メルシアは依頼を受けるとブロンズゴーレムの発生場所に出向く。
ブロンズゴーレムたちはメルシアを敵と認識すると臨戦態勢に入る。
「貴様らなどもう敵ではない。我が斧を受けるがいい」
地を蹴り、メルシアはブロンズゴーレムの一体に肉薄するとサンダー・アックスを叩き付けた。
刃がブロンズゴーレムに喰い込みそこから雷が放たれる。
雷の魔法を内包しているというのは本当だった。
機械仕掛けのブロンズゴーレムは雷の一撃を受けて、機能を停止させる。
ブロンズゴーレムを一撃で倒せた。自分がやったことながら信じられない思いにメルシアはかられる。
この斧なら行ける。ブロンズゴーレムとて敵ではない。
他のブロンズゴーレムにもサンダー・アックスを叩き付ける。
斧の一撃と雷の一撃でブロンズゴーレムは倒れていく。
こんなにあっさりブロンズゴーレムを倒せるなどこれまでになかったことだ。
「はああっ!」
最後のブロンズゴーレムにサンダー・アックスを叩き付ける。
雷の力を纏った斧の一撃でブロンズゴーレムは倒れ伏した。これにてブロンズゴーレムは全滅。依頼完了だ。
「この斧のおかげだな」
満足げにメルシアは言う。サンダー・アックス。いい武器だ。そう思うメルシアであった。
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