万能のアイテム屋さん あらゆる魔物・状況に対するチート級武器防具アイテムが揃う店

和美 一

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第35話:魔法のツルハシ

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 鉱山で働いている一人の男がいた。
 名はグレゴリー。父・祖父の代から代々、鉱夫として働いている身だ。
 生まれた時から決められた道の上を歩いている。
 そのことに反発した少年時代もあったが、今ではグレゴリーは鉱夫としての自分の職業に誇りを持って仕事をしている。
 ツルハシとスコップで鉱物を採掘する。その日々に不満はなかったが、もっと効率的に鉱物を採れないかとここ最近、思うようになっていた。
 今の鉱物の採取作業は少し非効率的ではないだろうか。
 そんな疑念を懐きつつも、日々の仕事をこなしていた。
 そんなグレゴリーに妻がとある話を持ってきた。コーラル王国の王都になんでもある店がある。そこにいけば今より効率的に仕事ができる代物が見つかるのではないか。
 妻はそう言った。眉唾ものの話であり、グレゴリーは最初は信じていなかった。
 当たり前だ。鉱山から離れた王都に何故、鉱物採りに役立つ物が置いているというのか。そう言って笑った。
 しかし、行ってみる価値はあるかもしれないとも思い出した。
 鉱物の採掘作業はまだ改善の余地があるという思いは否めず、それならその店とやらに行ってみようではないか。
 グレゴリーはそう思い、休日に王都に向かって歩いていた。
 王都の少し外れ、森に踏み入った所にその店はあるという。
 噂通りの場所にその店はあった。扉を開けて中に入る。

「いらっしゃい」

 店主がグレゴリーを出迎えてくれた。赤髪を肩まで垂らした年齢不詳の男だ。グレゴリーは「ここはなんでもあるんだってな」と言った。

「なんでも、って訳じゃないが、まぁ、大概の物は置いてあるよ」
「そうか。それならツルハシをくれないか? 今のツルハシは普通のツルハシなんだが、鉱物を採取するにはもっといいツルハシを使った方がいい気がしてな」
「なるほど。あんたは鉱夫さんかい」
「そういうことだ」

 グレゴリーは自分の職業に誇りを持っていた。それだけに堂々と答える。それを聞いた店主はふむ、と呟く。

「それなら丁度いいものがある。ちょっと待っていてくれ」

 そう言って店主は店の奥に消えていく。帰って来た時には一本のツルハシを持っていた。

「それはただのツルハシか?」
「いや、魔術的な処置を施してあるツルハシだ。普通のツルハシを振るうよりも何倍ものパワーを出して採掘することができる」
「ほう。それはありがたいな」

 よくよく見ればツルハシの随所には魔術的な紋様が刻まれている。
 あれが自分の力をさらに高めてくれるのか。グレゴリーはこれなら鉱物の採掘作業もはかどるかもしれないと思いだしていた。

「良さげな商品だな。よし、店主。これを貰おう。いくらだ?」
「金貨2枚に銀貨10枚といった所だね」
「分かった」

 そこまで高くはない。グレゴリーは代金を支払うとツルハシを受け取った。
 握ってみればこのツルハシに込められた魔術的な力を感じ取ることができる。
 グレゴリーは魔法使いでもなく、魔術の素養もなかったが、それでも分かるものはある。
 このツルハシに掛けられているという魔術。それは本物だ。
 満足して店を後にするグレゴリー。
 そうして、家に帰った後、妻に笑みを浮かべて告げる。

「いい買い物ができた」
「それはよかったよ、あんた。鉱物の採掘作業もはかどりそうかい?」
「ああ。これまで以上のペースでできると思うぞ。それだけの物を買ってきたからな」

 その日、グレゴリーは終始上機嫌で翌日の仕事日を迎え、新たなツルハシを手に鉱山内部に入る。
 ツルハシを振るい、鉱物を採る。魔法の力で増幅されたパワーがガツガツと鉱物を採掘する。
 このツルハシに間違いはなかった。そう思いながら、ツルハシを振るい、次々に採掘作業を進めていく。

「こいつはいい」

 満足気にグレゴリーは呟く。鉱夫仲間たちが近くに寄って来る。

「グレゴリーさん、調子いいみたいじゃないか」
「どうしたんですか?」
「いや、いいツルハシを買えたのでな。そのおかげだ」

 自慢気に呟き、ツルハシを振るい、採掘作業に戻る。
 ツルハシのおかげで力は何倍にも増幅され、それは鉱物を削り取っていく。
 この力ならば以前までの何倍ものペースで鉱物を採掘することが可能だ。そう思いながら、採掘作業を続ける。

「いい買い物をしたものだ」

 握ったツルハシから感じる魔力の波動を受けて、思わずグレゴリーは呟く。
 この魔法のツルハシがあれば採掘作業の効率は上がる。
 そうだ、魔法のスコップはないのだろうか? 同じように魔術的な処置が施されたスコップがあればさらに採掘作業の効率は上がる。

「まだ今度、あの店に行ってみるか」

 グレゴリーはそう思い、魔法のツルハシでの採掘作業を続けるのであった。
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