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第47話:ゲイルソード
しおりを挟む冒険者リバードは自分の剣に不満を覚えていた。
悪い剣ではないのだ。最近、増えた魔物の討伐依頼でも魔物の肌を斬ることはできる。
ただ、少し肌が硬かったり、強固な甲殻を備えた魔物相手では力不足と言わざるを得なかった。
空中を自在に飛び回る怪鳥型の魔物やワイバーンも悩みのタネだ。
それら相手に剣ではどうしても戦いづらい。そんなことが度々あった。
普通の剣以上の剣が欲しい。リバードがそう思うのも無理からぬことであろう。
それくらい最近の魔物の勢いは増していたし、単に数が多いだけではなく手強い魔物が出て来ることも増えた。
これらに対抗するためにいい剣が必要だ。
そう思ったリバードは噂の店を訪れていた。コーラル王国王都の外れ、森に踏み入った所にあるその店。
この店にはあらゆる武器防具アイテムが揃うという。
ならばリバードの求める強力な剣も見つかるかもしれない。そんな期待を抱いて、店に入る。
「いらっしゃい」
赤髪を肩まで垂らした店主がリバードを迎えてくれた。リバードは店の中に視線を走らせた後、店主に言う。
「剣が欲しい。できれば空を飛ぶ魔物をも楽に倒せるような剣だ」
「なるほどね」
「無茶を言っているのは承知の上だが、この店はどんな物も揃うと聞いた。該当する品物があるのなら売ってくれ」
「分かった。ちょっと待っててくれ」
店主はそう言うと店の奥に引っ込んでいく。しばらく経つと店主は帰って来た。鞘に収まった一本の剣を持っている。
「抜いてみな」
剣を渡されたリバードは店主に言われるまま鞘から剣を抜き放つ。
見るからに名剣と分かる剣の刀身がキラリと輝く。
その刀身には魔術の紋様が施されており、何か魔術的な効果があることを伺えた。
「これは……」
リバードが思わず訊ねる。店主は何てこともなさそうに言った。
「ゲイルソード。切れ味に風刃魔法の力を応用して、威力を増している。他にかざせば風刃魔法を発動することもできる。空飛ぶ怪鳥やワイバーンを撃ち落とすには適しているだろうよ」
「おお、そんな力が……」
その言葉が嘘だとはリバードには思えなかった。この剣、ゲイルソードには確かにその力がある。その思いを抱く。
「これを貰おう。いくらだ?」
「金貨3枚に銀貨15枚だね」
言われるがままリバードは代金を払う。代わりにゲイルソードを手にし、その刀身の輝きをもう一度見て、満足する。
「いい買い物をさせてもらった。それでは店主よ、さらばだ」
「毎度あり」
店主に背を向けて店を出る。
王都に戻った後、冒険者ギルドで依頼がないか確認する。
魔物討伐の依頼があった。怪鳥型の魔物も多く出るとのことでこのゲイルソードの試し斬りにはもってこいな依頼だ。
リバードはその依頼を受け、現地に赴く。
「さあ、新しい剣の試し斬りと行こう」
まずは陸上型の狼型魔物が襲い掛かって来た。
それらにゲイルソードを振るい、斬り掛かる。風刃の力を宿した剣は魔物たちをあっさりと斬り伏せ、一蹴する。
懲りずに狼型の魔物たちは向かってきたが、ゲイルソードの前で敵ではなかった。
「まずは上々」
ゲイルソードの切れ味に満足してリバードは頷く。そうしてると怪鳥型の魔物が多数襲来してきた。
リバードはゲイルソードをかざす。そこから風刃が放たれ、怪鳥たちに襲い掛かった。
怪鳥たちは風刃に切り刻まれ、撃ち落とされる。これもリバードの満足のいく結果であった。
「ゲイルソード、使えるな」
リバードはそう確信すると魔物たちに積極的に攻撃を仕掛けた陸上型の魔物は斬り伏せ、空中の魔物には剣から風刃を放ち攻撃する。
その戦法に敵はいなかった。あっという間に次々と倒れていく。
ゲイルソードに込められた風属性の魔法の威力は絶大なものがあった。
ただ斬るだけでも風刃が味方し、目標を一刀両断し、風の刃を放てば空飛ぶ魔物を撃ち落とす。
この剣に文句などあろうはずがなかった。
次々に魔物を斬り裂いて、倒していく。そうしていると最後にロック・リザードが姿を見せた。
ロック・リザードは強固な肌を持つ強敵だ。普通の剣では傷付けるのは難しいだろう。
だが、今、リバードが使っている剣は普通の剣ではない。
「締めくくりにはちょうどいい。ゲイルソードのサビとなれ!」
勇猛果敢にリバードはゲイルソードを構え、ロック・リザードに斬り掛かる。
風刃の力を帯びた剣はロック・リザードの強固な肌も構わず斬り裂き、ロック・リザードは絶叫を上げて倒れた。
ゲイルソード。やはり大したものだ。
「この剣があれば私に敵はいない!」
思わず大言壮語を言ってしまう。それほどまでにゲイルソードの威力は大したものだった。
依頼は完遂した。さて、報酬を貰いに行くとしよう。リバードはそう思い、王都に戻るのだった。
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