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第49話:身躱しの服 その2
しおりを挟む「どうしたの、イルウッド!? その服は!?」
王都に戻り冒険者ギルドに行ったイルウッドはオルガに驚愕されてしまった。
それも無理はない。今のイルウッドの服は下着か何かのようだからだ。
イルウッドは恥ずかしく思いつつも「これが例の店で買った服です」と弁明する。
「そ、そんな服が?」
オルガは仰天しているようであった。イルウッドは羞恥心を抑えて答える。
「身躱しの服って言うらしいです。こう見えて魔術的な加護があって、相手の攻撃を意識しなくても回避できるんです」
「そ、そうなの? まぁ、あの店で買った品物ならそれくらいはあってもおかしくないけど……それにしてもその露出度は……」
「言わないでください! 余計に恥ずかしいです……」
消え入りそうな声でイルウッドは言う。オルガもそれ以上、言うことはなかった。
「と、とにかく、私の疾風のダガーと同じような効果がその服にもあるってことね。分かったわ。一緒に依頼を受けましょう」
「はい! 先輩!」
オルガはとりあえず一緒に依頼を受けることにしてくれたようだ。
そう言って、依頼が張り出された板の前に行く。
「私も貴方も回避力には長けるけど、一撃の重さでは不足だわ。大型の魔物討伐じゃなくて、小型の魔物討伐の依頼を受けましょう」
「そうですね、先輩」
そうしてオルガが選んだのは狼型魔物の群れの討伐依頼だった。二人して依頼を受けて、現地に向かう。
「それじゃあ、この服がただのスケスケ服じゃないってことを見せてあげます!」
イルウッドはやる気満々だ。細剣を抜き、早くも敵に備える。
オルガも疾風のダガーを抜いた。このダガーがあれば体の速度が強化される。
そうしている二人の前に狼型の魔物が現れる。その集団にイルウッドは突っ込んで行った。
「イルウッド!?」
流石にオルガは驚き叫ぶが、イルウッドは狼型魔物の攻撃を全て回避し、返す刃で細剣で斬り付けて狼型魔物たちを倒していく。その動きは普通の動きではなかった。
「えへへ……どうですか、先輩。あたしは」
「その服、本当にただ露出度が高いだけじゃなかったのね……」
若干の驚きを懐きつつもオルガが言う。
正直、少し疑っていた所はあったのだが、先程、イルウッドが見せた動きは服の魔力がなければ説明が付かないものであった。
オルガも疾風のダガーを振るい、戦線に参加する。
疾風のダガーで増加したスピードで狼型魔物の攻撃を回避し、反撃で倒していく。
「わあ、先輩も凄いです!」
「このダガーのおかげよ。貴方もなかなかのものよ」
オルガが高速でダガーを振るい魔物を倒し、イルウッドも相手の攻撃を全て回避し、細剣で敵を倒す。
狼型の魔物たちは次々に倒れていき、代わりにゴリラ型の魔物が現れる。
「あれはちょっときついかしら?」
ダガーを構えつつ、オルガが言う。
オルガもイルウッドも絶対的なパワー不足だ。タフネスのある敵の相手は厳しい。
しかし、イルウッドはやる気満々のようであった。
「大丈夫です! 今のあたしと先輩ならいけます!」
そう言い、ゴリラ型の魔物に突っ込んでいく。
ゴリラ型の魔物の攻撃は身躱しの服の効果で回避し、その肌に細剣を挿し込む。
ゴリラ型魔物は苦悶の声を上げる。オルガも駆け出し、その魔物にダガーで斬り付ける。
ゴリラ型魔物はそれで倒れた。しかし、まだいる。
イルウッドは軽快に攻撃を回避しながら細剣を振るう。
オルガもスピードでは負けず疾風のダガーを振るってゴリラ型魔物に対抗する。
とんでもない服を着ているとイルウッドに対して思ったオルガだが、あの店で買った品物だけあってその効力は折紙付きのようだ。
今の所、全ての攻撃を回避し、傷一つ負っていない。
絶対的回避能力があると見ていいだろう。
オルガも疾風のダガーの効果でスピードは速くなっているが、あそこまで完璧に攻撃を回避することはできない。
そのあたりは流石と言った所か。そんなことを思いつつダガーでゴリラ型魔物の喉元を斬り裂く。
イルウッドも細剣を振るい、ゴリラ型魔物を斬り付ける。
回避力は充分でもパワーはやはり足りないようだ。
一撃でゴリラ型の魔物を倒すことはできず、反撃を受ける。それもまぁ、服の効果で回避してしまうのだが。
「せいっ!」
ダガーを振るい、オルガはゴリラ型魔物を斬り付ける。
それに連携してイルウッドも細剣を突き立て、ゴリラ型魔物を倒す。
二人がかりならパワーの不足も補える。オルガはイルウッドと連携して、ゴリラ型魔物に対抗していった。
そうしている内に敵の魔物は全滅し、オルガはイルウッドと共に帰路を歩く。
「そんな服着ているからどうしたものかと思ったけど……その服の能力は本物ね」
「そうですね、先輩。やっぱり恥ずかしいですけと……」
無理もない、とオルガは思う。
イルウッドの今の服は下着同然だ。いくら効果があっても割り切れない所はあるだろう。
そんなことを思いながら首都に戻る二人であった。
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