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第55話:炸裂爆槍 その2
しおりを挟む噂の赤髪の店主の店で炸裂爆槍を入手したエゼル、同じく噂の赤髪の店主の店で大地の大槌を手に入れたグラトン。
二人の冒険者は友人と言っていい仲であり、この武器を使って新たな魔物討伐の依頼を受けようという話になっていた。
魔王が復活したともその前兆とも噂される魔物の出現頻度の増加は冒険者ギルドに無数の魔物討伐の依頼となって押し寄せてきており、依頼がなくて困ることはない。
冒険者たちは依頼をこなし、報奨金を手に入れ、魔物に困っている人たちも魔物がいなくなって助かる。
正のサイクルが組まれている。ならば依頼を受けることに躊躇などしない。
危険な魔物の場合は冒険者の命が危険に晒されるという問題点はあるが、そこはエゼルもグラトンも簡単にはやられてやる気はなかった。
ロック・リザードが大量に湧き出たという依頼に二人は注目した。
ロック・リザードは硬質な肌を持つドラゴンの一種である。
普通の剣や槍では倒すのに難儀する。だが、今のエゼルとグラトンの獲物(ぶき)ならば充分に対抗可能だと思えた。
「この依頼を受けるか」
「そうだな」
二人はその意思で合意し、依頼を受ける。
ロック・リザードが現れたという荒野まで赴く。
戦いの準備は万全だ。この辺りの村々をロック・リザードの脅威から守るため、力を振るうことに文句はなかった。
そうしているとロック・リザードが現れる。エゼルは早速、攻撃を開始した。
「喰らえっ!」
炸裂爆槍を投擲する。炸裂爆槍は着弾点を中心に爆発を巻き起こし、ロック・リザードを攻撃した。
爆発を喰らったロック・リザードたちが苦悶のうめき声を上げる。
「ふん!」
グラトンが大地の大槌で地面を叩く。それで槌に込められていた地属性の魔法が発動し、地面が槍のように迫り上がり、爆発の煙漂う場所に地面が襲い掛かる。
爆発と地の槍。その両方を受けたロック・リザードたちはたまったものではなく、ほとんどが息絶えた。
息のあるものも重傷を負っている。
だが、これで終わりではない。奥から新たなロック・リザードが押し寄せてくる。
エゼルは手元に返って来た炸裂爆槍を持つと再び狙いを定めた。
「ドラゴンとはいえ、この程度のドラゴンなら所詮は脳無しか」
呆れつつ、集団でこちらに攻め寄せて来るロック・リザードを見据える。
高位のドラゴンは人間以上の英知を誇ると言うが、この程度のドラゴンでは所詮は獣。
纏まって炸裂爆槍のえじきになるだけだ。
エゼルは炸裂爆槍を投擲する。ロック・リザードたちの中心に突き刺さった槍は周囲に爆発を巻き起こし、ロック・リザードたちを吹き飛ばす。
「行くぞ!」
今度はグラトンは地属性の魔法攻撃ではなく、大槌を振るい、直接、打撃を浴びせるつもりのようだった。
グラトンの巨体が駆け、炸裂爆槍の爆発から生き残ったロック・リザードに大地の大槌を叩き付ける。
ベヒーモスも一撃でノックアウトする。そう赤髪の店主が豪語した大槌の一撃は並の威力ではない。
大地の大槌の一撃にロック・リザードは沈んだ。そのまま他のロック・リザードにも大槌を叩き付けて倒して行く。
「やるな、グラトン!」
思わずエゼルがそう言ってしまう。
友人の実力を疑っていた訳ではないが、重戦士として十二分の力を発揮してくれている。
言っている間にどこから湧いて出たのか、ゴブリンの群れまでこちらに襲い掛かって来た。
これは話に聞いてはなかったが、大方、ロック・リザードの腰巾着として暴れていたのだろう。
そう判断するとエゼルは炸裂爆槍を投げつける。ロック・リザードにも重傷を与える槍だ。ゴブリンごとき敵ではない。
ゴブリンたちの中に着弾した槍は爆発を巻き起こし、ゴブリンたちを吹き飛ばした。
その間、ロック・リザードはグラトンが大槌で叩き、抑えてくれる。
戻ってきた槍を構え、エゼルはグラトンに警告を発する。
「グラトン! 下がれ! そっちに投げる!」
「承知!」
後ろにグラトンが飛び退き、残るロック・リザードに向けて炸裂爆槍を投擲する。
爆発が再び巻き起こり、ロック・リザードたちを蹴散らす。
これで大体の敵は倒し終えた。一息つく。手元に戻ってきた炸裂爆槍を構え、警戒を解かず、周りを見渡す。
とりあえず、魔物の群れの討伐は終わったと見ていいだろう。目に付く所に魔物の影はない。
「やったな、エゼル」
「ああ、グラトン。これで依頼達成だ」
お互い拳を打ち合わせ、依頼の達成を祝う。これでしばらくはこの付近に新たな魔物が現れることはないだろう。
「それにしてもお前の大槌。大したものだな」
「お前の槍もな。これもあの店のおかげだ」
「全く。あの赤髪の店主は何者なんだろうな」
そう言って笑い合う。赤髪の店主への興味は引かれるが、彼がエゼルたちに力を貸してくれている以上、必要以上に腹の中を探ろうという気はない。
エゼルとグラトンは依頼を達成し、王都に戻るのであった。
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