62 / 80
第62話:魔眼返しの盾 その1
しおりを挟む魔王の復活の前兆か、それとも既に魔王は復活したのか、魔物たちの勢いは盛んになっていた。
様々な魔物が現れるようになり、冒険者やコーラル王国の騎士団は苦慮しながら対処に当たっていた。
そんな中で魔眼を持つ魔物の相手に冒険者たちは手こずっていた。
睨まれただけで体の動きが止まる。そうなれば魔物の攻撃をモロに喰らう羽目になる。
冒険者エドガーはそのことに悩み、どんな武器防具アイテムも揃うという噂の店を訪れた所だった。
コーラル王国王都の外れ、森に踏み入った所にその店はある。店の中に入ると、店主がエドガーを出迎えた。
「いらっしゃい」
赤髪を肩まで垂らした店主はエドガーを笑みを浮かべて迎える。エドガーは真剣な表情で店主に要件を告げた。
「ここ最近、厄介な魔物が増えている」
「ああ、そうらしいね」
「特に魔眼を使う魔物が厄介だ。魔眼を防ぐ防具はないか?」
エドガーの問いかけに店主は「少し待ってくれ」と言うと店の奥に引っ込んでいく。しばらくして一つの盾を持って店主は帰って来た。
「その盾は?」
「魔眼返しの盾、だ。こいつで魔眼を受け止めれば相手に反射することができる」
「それはいい」
エドガーは鎧兜に身を包み、大剣を振るう重戦士だったので盾を持つことも苦ではない。
早速、その盾を買うことにした。
「それをいただこう。いくらだ?」
「金貨2枚に銀貨30枚って所だね」
「分かった」
代金を払い、魔眼返しの盾を受け取る。
「毎度あり」
店主のその言葉を受けて、エドガーは店を後にする。
そうして、冒険者ギルドに行くとゴーゴン退治の依頼が来ていた。
ゴーゴンは強力な魔眼を持った魔物である。
誰もがその依頼を避ける中、エドガーは新たに手に入れた魔眼返しの盾を試すべく、その依頼を受けた。
ギルドの受付係に「ゴーゴンの魔眼は強力ですよ? 大丈夫ですか?」と確認されたが、今のエドガーには魔眼対策の防具がある。
問題はない、と答え、依頼を受けて、ゴーゴンの発生地に行くと、剣を抜き魔眼返しの盾を構える。
「いるな」
ゴーゴンたちがうようよといる。
魔眼返しの盾無しでは命も危うい依頼であったであろう。
だが、エドガーには魔眼返しの盾がある。早速ゴーゴンがエドガーを睨み付けてくる。しかし、エドガーは魔眼返しの盾を構えた。
ゴーゴンの石化の魔眼が跳ね返され、ゴーゴンの体が硬直する。
他のゴーゴンたちも魔眼を放ってきたが、それらは全て魔眼返しの盾に跳ね返され、自らが硬直した。
その隙にエドガーは剣を抜き、ゴーゴンたちを斬り裂いていく。
魔眼返しの盾の効力は絶大だった。新たに現れたゴーゴンたちが石化の魔眼を向けてくるも、それを魔眼返しの盾で跳ね返す。
自らの魔眼の力を浴びたゴーゴンは硬直し、そこをすかさずエドガーは剣で斬り裂いていく。
次々にゴーゴンを仕留め、魔眼返しの盾の力に満足する。
「この盾があればもう魔眼は恐くないな」
満足気にそう言い、エドガーは硬直したゴーゴンたちを斬り裂いていく。
魔眼を封じれたのであればゴーゴンは大した敵ではなかった。
逆に言うとこの盾がなければエドガーはこのゴーゴン退治で命を落としていたかもしれないのだが。
無数に湧いて出るゴーゴンが魔眼を向けてくるもそれらを全て魔眼返しの盾で跳ね返し、ゴーゴンたちを次々に斬り裂いていくエドガー。
そうして、ゴーゴンたちは全滅し、エドガー一人が残った。
「全てはこの盾のおかげだな」
魔眼返しの盾の力を実感し、満足する。
これならこれからも魔眼を使う魔物相手の依頼を受けられる。
そうすれば報酬で懐も潤うというものであった。魔眼返しの盾の代金などすぐに元が取れるであろう。
エドガーは上機嫌に王都への帰路を歩く。冒険者ギルドに行き、報酬を貰おうとした時、旧知の冒険者がいることに気付いた。
「レーンか。久しぶりだな」
それは赤髪の店主の店で守りの衣を買った冒険者レーンであった。重装備で固めたエドガーと違い、軽装で固め、身軽さをウリにしている。
「エドガーさん。お久しぶりです」
「どうした? 何か依頼を受けたいのか?」
「この依頼が気になっているんですが……」
そう言い、レーンは一つの依頼を示す。盗賊討伐の依頼だった。だが、盗賊団の中には魔眼使いがいるという。
「魔眼使いは強敵です。俺に依頼を果たせるかどうか……」
「それなら問題ない。魔眼には俺の盾で対処できる。一緒にこの依頼を受けよう」
「本当ですか? エドガーさん?」
「ああ、任せろ。例の店で買った魔眼返しの盾がある」
例の赤髪の店主の店。その店にはレーンも信頼を置いている。
そうして、共に盗賊討伐の依頼を受けることにした二人であった。
0
あなたにおすすめの小説
異世界転生したおっさんが普通に生きる
カジキカジキ
ファンタジー
第18回 ファンタジー小説大賞 読者投票93位
応援頂きありがとうございました!
異世界転生したおっさんが唯一のチートだけで生き抜く世界
主人公のゴウは異世界転生した元冒険者
引退して狩をして過ごしていたが、ある日、ギルドで雇った子どもに出会い思い出す。
知識チートで町の食と環境を改善します!! ユルくのんびり過ごしたいのに、何故にこんなに忙しい!?
転生したら最強種の竜人かよ~目立ちたくないので種族隠して学院へ通います~
ゆる弥
ファンタジー
強さをひた隠しにして学院の入学試験を受けるが、強すぎて隠し通せておらず、逆に目立ってしまう。
コイツは何かがおかしい。
本人は気が付かず隠しているが、周りは気付き始める。
目立ちたくないのに国の最高戦力に祭り上げられてしまう可哀想な男の話。
【完結】スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
転生貴族の領地経営〜現代日本の知識で異世界を豊かにする
初
ファンタジー
ローラシア王国の北のエルラント辺境伯家には天才的な少年、リーゼンしかしその少年は現代日本から転生してきた転生者だった。
リーゼンが洗礼をしたさい、圧倒的な量の加護やスキルが与えられた。その力を見込んだ父の辺境伯は12歳のリーゼンを辺境伯家の領地の北を治める代官とした。
これはそんなリーゼンが異世界の領地を経営し、豊かにしていく物語である。
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
【完結】異世界で魔道具チートでのんびり商売生活
シマセイ
ファンタジー
大学生・誠也は工事現場の穴に落ちて異世界へ。 物体に魔力を付与できるチートスキルを見つけ、 能力を隠しつつ魔道具を作って商業ギルドで商売開始。 のんびりスローライフを目指す毎日が幕を開ける!
ダンジョンを拾ったので、スキル〈ホームセンター〉で好き勝手リフォームします
ランド犬
ファンタジー
異世界に転移した佐々木悠人は、召喚でも勇者でもなかった。ただ迷い込んだ先で見つけたのは、王都を望む郊外にひっそりと口を開けるダンジョン。足を踏み入れた瞬間、発動したスキルは
――〈ホームセンター〉
壁を張り替え、部屋を増やし、畑や牧場、カフェまで作れる不可思議な力だった。
気ままに始めたリフォームは、もふもふなネコミミ獣人の少女との出会いをきっかけに、思わぬ変化を呼び始める。
拡張され続けるダンジョンの先で、悠人が作り上げる“住める迷宮”とは――?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる