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第75話:ボンバー・ボウ
しおりを挟む魔王討伐軍が組織されている。
それはコーラル王国冒険者の間で立っている噂であった。
コーラル王国王家が魔王討伐のために軍勢を編成している。さらには冒険者ギルドの凄腕の冒険者の手も借りて魔王討伐を果たそうとしている。
その噂はかなり信憑性が高いと冒険者たちの間では認識されていた。
さて、どの冒険者に声がかかるのか。冒険者たちは緊張して声がかかるのを待つ。
そんな中、弓使いのギルダーは自らの力に不満を覚えていた。
この弓で倒せる魔物などたかが知れている。これではここから先の魔王の軍勢との戦いについていけない恐れがある。
それは御免だった。同じ弓使いのシュートに相談すると、
「それなら噂の店に行くといい。必ずいい弓を売ってくれるはずだ」
竜落としの弓を買ったシュートは噂の店の商品の質を信じている。
それを聞きギルダーも噂の店に行くことにした。
コーラル王国王都の少し外れ、森に踏み入った所にある噂の店に入ると、赤髪を肩まで垂らした店主が出迎えてくれた。
「いらっしゃい」
少し胡散臭いな、とギルダーは思いつつも要件を告げる。
「強力な弓が欲しい。魔王の軍勢にも対抗できるだけの弓を」
「なるほど。魔王の軍勢は厄介だからねぇ。ちょっと待ってくれ」
そう言うと店主は店の奥に消える。帰って来た時には一つの弓を持っていた。
その弓には魔術的な紋様が書き込まれ、普通の弓ではないことを表している。
「これは?」
「ボンバー・ボウだ。これに矢をつがえて撃てば矢は目標に当たると同時に爆発する。爆裂魔法の力を宿した弓だ」
「それは凄い」
矢が爆裂魔法に変貌するとあっては心強いことこの上ない。ギルダーはこれを買うことを決めていた。
「いくらだ?」
「金貨3枚ってトコだね」
「分かった」
金貨を3枚取り出し、店主に渡す。代わりにボンバー・ボウを受け取り、その外観を見て満足する。
これなら強力な魔物相手の戦いも楽になるだろう。
「毎度あり」
店主の言葉を聞きながらギルダーは店を出る。
早速、ボンバー・ボウを試してみようと冒険者ギルドに戻るとシュートがいた。
「その顔だといい弓を買えたみたいだな」
ニヤリと笑ってシュートは言う。ギルダーも笑みを返した。
「ああ。最高の弓を買えたよ」
「おやおや、俺の竜落としの弓も自分では最高だと思っているんだがな」
「なら、勝負と行くか?」
挑戦的な目でギルダーはシュートを見る。
「それは構わんが具体的にどう勝負する?」
「魔物討伐の依頼で多くの魔物を討ち取った方の勝ちだ。悪くないだろう?」
「そうだな」
魔物討伐の依頼を二人で受けて勝負か。確かに悪くはない。
ギルダーとシュートは依頼を受けて、魔物のひしめく地に赴く。ここで魔物を多く仕留めた方の勝ちだ。
「それでは行くぞ」
ギルダーが弓の矢をつがえ、放つ。サベージ・ウルフに命中した矢は爆発し、その体を吹き飛ばした。
「おいおいそりゃあ、反則だろ」
シュートが感嘆の声を出す。そう言いつつもシュートも自らの竜落としの弓に矢をつがえ放つ。
サベージ・ウルフの脳天を一撃で撃ち抜き、絶命させる。大した手腕だ、とギルダーは認めざるを得ない。
だが、ギルダーも負けてはいない。ボンバー・ボウで炸裂弾と化した矢を放ち次々に魔物を倒していく。
シュートも竜落としの弓で強化された矢を放ち魔物たちを蹴散らす。
二人の弓使いは遠距離から魔物たちに攻撃を浴びせ、次々に仕留めていく。
魔物たちにとっても近づく前に打ち倒されてしまうのだからたまったものではなかった。
ギルダーもシュートも自分たちの得意レンジは把握している。遠距離から矢を浴びせ続け、魔物たちを倒していく。
程なくして魔物たちは全滅したが、戦いに夢中になるあまりお互いに勝負のことを忘れていた。
どちらが多く魔物を倒したかなどこの状況で分かるはずもない。
「まぁ、引き分けってことでいいか」
「そうだな」
ギルダーの言葉にシュートは頷く。とりあえずはお互いの強さを称え合い、冒険者ギルドに戻り報酬を受け取る。
「今の我々なら魔王の討伐軍に選ばれても活躍できるな」
自信満々にギルダーは言い放つ。大げさな、と思いつつもシュートも頷く。
「そうだな。魔王とて俺たちの弓の敵ではない」
自分たちが魔王討伐軍に選ばれるかは分からないのだが、そう言っておいて戦意を高める分には問題あるまい。二人の弓使いは魔王に立ち向かう決心をするのだった。
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