万能のアイテム屋さん あらゆる魔物・状況に対するチート級武器防具アイテムが揃う店

和美 一

文字の大きさ
75 / 80

第75話:ボンバー・ボウ

しおりを挟む

 魔王討伐軍が組織されている。
 それはコーラル王国冒険者の間で立っている噂であった。
 コーラル王国王家が魔王討伐のために軍勢を編成している。さらには冒険者ギルドの凄腕の冒険者の手も借りて魔王討伐を果たそうとしている。

 その噂はかなり信憑性が高いと冒険者たちの間では認識されていた。
 さて、どの冒険者に声がかかるのか。冒険者たちは緊張して声がかかるのを待つ。

 そんな中、弓使いのギルダーは自らの力に不満を覚えていた。
 この弓で倒せる魔物などたかが知れている。これではここから先の魔王の軍勢との戦いについていけない恐れがある。
 それは御免だった。同じ弓使いのシュートに相談すると、

「それなら噂の店に行くといい。必ずいい弓を売ってくれるはずだ」

 竜落としの弓を買ったシュートは噂の店の商品の質を信じている。
 それを聞きギルダーも噂の店に行くことにした。
 コーラル王国王都の少し外れ、森に踏み入った所にある噂の店に入ると、赤髪を肩まで垂らした店主が出迎えてくれた。

「いらっしゃい」

 少し胡散臭いな、とギルダーは思いつつも要件を告げる。

「強力な弓が欲しい。魔王の軍勢にも対抗できるだけの弓を」
「なるほど。魔王の軍勢は厄介だからねぇ。ちょっと待ってくれ」

 そう言うと店主は店の奥に消える。帰って来た時には一つの弓を持っていた。
 その弓には魔術的な紋様が書き込まれ、普通の弓ではないことを表している。

「これは?」
「ボンバー・ボウだ。これに矢をつがえて撃てば矢は目標に当たると同時に爆発する。爆裂魔法の力を宿した弓だ」
「それは凄い」

 矢が爆裂魔法に変貌するとあっては心強いことこの上ない。ギルダーはこれを買うことを決めていた。

「いくらだ?」
「金貨3枚ってトコだね」
「分かった」

 金貨を3枚取り出し、店主に渡す。代わりにボンバー・ボウを受け取り、その外観を見て満足する。
 これなら強力な魔物相手の戦いも楽になるだろう。

「毎度あり」

 店主の言葉を聞きながらギルダーは店を出る。
 早速、ボンバー・ボウを試してみようと冒険者ギルドに戻るとシュートがいた。

「その顔だといい弓を買えたみたいだな」

 ニヤリと笑ってシュートは言う。ギルダーも笑みを返した。

「ああ。最高の弓を買えたよ」
「おやおや、俺の竜落としの弓も自分では最高だと思っているんだがな」
「なら、勝負と行くか?」

 挑戦的な目でギルダーはシュートを見る。

「それは構わんが具体的にどう勝負する?」
「魔物討伐の依頼で多くの魔物を討ち取った方の勝ちだ。悪くないだろう?」
「そうだな」

 魔物討伐の依頼を二人で受けて勝負か。確かに悪くはない。
 ギルダーとシュートは依頼を受けて、魔物のひしめく地に赴く。ここで魔物を多く仕留めた方の勝ちだ。

「それでは行くぞ」

 ギルダーが弓の矢をつがえ、放つ。サベージ・ウルフに命中した矢は爆発し、その体を吹き飛ばした。

「おいおいそりゃあ、反則だろ」

 シュートが感嘆の声を出す。そう言いつつもシュートも自らの竜落としの弓に矢をつがえ放つ。
 サベージ・ウルフの脳天を一撃で撃ち抜き、絶命させる。大した手腕だ、とギルダーは認めざるを得ない。

 だが、ギルダーも負けてはいない。ボンバー・ボウで炸裂弾と化した矢を放ち次々に魔物を倒していく。
 シュートも竜落としの弓で強化された矢を放ち魔物たちを蹴散らす。
 二人の弓使いは遠距離から魔物たちに攻撃を浴びせ、次々に仕留めていく。

 魔物たちにとっても近づく前に打ち倒されてしまうのだからたまったものではなかった。
 ギルダーもシュートも自分たちの得意レンジは把握している。遠距離から矢を浴びせ続け、魔物たちを倒していく。

 程なくして魔物たちは全滅したが、戦いに夢中になるあまりお互いに勝負のことを忘れていた。
 どちらが多く魔物を倒したかなどこの状況で分かるはずもない。

「まぁ、引き分けってことでいいか」
「そうだな」

 ギルダーの言葉にシュートは頷く。とりあえずはお互いの強さを称え合い、冒険者ギルドに戻り報酬を受け取る。

「今の我々なら魔王の討伐軍に選ばれても活躍できるな」

 自信満々にギルダーは言い放つ。大げさな、と思いつつもシュートも頷く。

「そうだな。魔王とて俺たちの弓の敵ではない」

 自分たちが魔王討伐軍に選ばれるかは分からないのだが、そう言っておいて戦意を高める分には問題あるまい。二人の弓使いは魔王に立ち向かう決心をするのだった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

異世界転生したおっさんが普通に生きる

カジキカジキ
ファンタジー
 第18回 ファンタジー小説大賞 読者投票93位 応援頂きありがとうございました!  異世界転生したおっさんが唯一のチートだけで生き抜く世界  主人公のゴウは異世界転生した元冒険者  引退して狩をして過ごしていたが、ある日、ギルドで雇った子どもに出会い思い出す。  知識チートで町の食と環境を改善します!! ユルくのんびり過ごしたいのに、何故にこんなに忙しい!?

転生したら最強種の竜人かよ~目立ちたくないので種族隠して学院へ通います~

ゆる弥
ファンタジー
強さをひた隠しにして学院の入学試験を受けるが、強すぎて隠し通せておらず、逆に目立ってしまう。 コイツは何かがおかしい。 本人は気が付かず隠しているが、周りは気付き始める。 目立ちたくないのに国の最高戦力に祭り上げられてしまう可哀想な男の話。

転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。

克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります! 辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。

【完結】スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

転生貴族の領地経営〜現代日本の知識で異世界を豊かにする

ファンタジー
ローラシア王国の北のエルラント辺境伯家には天才的な少年、リーゼンしかしその少年は現代日本から転生してきた転生者だった。 リーゼンが洗礼をしたさい、圧倒的な量の加護やスキルが与えられた。その力を見込んだ父の辺境伯は12歳のリーゼンを辺境伯家の領地の北を治める代官とした。 これはそんなリーゼンが異世界の領地を経営し、豊かにしていく物語である。

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

ダンジョンを拾ったので、スキル〈ホームセンター〉で好き勝手リフォームします

ランド犬
ファンタジー
 異世界に転移した佐々木悠人は、召喚でも勇者でもなかった。ただ迷い込んだ先で見つけたのは、王都を望む郊外にひっそりと口を開けるダンジョン。足を踏み入れた瞬間、発動したスキルは ――〈ホームセンター〉 壁を張り替え、部屋を増やし、畑や牧場、カフェまで作れる不可思議な力だった。 気ままに始めたリフォームは、もふもふなネコミミ獣人の少女との出会いをきっかけに、思わぬ変化を呼び始める。 拡張され続けるダンジョンの先で、悠人が作り上げる“住める迷宮”とは――?

処理中です...