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第79話:魔王討伐 その3
しおりを挟む「魔王……!」
討伐軍の先頭に立つコーラル王国騎士団長にしてコーラル王国最強の誉れ高いクルセイドをしてもその存在を前にして緊迫感を抱かざるを得なかった。
この男が魔王。一見するとただの青年にしか見えないが頭から生えた二本の角と血のように赤い瞳が目の前の男を魔物の頂点に立つ存在だと教えてくれる。
魔王は玉座から立ち上がり、討伐軍を一瞥する。
「ふん。人間どもが揃いも揃ってワラワラと……無礼であるぞ」
魔王が手をかざす。
するとそこから風の刃が無数に放たれ討伐軍を襲った。
咄嗟にマジック・カウンター・シールドを持つビルと魔払いの服を着たイルウッドが前に出て防御するも風の刃は広範囲に放たれており、防御し切れず、討伐軍にダメージを与える。
さらに魔王の手に魔力が集中する。光弾が無数に放たれ討伐軍を襲う。
これも範囲が広すぎるのでビルとイルウッドだけでは防御し切れなかった。
距離を開けていては不利。
それをクルセイドを始めとした討伐軍の面々は悟り、前に出ようとする。
遠距離攻撃に長けた冒険者たちが攻撃を開始して魔王に矢や投げ槍が襲い掛かるも魔王はこれを前面に展開した障壁で受け止めた。
クルセイドはオリハルコン・ソードで魔王に斬り込む。
永久不滅の金属、オリハルコン。それで作られた剣ならば魔王にも効果的なはずだ。
デーモンクラッシャーを持ったラッシュも斬り込み、魔王に一撃を叩き込む。
しかし、それらの攻撃を全て魔王は障壁を展開して受け止める。
オリハルコン・ソードもデーモンクラッシャーも受け止められた。
いったんクルセイドたちは下がり、竜落としの弓やボンバー・ボウ、ファイアー・ボウにファン・ボウガンといった遠距離攻撃の武器による攻撃が行われるがそれらが魔王の展開した障壁を破ることはできなかった。
なら、接近戦で、とアスカがパワー・ガントレットを装備した拳で魔王にパンチをふるまうもそれも、障壁で受け止められる。
魔王は再び高位な魔法を唱えて討伐軍にダメージを与える。
クルセイドはなんとかそれを避けていた。リアッカが伸縮槍でアルスがアストラルソードとアストラルナイフの二刀流で魔王に攻撃を仕掛けるも障壁に受け止められる。
そして、反撃に魔王が放った魔法を至近距離で受け、後ろに転がる。
「大変!」
癒しの杖を持つアリーシャを始めとした治癒魔法使いが治癒魔法をかける。
二人だけではなく、魔王の魔法でダメージを負った前衛・後衛の面々にも治癒魔法は掛けられていた。
「うおお!」
クルセイドとグラトンが同時に攻撃を仕掛ける。
オリハルコン・ソードと大地の大槌での攻撃だ。
しかし、これも魔王は障壁で防いで見せる。なんという堅牢さか。
接近戦最高峰のクルセイドが最高の武器、オリハルコン・ソードで斬りかかっているのに倒せないとは。
「鬱陶しいぞ、人間ども」
魔王はそう呟くと大魔術を発動させる。
黒いオーラが討伐軍全員に襲い掛かり均等にダメージを与えた。
なんて魔法だ。
討伐軍は驚くしかない。それでもクルセイドは倒れない。遠距離攻撃ができる討伐軍の面々も立ち直り、再び魔王に攻撃を仕掛ける。
しかし、通じない。それらの攻撃を全て魔王は障壁で防いでしまう。
強い。強いことは分かっていたが、これほどとは。
予想を遥かに上回る魔王の強さに討伐軍全体の士気も下がる。
このままではよくないとクルセイドは鼓舞の叫びをあげる。
「全軍、ひるむな! 魔王を討ち倒すのだ!」
その声に多少は士気も上がり、ドラゴンキラーを持つケイ。バースト・スピアを持つリミリア、サンダー・アックスを持つメルシアが魔王に攻撃を仕掛ける。
それでも障壁は破れない。この障壁を破らないことには魔王に致命打を与えることはできない。
「はああ!」
クルセイドとアルスが同時に斬りかかり、しかし、障壁に防がれる。
それでもめげずに斬撃を連続して繰り出し、魔王の障壁を破らんとする。
魔王の魔法が炸裂し、接近戦を仕掛けていた者たちは吹き飛ばされた。
慌てて治癒師たちが治癒魔法をかける。
その隙に弓や魔法といった遠距離攻撃組が攻撃を仕掛けるが魔王の障壁に全て受け止められ、破れない。
強すぎる。それがこの場にいる討伐軍全員の思いだった。
それでもめげずに近距離攻撃組は前に出て魔王に攻撃を仕掛ける。クルセイドも倒れてはおれぬと立ち上がり、攻撃に参加する。
なんとかして魔王の障壁を破らない限りは勝機はない。
それを分かっているが故にクルセイドたちは手を休めない。
この障壁を破りさえすれば勝ち目が見えてくるということでもある。
それに懸けて攻撃を続行する。魔王の魔法が再び炸裂し、前衛の面々を吹き飛ばした。
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