オカンな幼馴染と内気な僕

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プロローグ 友達以上、恋人未満

第8話 成果報告会

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 「デート」の日の夜。自室で寝っ転がっていたところに、着信が。
誰かと思えば、『朋美』と表示されていた。

『こんな夜遅くにどうしたの?』
『今日のデートの成果が気になって』

 例によって、真澄との関係を心配して、世話を焼いてくれているらしい。
 ほんとにありがたい。って、デート?

『ちょっと聞いていいかな』
『どうぞ』
『デートって言ってたの?真澄が』
『そうだけど。「明日はコウとデートなんや」って、電話ではしゃいでたよ』
『そ、そう』

 実は、これまで、僕が真澄を誘うときには、「一緒に遊びに」とか、なんだかんだ口実をつけて、一言も「デート」と言ったことがなかった。ひとつには、もし、「デート」を申し込んで断られたら、という臆病さもあったのだけど、変にデートを意識して気まずくなっても、というのもあった。
 だから、てっきり、今日の「デート」もてっきりそういうものかと思っていたのだった。実際、真澄からはデートという単語は出てこなかったし。
 だからこそ、踏み出し切れていなかったのだけど、そうか。真澄はとっくにデートのつもりだったとは。

『……もしもーし?』

 朋美の声が僕を現実に引き戻す。

『ごめん。ちょっと考え事。それで、何だって?』
『デートの成果だよ。デート。ますみん、気合入れてたみたいだけど』
『……』
『もしもーし?』
『いや、ごめん。自分の情けなさに自己嫌悪に陥ってたとこ』
『自己嫌悪?』

 今日のデートの大筋を話す。服を見て欲しいアピールとかから始まって、終わるまでの経緯を。

『なるほどね』

 なんだか、納得した口ぶりの朋美。

『何が言いたいかはわかるよ。僕もそう思う』

 デートのつもりで服も気合を入れて来て。そして、サッカーのこと。あれは今思えば、真澄なりのアピールだったのだろう。さらに、勇気を出して、これまで遊びに誘ってくれた真意を聞いてくれたのだ。それを言うにことかいて、

「僕も、寂しかったんだよ」

とか。それはない。

 それでも、真澄にしてみれば、ことごとく空回った(であろうと思われる)のに、手をつないでくれようとしただけでも大したものだ。

『明日から、どんな顔して会えばいいのかな……』

 ベッドの上をごろごろ転がる。
 何よりも、真澄のことを傷つけていたことが心が痛い。
 少しは気遣えるようになったと思ったのだけど。

『悶えたくなるのはわかるけどね』

 ベッドの上をまさにごろごろしている音が聞こえたのだろうか。

『悶えたくもなるよ』

 いや、ほんとに死にたい。

『肝心なことを忘れてない?ますみんは、コウ君のこと振ったの?』
『そういえば……』

 あまりの醜態に我を忘れていたが、別に、真澄に振られたわけじゃないんだ。

『ほんと、あなたたちは……』
『たち?』
『ああ、ううん。そこは何でもないから』

 何か裏で企んでいる気がするけど、追求しても仕方ないか。

『それで、ますみんがコウ君を振ったわけじゃないんでしょ?』
『う、うん』
『だったら、今度こそ想いに応えてあげなくちゃ』
『それしかないよね……』

 一歩前進かな、とか呑気なことを思っていた裏で、真澄は精一杯の勇気を振り絞った言葉が空振りだったわけで。
 ことここに至っては、真澄に正面から堂々と告白して、今日の過ちごと水に流してもらうしかない。

『ありがとう、朋美。決心がついたよ。明日、告白するよ』

 このことを知らなければ、
 明日ものこのこと、真澄の前に出向いていたに違いない。
 それを思えば、ほんとに感謝だ。

『え、えーと?もうちょっとほとぼりが冷めてからでも……』

 おろおろとした様子の声だ。

『さすがに、このまま呑気に顔を合わせられる程、僕も厚顔無恥じゃないよ』
『いや、その、さすがに……』

 まだ何か言いたそうな声だ。

『急だって言いたいんでしょ?僕もそれはわかるけど。真澄の精一杯の想いを受け止めてあげられなかったのが情けなくて』
『うん。わかった。もう、ご自由に。お幸せに』

 なんだか、少し投げやりな声で電話を切られてしまった。

 まあ、いいか。明日、ちゃんと告白する。そして、今日の分も精一杯謝ろう。
 そう決心して、寝床に入ったのだった。
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