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第3章 公爵令息ランダルの過去
5-1
「アイシア嬢、大変申し訳ありませんでした。二度もお茶会を欠席したことは、前代未聞のマナー違反としか言いようがありません。言い訳にもなりませんが、職務に忙殺される日々でして……」
三回目のお茶会で、俺は深々と頭を下げて詫びた。そう言うしかなかった。
俺は公爵令息で地位も富も超一流なのに質素を旨とする男で、純粋で一本気で猪突猛進な騎士で、エイドリアナを全力で支えたい気持ちが強すぎて周りが見えなくなるタイプ──アイシア嬢が何者かわからないうちは、世間が思い描く俺のイメージからはみ出るような危険は避けるべきだ。
「ランダル様、頭をお上げくださいませ。アクアノート公爵様から『不測の事態』だったと伺っております。お仕事なのですから仕方ありませんわ」
十四歳のアイシア・フォレット伯爵令嬢が穏やかに言う。
つり上がった目と歪んだ口元が目立つエイドリアナに比べ、アイシア嬢は少し垂れ気味の大きな目が愛らしく、にっこりと微笑む顔は心からのものに思われた。
何より、エイドリアナのように開口一番怒鳴ったり、物を投げつけたりしないことにびっくりした。我ながら女性観が歪んでいると苦く思う。
(なんというか、小動物みたいで可愛いな……)
アイシア嬢は磨けば光る原石のような娘だった。とびきりの美人というわけではないが人好きのする顔立ちで、全身から清楚な愛らしさを放っていた。
健康的な透明感のある肌。ぱっちりと大きな目はまつ毛が長くて、澄んだ黒目は俺を包み込むような温かさに溢れている。
腰まで届くほどの長さの黒髪はまるで絹糸のように美しく、羽毛のように柔らかそうに見える。思わず触れてみたくなるほどに。
ひと目で上質な仕立てだとわかる、フリルが揺れる可憐なドレスはピンク色。きらきら輝く赤いネックレスやブレスレットやイヤリングが眩しい。ジュエリーのことはよくわからないけれど、上質なものに違いない。
ごく普通の貴族令嬢(推定)を間近で見たのは初めてだった。俺はちらちらと彼女を見ては、恥ずかしくなって目をそらしてしまった。
挙動不審だった自覚はある。でも仕方がないと思う。
五歳で母と生き別れ、父の愛人に虐待されて七歳で騎士寮に放り込まれ、男だらけの環境で八年暮らした末にエイドリアナに仕えて──普通の令嬢と二人きりで平和な時間を過ごすなんて、生まれて初めてだったのだから(もちろん使用人はいたが目に入らなかった)。
黙り込んだ(アイシア嬢を観察するのに忙しかった)俺を見て、アイシア嬢は可愛らしく小首をかしげた。
「疲れていらっしゃるようですね。私はランダル様のお体の方が心配です」
「……お、お気遣いありがとう。疲れているとかは、まったくないです」
息が喉仏のあたりで塞き止められ、俺はかすれた声で答えた。何しろ経験がなさすぎて、少しの優しさにも動揺してしまうのだ。
また黙り込んでしまった俺に、アイシア嬢は手ずからお茶を淹れてくれた。
「お砂糖とミルクはお入れしますか?」
「あ、ああ、じゃあ、両方たっぷり」
「かしこまりました」
アイシア嬢はおっとりとした見た目とは裏腹に、一連の流れを手際よく正確にこなした。 彼女が「領地の自慢の茶葉なんです」と言って出してくれたお茶は、濃厚で贅沢で疲れが吹っ飛ぶ味がした。
(癒されるな……)
そう、本当は疲れていたのだ。知らないうちに婚約していた事実を知った日の夜から、俺は父の悪事の証拠探しを始めていたから。
まずは騎士寮で古い警備記録を漁ることにした(遠回りすぎるとは思うが、その時の俺の手の及ぶ範囲は騎士寮とエイドリアナの離宮だけだった)。
可能性が低いことはわかっていたが、何かヒントが転がっているかもしれないという期待から、つい睡眠時間を削ってしまった。
騎士叙任式を済ませた人間は一人前として扱われる。見張り役だった小隊長は退団しており、俺は『王女付き』という部署のトップだ。おまけに部下は下級貴族かその親戚で、全員家庭を持ち寮を出ている。
落ちぶれ王女の離宮に行きたがる貴族騎士は俺以外いなかったし、『王女のためになんでもするけなげな嫡男』という存在のおかげで父は疑いを逸らすことができている。だから俺は職務に忠実なふりさえすれば、ある程度自由意思を持って動けた。
警備記録の閲覧は「王女の警備をより充実させるため」というもっともらしい言い訳ができたし、全力をもって職務に邁進しているというイメージ作りにもなった。
「エイドリアナにも飲ませてやりたいな……」
離宮にこんな美味い茶があれば、エイドリアナから受ける『言葉の暴力』や『嫌がらせ』が減るんじゃないだろうか──そう思ったがゆえに、俺はぽろりと口に出してしまった。
アイシア嬢が小さく唇を噛んだのを見て、俺はやらかしてしまったことを悟った。初対面の女性相手にやらかした、すなわちポンコツの烙印を自ら押したという恥ずかしさに苛まれた。
「あ、えっと、その」
説明を付け足したかったが、偏りなく俺の状況を伝えたところで信じてもらえるとは思えなかった。
アイシア嬢が父の息のかかった人物というのは憶測で、間違っているかもしれない。でもまだ初対面で、それでなくとも人間不信(クロードを除く)の俺には判断が難しい。
「…………」
「…………」
両者沈黙の砦に立てこもったところで、応接室の扉をノックする音が響いた。
「ランダル隊長、不測の事態です!」
使用人の案内で入ってきた平民に近い部下(某男爵家の遠縁)が、ぶるぶる震えながら叫んだ。
「ど、どうか離宮にお戻りを……!」
部下の悲鳴と濡れた目が訴えかけてくる。俺は「何があった」と尋ねた。
「えっと、あの、自分にはよくわからなくて、こ、これ、エイドリアナ王女殿下から預かった書状ですっ!」
部下は意を決したように進み出ると、俺の横に立って深々と身をかがめた。そして開封をせきたてるように、俺の手にシンプルな白い封筒を押し付けてくる。俺はため息を必死でこらえながら、書状の封を開けた。
便箋には小さな文字でこう綴られていた。
【お前だけ幸せになるなんて許さない】
俺が思ったことは「やはりか」だった。今日は非番だが、必ず邪魔が入るだろうと思っていた。
俺はすぐに手紙を畳んで封筒に戻し、騎士服の胸ポケットへ滑り込ませた。そしてすっくと立ち上がる。
「アイシア嬢。すみませんが、急いで離宮に戻って不測の事態に対処しなくてはなりません。美味しいお茶をありがとうございました。今日はこれで失礼します」
俺がそう言うと、誰よりも早く部下が「よかった!」と顔を輝かせた。
「王女殿下、なんだか様子がおかしくて。きっと寂しいんだと思うんですよ。ランダルさんが婚約して、やきもちやいちゃったのかな」
頭を掻きながら「ははは」と笑う部下を、壁際に立つ使用人が冷ややかな目で見ていた。
(こうして誤解が誤解を呼ぶんだな。俺も調査のためにそれに乗っかっているから、自業自得だが)
どうして他に道がないのか。父やエイドリアナからいいように操られる、それがどれだけ悔しいか。けれど、俺の生き方を見ている人は誰も疑わない。永久凍土の大地にひとり立った気分だった。
「そうですか……」
うなだれて伏し目がちのアイシア嬢の姿は、悲しさや寂しさを如実に伝えていた。俺は罪悪感を覚えずにはいられなかった。
「残念ですけれどお仕事ですものね。あの、少しお待ちいただけますか? 茶葉とお菓子を包みますから」
アイシア嬢はぎこちない笑みを浮かべて立ち上がった。
(この子は……本質的に善なる人間だな)
汚いものをたくさん見てきたのだ、簡単に人を信じることの危うさは知っている。でもこの娘を疑うのは間違っていると直感的に感じた。
アイシア嬢は侍女と一緒にてきぱきと土産を梱包した。彼女から「皆さんでどうぞ」と優しい笑顔と共に土産を渡された部下は、帰り道は妙に浮足立った動きになっていた。
「いやあ、気前のいい娘さんですねえ。さすがは女相続人だ。隊長、いっぱいおねだりできますね!」
「馬鹿、そんな真似ができるか。あえて嫌われたいならともかく」
俺は部下の頭を軽く叩いた。
およそ三年後、父の狙いを慎重に深掘りした俺が、アイシア嬢から決定的に嫌われるために『そんな真似』をすることになるとは──この時はまだ、夢にも思わなかった。
三回目のお茶会で、俺は深々と頭を下げて詫びた。そう言うしかなかった。
俺は公爵令息で地位も富も超一流なのに質素を旨とする男で、純粋で一本気で猪突猛進な騎士で、エイドリアナを全力で支えたい気持ちが強すぎて周りが見えなくなるタイプ──アイシア嬢が何者かわからないうちは、世間が思い描く俺のイメージからはみ出るような危険は避けるべきだ。
「ランダル様、頭をお上げくださいませ。アクアノート公爵様から『不測の事態』だったと伺っております。お仕事なのですから仕方ありませんわ」
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つり上がった目と歪んだ口元が目立つエイドリアナに比べ、アイシア嬢は少し垂れ気味の大きな目が愛らしく、にっこりと微笑む顔は心からのものに思われた。
何より、エイドリアナのように開口一番怒鳴ったり、物を投げつけたりしないことにびっくりした。我ながら女性観が歪んでいると苦く思う。
(なんというか、小動物みたいで可愛いな……)
アイシア嬢は磨けば光る原石のような娘だった。とびきりの美人というわけではないが人好きのする顔立ちで、全身から清楚な愛らしさを放っていた。
健康的な透明感のある肌。ぱっちりと大きな目はまつ毛が長くて、澄んだ黒目は俺を包み込むような温かさに溢れている。
腰まで届くほどの長さの黒髪はまるで絹糸のように美しく、羽毛のように柔らかそうに見える。思わず触れてみたくなるほどに。
ひと目で上質な仕立てだとわかる、フリルが揺れる可憐なドレスはピンク色。きらきら輝く赤いネックレスやブレスレットやイヤリングが眩しい。ジュエリーのことはよくわからないけれど、上質なものに違いない。
ごく普通の貴族令嬢(推定)を間近で見たのは初めてだった。俺はちらちらと彼女を見ては、恥ずかしくなって目をそらしてしまった。
挙動不審だった自覚はある。でも仕方がないと思う。
五歳で母と生き別れ、父の愛人に虐待されて七歳で騎士寮に放り込まれ、男だらけの環境で八年暮らした末にエイドリアナに仕えて──普通の令嬢と二人きりで平和な時間を過ごすなんて、生まれて初めてだったのだから(もちろん使用人はいたが目に入らなかった)。
黙り込んだ(アイシア嬢を観察するのに忙しかった)俺を見て、アイシア嬢は可愛らしく小首をかしげた。
「疲れていらっしゃるようですね。私はランダル様のお体の方が心配です」
「……お、お気遣いありがとう。疲れているとかは、まったくないです」
息が喉仏のあたりで塞き止められ、俺はかすれた声で答えた。何しろ経験がなさすぎて、少しの優しさにも動揺してしまうのだ。
また黙り込んでしまった俺に、アイシア嬢は手ずからお茶を淹れてくれた。
「お砂糖とミルクはお入れしますか?」
「あ、ああ、じゃあ、両方たっぷり」
「かしこまりました」
アイシア嬢はおっとりとした見た目とは裏腹に、一連の流れを手際よく正確にこなした。 彼女が「領地の自慢の茶葉なんです」と言って出してくれたお茶は、濃厚で贅沢で疲れが吹っ飛ぶ味がした。
(癒されるな……)
そう、本当は疲れていたのだ。知らないうちに婚約していた事実を知った日の夜から、俺は父の悪事の証拠探しを始めていたから。
まずは騎士寮で古い警備記録を漁ることにした(遠回りすぎるとは思うが、その時の俺の手の及ぶ範囲は騎士寮とエイドリアナの離宮だけだった)。
可能性が低いことはわかっていたが、何かヒントが転がっているかもしれないという期待から、つい睡眠時間を削ってしまった。
騎士叙任式を済ませた人間は一人前として扱われる。見張り役だった小隊長は退団しており、俺は『王女付き』という部署のトップだ。おまけに部下は下級貴族かその親戚で、全員家庭を持ち寮を出ている。
落ちぶれ王女の離宮に行きたがる貴族騎士は俺以外いなかったし、『王女のためになんでもするけなげな嫡男』という存在のおかげで父は疑いを逸らすことができている。だから俺は職務に忠実なふりさえすれば、ある程度自由意思を持って動けた。
警備記録の閲覧は「王女の警備をより充実させるため」というもっともらしい言い訳ができたし、全力をもって職務に邁進しているというイメージ作りにもなった。
「エイドリアナにも飲ませてやりたいな……」
離宮にこんな美味い茶があれば、エイドリアナから受ける『言葉の暴力』や『嫌がらせ』が減るんじゃないだろうか──そう思ったがゆえに、俺はぽろりと口に出してしまった。
アイシア嬢が小さく唇を噛んだのを見て、俺はやらかしてしまったことを悟った。初対面の女性相手にやらかした、すなわちポンコツの烙印を自ら押したという恥ずかしさに苛まれた。
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「…………」
「…………」
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「いやあ、気前のいい娘さんですねえ。さすがは女相続人だ。隊長、いっぱいおねだりできますね!」
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