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高二ノ秋2
風紀の忠告
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「で、なんで俺のこと呼び出したの?」
感動の再会にひと段落ついたところで、龍次に聞いた。
わざわざ校内放送まで使って、他の連中にもわかるように呼び出したってことは、何か意図があるんだろう。
「お前に忠告するためだ」
「忠告?」
目を瞬かせると、龍次の隣にいた元風紀委員長、二階堂があからさまに肩を竦めた。
「言っただろ山本。このお姫さんには、危機感が足りてない」
「……知ってますよ。司はいつだって、人の熱を引きつけておきながら、無自覚でしたから」
「それはお前もか?」
「話の腰をおらないでください」
「つか、誰がおひいさんだ」
「お前だよ、東條司。雑な悪役令嬢ごっこでは、奴等に足元を救われるぞ」
「奴等?」
やっぱりあれだと雑だと思われるか……と思いつつも、聞き返す。
「生徒会の奴等だよ。揃いも揃って、お前を狙っている」
「狙ってるって、なんでだ?アイツらとは関係ないだろ」
「関係ない、か。呑気なもんだな。そんなんだから、簡単に美作にキスされるんだ」
「う、うるせー!」
「司、静かに」
先程のディープすぎるキスを思い出して、ついムキになってしまった。
「このままだと、奴等の思惑通り破滅させられた上に手籠にされるぞ」
「え、は、破滅……?」
二階堂の口から出てきた穏やかではないワードに、眉を顰めた。
「この学園では、役割を与えられた者は、暇を持て余した生徒達の娯楽として消費される……つまり、エンタメ性が強ければ強いほど、支持を受ける。学園の人気の頂点である生徒会もまた、同じだ」
「ほんと意味わかんねーシステムだな」
「閉じられた箱庭だからこそ、だ。生徒会がどの程度支持を受けられるかも、奴等がどれだけ生徒達を楽しませられるかに左右される」
「芸能人かよ」
「間違ってはないだろう。時にはアイドルのように歌って踊って見せた生徒会もいたそうだぞ」
「へー、身体張ってんな」
二階堂曰く、生徒会の支持率は、選ばれたメンツの将来にも関わってくるらしい。良い成績を残すことが出来れば、将来的に良いコネクションを得ることができる、逆に生徒会への所属が足を引っ張る結果にすらなることもあるという。
「発足したばかりの奴等も、考えただろう。生徒達を楽しませるために、どのような方向性を目指すのか。そこで奴等は、"悪役令嬢"に目をつけた」
「は、俺?関係ねーじゃん」
「だったら良かったんだけどな。関係大有りだ」
「聞いてくれ、司……美作を中心とした生徒会は、お前を徹底的にボロボロにして、そして自分達のオモチャにするつもりだ」
ギリッと歯を軋り、龍次が説明した。
「悪役令嬢……エンタメ性としては、十分だ。綺麗だが冷たく、傲慢な者として扱われ、断罪される結末に至ることが多い」
「マ、一応紘川をイビってる設定は作ったけど」
「この学園では、イメージが大きな力を持つ。悪役令嬢を断罪し、そして更生させて、従順なお人形にする……お前の顔が綺麗だから、尚更映えてしまうんだよっ!」
「うおっ!?」
突然龍次が、両肩を強く掴んできた。
「本当に気をつけてくれ。奴等は、役割を利用して、本気でお前を狙ってるんだ」
感動の再会にひと段落ついたところで、龍次に聞いた。
わざわざ校内放送まで使って、他の連中にもわかるように呼び出したってことは、何か意図があるんだろう。
「お前に忠告するためだ」
「忠告?」
目を瞬かせると、龍次の隣にいた元風紀委員長、二階堂があからさまに肩を竦めた。
「言っただろ山本。このお姫さんには、危機感が足りてない」
「……知ってますよ。司はいつだって、人の熱を引きつけておきながら、無自覚でしたから」
「それはお前もか?」
「話の腰をおらないでください」
「つか、誰がおひいさんだ」
「お前だよ、東條司。雑な悪役令嬢ごっこでは、奴等に足元を救われるぞ」
「奴等?」
やっぱりあれだと雑だと思われるか……と思いつつも、聞き返す。
「生徒会の奴等だよ。揃いも揃って、お前を狙っている」
「狙ってるって、なんでだ?アイツらとは関係ないだろ」
「関係ない、か。呑気なもんだな。そんなんだから、簡単に美作にキスされるんだ」
「う、うるせー!」
「司、静かに」
先程のディープすぎるキスを思い出して、ついムキになってしまった。
「このままだと、奴等の思惑通り破滅させられた上に手籠にされるぞ」
「え、は、破滅……?」
二階堂の口から出てきた穏やかではないワードに、眉を顰めた。
「この学園では、役割を与えられた者は、暇を持て余した生徒達の娯楽として消費される……つまり、エンタメ性が強ければ強いほど、支持を受ける。学園の人気の頂点である生徒会もまた、同じだ」
「ほんと意味わかんねーシステムだな」
「閉じられた箱庭だからこそ、だ。生徒会がどの程度支持を受けられるかも、奴等がどれだけ生徒達を楽しませられるかに左右される」
「芸能人かよ」
「間違ってはないだろう。時にはアイドルのように歌って踊って見せた生徒会もいたそうだぞ」
「へー、身体張ってんな」
二階堂曰く、生徒会の支持率は、選ばれたメンツの将来にも関わってくるらしい。良い成績を残すことが出来れば、将来的に良いコネクションを得ることができる、逆に生徒会への所属が足を引っ張る結果にすらなることもあるという。
「発足したばかりの奴等も、考えただろう。生徒達を楽しませるために、どのような方向性を目指すのか。そこで奴等は、"悪役令嬢"に目をつけた」
「は、俺?関係ねーじゃん」
「だったら良かったんだけどな。関係大有りだ」
「聞いてくれ、司……美作を中心とした生徒会は、お前を徹底的にボロボロにして、そして自分達のオモチャにするつもりだ」
ギリッと歯を軋り、龍次が説明した。
「悪役令嬢……エンタメ性としては、十分だ。綺麗だが冷たく、傲慢な者として扱われ、断罪される結末に至ることが多い」
「マ、一応紘川をイビってる設定は作ったけど」
「この学園では、イメージが大きな力を持つ。悪役令嬢を断罪し、そして更生させて、従順なお人形にする……お前の顔が綺麗だから、尚更映えてしまうんだよっ!」
「うおっ!?」
突然龍次が、両肩を強く掴んできた。
「本当に気をつけてくれ。奴等は、役割を利用して、本気でお前を狙ってるんだ」
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